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第六話「異世界転生したら手から炎出したい」

『俺は走っていた。

 というより、逃げていた。

 人生でこれ以上はないというくらい必死に足を動かして、サメ映画で襲われる人のように一目散に。

 それもこれも、後ろから追ってくる化け物のせいだ。

「ははははは!! ほらほら、早く逃げろ! 追いつくぞ~?」

 余裕たっぷりな台詞が頭にくるが、生まれた怒りのエネルギーを全部足に回して逃げる。

 俺は華備烈火(はなびれっか)。受験と誕生日を間近に控えた十七歳で、前途明るい若者だった……前の世界では。

 こっちの世界の俺は、エンディン。両親はいるのかいないのか分からない。スラム出身の不良孤児だ。

 俺を拾ったスラムのババアはとんでもない悪党で、ガキの頃から盗みはさせられるわリンチに参加させられるわと散々だった。

 ついには十歳の時に殺しもやらされた。やらなきゃ生きていけなかった。まさか俺がこんなゴミみたいな人生を送るとは。

 それから数年、ババアの肝いりでスラムの犯罪組織に所属した。現代を生きていた頃の感性は、辛うじて服の裾に引っかかる程度にしか残っていなかった。

 刺激のある人生を望んだことがなくはなかったが、こんな危険と隣り合わせの暮らしは望んでなかったと思う。

 そんなわけで立派な犯罪者になったわけだが、俺には一つ能力があった。この世界の人間がたまに持っている特殊能力とやらだ。

 俺の場合は、転生する時に少しズルして手に入れたものだが。

 おかげでめきめきと頭角を現してしまい、こうして頭のイカれた化け物に襲われている。

 追ってきている相手も俺と同じ特殊能力者。しかも、『不死』だ。

 『不死』はその名の通り死なない。正確には何か殺し方があるらしいが、少なくとも悠長に探している暇はない。

 更に、ヤツは『不死』の特性を生かして毒への耐性と体への負担を考えない怪力を使いこなしている。まさに化け物、人殺しのスペシャリストだ。

 壁に積まれている木箱を蹴り上がり、今にも穴が開きそうな屋根に乗る。

 空は暗幕を垂らしたように暗く、月明かりだけが頼りだ。普段だったら見つからずに盗みができる良い夜だが、今夜ばかりは勘弁してほしい。

 全力で走って屋根から屋根へと飛び移る。後ろで化け物が屋根に上がってくる音がした。

 必死に走る。

「あははは、猿みてーだなぁ! 走れ走れー、捕まえたら殺すぞ~?」

 癇に障る声に我慢の限界が来て、ちらりと盗み見る。

 ひょろ長い体、両手に装備した鉄の爪。あれで何人殺してきたんだか知れない。

 快楽殺人者の『不死』、通称レッドラム。返り血を浴びるのが好きなのと、ラム酒が好きなことから命名された。

 獲物をいたぶっていたぶって、泣いて小便垂らしているのを殺す。

 それがヤツの趣味だ。抵抗する気力がなくなるまで追い詰める。最低最悪のクソ野郎。

 だから、こうしてふざけながら俺を追ってくることも分かっていた。

 目的の場所が視界に入り、足を踏ん張って次の屋根へと飛び移る。

 屋根のてっぺんまでのぼって、

「ババア!」

 叫ぶと同時に反対側の屋根を踏まないように飛び降りた。

 流石に高すぎて受身とかいう問題じゃない。それでも跳んだ。あの化け物に勝つ方法は、これしかなかったから。

 ぼふっ、という音を立てて俺の体が布に包まれる。

 狙い通り、ババアとその部下が広げていた布に着地できた。

「来たよ!」

 ババアの言葉に振り向けば、レッドラムが嬉しそうに見下ろしてきていた。

 そして俺が踏まなかった屋根へと足を進め、

「うおぉっ!?」

 たっぷりとまいた油に足をとられ、頭から山盛りに詰まれた木箱に突っ込んだ。

 勿論、そんなことでレッドラムがやられるはずもない。

