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観光地やないかい

 店から出た英斗は早速ダンジョンタワーに潜る事にした。


「ナナ、久しぶりのダンジョンだな」


『そうだねえ。もう何か月も前だもんね』


 そう言って、ダンジョンタワーの入り口に向かう。入り口にはダンジョンでも見た謎の赤い石の埋め込まれた柱があった。おそらく今回も一定階層でセーブポイントがあるのだろう。

 入り口は中々混雑していた。まるでアトラクションにでも来ているのか、皆笑顔で順番に並んでいる。

 英斗ものんびり列に並んでいると、後続に大勢の人間が並び始めた。総勢50は越えようか、という集団はどうやら50人で1つのパーティーのようだ。


 それをパーティーというかは疑問であるが。

 そしてそれを仕切るリーダーらしき男に英斗は見覚えがあった。


「月城さんも、今から潜るんですね。中であったらよろしくお願いします」 


 千代田ギルドマスターの妻夫木である。


「こちらこそ。それにしてもこんな大人数で潜るとは、驚きました」


「あらかじめ、何人まで可能か調べたのですが、ボス部屋に入れるのは50人までなんです。なので、その最大人数で潜る事にしました。どうしても数は力に思えてしまいましてね……」


 妻夫木の考えは間違っていない。戦争でも基本的には人数がものをいう。栄誉というよりもタワー攻略のみに焦点を当てた戦略と言えるだろう。


「全て千代田区の方なんですか?」


「はい。エースはS級ソロ討伐も可能な猛者です。他は単体だと、A~C級くらいの実力なんですが……。月城さんはワンちゃんとのコンビですか? 伽藍さんも高峰さんもソロで潜ったらしいですが、お3人方でパーティーというのも面白いと思うんですがねえ。23区の代表者が揃ったパーティー、豪華じゃないですか」


「確かに豪華メンバーですねえ。面白いですが、皆ソロが好きなようで」


 そう言って、英斗は笑う。英斗は妻夫木にパーティーに誘われたが、丁重に断った。守らねばいけない仲間を連れてこのタワーを踏破できると思えなかったからだ。


 




 その、後ようやくタワーに入場できた。

 中に入ると、そこには煉瓦の壁で出来た迷路のような空間に出た。世田谷ダンジョンとはまた違った雰囲気がある。1階のためか多くの冒険者が話しながら歩いている。


「すげーな。ゲームの世界みたいだ」


「絶対宝箱あるよな、これ」


「とりあえず、50DC目的にしよーぜ」


 と大学生くらいの男達が計画を立てている。人が多いせいで、全く緊張感が無い。


「と、とりあえず……上への階段探すか」


『うん』


 ナナに乗って、いっきにダンジョンを駆ける。


「うわー、すごーい! でっかいねー!」


「ワンコだー! 可愛いー!」


 走っているナナを見て、女の子達が歓声を上げる。


「本当に緊張感ねえ……」


『ナナ、もてもてー』


 とナナは上機嫌で走る。1階はゴブリンや骸骨剣士等、普通のダンジョンと変わりない。人が大勢いるという点では違うが。少年達が群れを成して、ゴブリンと戦っている姿も見えた。おそらくDCのためだろう。

 英斗は、指に火を灯すと、そのまま火の玉をゴブリンにぶつける。ゴブリンは火の玉を頭に受け、そのまま倒れる。そして、すぐ近くにコインが落ちた。


「おっ、これがDC(ダンジョンコイン)か。どれどれ」


 英斗が手に取ると、1と書かれた小さなコインが出る。銅で出来ており、10円玉を彷彿させる。


『これを集めると、ご飯になるんだねえ』


 とナナがコインを眺めながら言う。


「そうだぞー。まあ俺達はもっと上に早く行こうか。遊馬も待たしてるしな」


 英斗はそう言って、上の階を目指す。ナナの足を使って迷路の出入り口を探すと、数時間で次の階への階段を見つける。

 階段前には多くの人が座っていた。階段付近には魔物が出ないからだろう。


「失礼っと」


 そう言って、英斗は2階へ向かう。

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