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龍に会わないか?

 英斗が目を覚ますと、既に時計は正午を越えていた。ここまで深く眠ることは珍しく、相当疲れていたようだ。


『おはよう、えいと』


 ナナは欠伸をしながら、挨拶する。


「おはよう、ナナ。ご飯を食べたら呉羽をギルドに紹介するよ。きっとこれから、杉並区でも活躍してくれるはずだ」


『くれはならかつやくできるはず!』


 ナナと朝食を食べた後、呉羽達の住むアパートへ向かう。比較的綺麗なアパートだったが、巨大樹が横から出ているところがチャームポイントといえるだろう。


 英斗が呼ぶと、すぐに呉羽が現れる。


「おはようございます!」


「おはよう呉羽。今日はこっちのギルドに呉羽を紹介するよ。これからこっちで生活するならお世話になるだろう」


「ありがとうございます、すぐ支度します!」


 そう言って、呉羽は数分で用意を終え現れる。呉羽を連れてギルドへ向かう。

 いたるところが破壊されている街並みを見て呉羽が尋ねる。


「最近何かあったんですか?」


「ちょっと前に、スタンピードがあったんだ。1万体近くの魔物が杉並区を襲って来てな。多くの犠牲が出た……」


「それは……変な事聞いてすみません」


「別に構わんさ。今は復興中なのさ。あの激戦を乗り越えたからこその強さがあるよ、うちにはな」


「なるほど。僕も頑張ります!」


 話しているとギルドの建物が見えてきた。中へ入ると、昼は暇なのか受付嬢は欠伸をしながら座っていた。


「あっ! マスターじゃないですか、久しぶりですねー。こちらに帰ってたんですね!」


「昨日帰ってきたんだ。彼は新人だ。これからこちらで世話になる」


 英斗の言葉を聞き、呉羽が受付嬢に頭を下げる。


「これからお世話になります! 精一杯働くんでよろしくお願いいたします!」


「元気いっぱいっすねー。今花田さん呼んできますね」


 受付嬢が裏に入ると、すぐ花田が現れる。


「マスターお疲れ様です。彼が昨日言っていた紹介したい人ですか?」


 花田が、呉羽を見る。


「そそ。中々ユニークなスキル持ってるから、どこかのパーティにでも入れてあげれば化けると思うんですよ」


「ほうほう。なんにしても新人は歓迎ですよ。未だに人は足りてないですからね」


 呉羽は手続きを行う。これでもう大丈夫だろう。話していると、扉が開く音がした。そこには、ダンジョンに武者修行に出ていた弦一の姿があった。英斗の姿を見て、頬を上げて、爽やかに笑う。


「お久しぶりです、アニキ」


「……強くなったみたいだな、弦一」


「当り前です」


 そう言って、2人は再会を喜ぶ。


「ダンジョンは地獄でしたけどね」


「そうだろう、そうだろう! どこまで潜れた?」


「……21階まで」


 弦一は少し恥ずかしそうに言う。21階ということは、S級を討伐したという事である。どうやら相当修行したらしい。


「20階のボスは、ドラゴンだったか?」


 英斗は、リヴィスの後の20階が少し気になった。


「いや……俺が倒したのはコカトリスでした」


「そうか。あそこのボスは変わるんだな。俺の時は、ドラゴンだったよ」


「謎の仕組みですねえ」


 ダンジョントークでひとしきり盛り上がった後、弦一は去っていった。その後すぐ、再び扉が開く音がした。そこに居たのは新聞記者、宍戸(ししど)(よう)である。軽やかに英斗の近くまで近づいてくる。


「久しぶりね、英斗君! 噂は聞いてるわよ」


「噂とは……?」


 英斗は心当たりがないため、首をひねる。


「最近どこかで暴れたんじゃない? 渋谷を沈めた銀狼使いが居たって噂になってるわよ?」


 とにやりと笑いながら、上目遣いで言う。


「……人違いでしょう」


 そう言って、目を逸らす。ばれたら中々に面倒だ。


「心配しなくても、私は記事にしないわ。渋谷担当の記者がどうするかは知らないけど。渋谷は23区の中でもトップレベルの強さを誇っていたから、相当なビッグニュースよこれは」


「中々酷いニュースですなあ」


 英斗は白を切ることを決めた。認めたら負けである。


「もうー。ガードが固いわね。そういえば、1つ頼みたいことがあるのよ」


 そう言って、笑う宍戸。


「なんですか?」


 英斗が尋ねる。すると、途端に真面目な顔で宍戸が言う。


「龍に会いに行って欲しいの」

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