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幕引き

 解散した後、太刀川がレオの元へやってくる。


「本当なのか……本当に元宮さんが……」


 未だに信じられないといった口調である。


「ああ……事実だ」


「じゃあ、今この場に居ないのも……」


「……俺がギルドマスターとして適正な処分を下したからだ」


 その言葉を聞いて、太刀川は何も言えなかった。2人の仲の良さを知っているからだ。


「お前は、あの連続殺人犯の犯人は五郎だと言っていたな。犯人も分かった以上これ以上あちらと揉める必要はもうない。もう無用な争いは止めよう」


 とレオは言う。


「確かに、殺人はあいつじゃなかったが、うちのクランの者が斬られたのは……」


「奴等に斬られたかもしれん……。だが、こちらもすぐにやり返した。こうやって俺達はいつまで争えばいいんだ? 魔物達と日々争って、人とまで……同じギルドのメンバーなんだ、一度真剣に再度話し合おう」


 とレオは太刀川の肩を両手で掴みながら真剣な顔で言う。 


「……わかったよ」


 レオと太刀川は五郎のクランの下へ向かった。これ以上争わないために。






「五郎さん、話があります」


 レオは、五郎に会うと、すぐさま切り出した。


「なんだ? 遂に全面戦争か?」


 と五郎は笑いながら言う。


「もうこの争いを終わらせに来ました。うちの者を最近殺していた犯人が見つかりました。事務長です。もうこれ以上内輪で争いたくありません。俺達は本来同じギルド、仲間ではないでしょうか?」


「ほーう。あの殺人鬼の犯人はおとなしそうな事務長か。内輪で殺し合って仁左が足りなくなり、焦ってこちらに来たのか?」


「そうではありません。もう人間同士の争いは沢山なんです。こちらが襲い掛かったことは謝ります」


 そう言って、レオは深々と頭を下げた。それを見て、太刀川も悩みつつも頭を下げた。それを見て、少し複雑な顔をする五郎。


「頭さげるだけで、なんとかなると思ってもらっちゃ困るな。責任取るなら、あんたギルドマスターを辞めたらどうだ?」


 と馬鹿にするように言う。


「それを貴方が望むなら俺はギルドマスターを辞任しましょう。五郎さん、貴方が新しいギルドマスターになればいい。もう内輪で争うことがなくなり、一枚岩になれるのならそれが一番です」


 と五郎を見ながらはっきりと言う。


「……レオさん! そこまでしなくても!」


「ギルドマスターなど、たいした肩書ではない。それより大事なのは、これからだ。それに、俺はこの争いを今まで止めることができなかった。その責任を取ると考えれば、そういうものだ。俺達より昔からいる経験豊富な五郎さんのクランがここをまとめてくれれば、きっと今よりよくなると思っています」


 その言葉を聞き、五郎はふざけた雰囲気を消し去り真面目な顔をする。


「……わかったよ。そこまで譲られたらこちらも譲歩するしかねえじゃねえか! 馬鹿な争いはここまでだ。そこまで覚悟が決まってるとはな。ギルドマスターはこれからもあんたでいい。やはり今はまだ強い男がトップに立っていた方が外聞もいい」


「ありがとうございます! これで本当の意味で俺達台東ギルドは一つになれたと思っています」


 そう言って、手を差し出す。五郎はその手を握り返し、長く続く台東ギルドの内部抗争は幕を下ろした。

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