「うはははは! いいねぇ!」

 木箱の破片を吹き飛ばして、何事もなかったように立ち上がる。

 そうでなくっちゃいけない。

 積んだ木箱が全部破壊されたのを確認して、俺は右腕に意識を集中させた。

「『炎の蛇』!」

 俺の右腕の周りにぼつぼつと火がともり、次第に大きな炎となって互いに絡まりあい、蛇のような姿となってレッドラムを襲う。

 かすっただけで大火傷と化す俺の大技だ。どんな強い騎士だろうがほとんどこれで決着がついてきた。

 だが、

「んははははは!! ようやく使いやがった!」

 レッドラムは鉄の爪を一閃し、『炎の蛇』をぶった切る。

 分かれた蛇の一部が体にぶちあたって皮膚を焼け爛れさせるが、何も気にしていない。

「楽しみにしてたんだぜぇ、能力者と戦えるってよぉ!」

 残りの蛇が木箱にぶつかって派手に燃える。

 炎を背景にしたレッドラムは、まさに怪物だった。

「もっと来いよ! 楽しく殺しあおうぜぇ!」

「一人でやってろ、変態野郎!」

 右腕に更に力と意識を込める。頭の先っちょがガンガンするが、かまっていられない。

 俺の特殊能力は、『炎』。炎を発生させたり、特定の形にできたりする。

 『不死』に対抗するには足りない能力だ。何せ、焼いても燃やしても死にはしない。炎が脅しにも使えない。

 それに、見る限りもう皮膚が再生を始めている。『不死』ってのはとことん厄介だ。

 普通なら。

「『炎の檻』!」

 腕を思い切り振り下ろすのと同時に、レッドラムの頭の上に出現した炎で出来た四角い檻が燃えてる木箱ごとヤツを閉じ込める。

「はははははは! これで何しようってんだぁ?」

 檻は5メートル四方はあって、レッドラムに炎は当たっていない。閉じ込めるにしたって『不死』には無意味だ。

 普通は、そうだ。

「さて、何をしようとしてるんだと思う?」

 レッドラムが鼻白んだように黙り込む。

 ヤツの性格は、ある程度把握している。

「クイズだ。答えられたらでてきていいぜ。そんときは観念するよ」

「……なめやがって」

 吐き捨てるようにそういった後、レッドラムは本当に考えているようだった。

 勝った。

 そう確信し、俺は口元を歪める。

 一分も経たないうちに、その証拠が出始めた。

「……はっ、はっ……クソ、てめぇ! 何しやがった!?」

「なにって? 何もしてないさ。それより喋らない方がいいぜ」

「このオレ様に、毒を盛りやがったな!?」

 毒、とレッドラムが誤解するのも無理はない。実際本当に有毒ガスが出ている。

 一酸化炭素。

 空気中の濃度がたった0.02%上昇するだけで体に変調にきたす猛毒だ。

「てめぇ! ぶっ殺してやる!!」

 叫びと同時に、正面の檻を形成する炎にぽっかりと穴が開いた。

 中でレッドラムが自慢の怪力をふるって炎をかき消したのだ。

 俺とレッドラムは目が合い、互いに殺意と憎悪をかわしあって、


 ヤツは爆発音と炎の渦に喰われた。


 バックドラフト。不完全燃焼によって火の勢いが衰え、一酸化炭素ガスがたまった状態で急に酸素が供給されると起こる爆発現象。

 これのキモは、爆発そのものじゃない。

 一酸化炭素が酸素と結びつき、二酸化炭素へと化学反応を起こすことだ。

 つまり、今檻の中は二酸化炭素が充満していることになる。

 その為に、あえて木箱を先に燃やして一緒に閉じ込めたのだ。

 二酸化炭素は7%を越えると炭酸ガスナルコーシス――即ち呼吸不全が起きる。この状態が継続すると、麻酔作用により呼吸が停止し死ぬ。安楽死でよく使われる手法だ。

 そう、安楽死。

 例え一酸化炭素の毒に反応しても。

 自分の体が自分を守る為の作用には反応しない。

 それが、『不死』を殺す為に考えた策だった。

 あとは、ヤツが動かなくなるまで檻を維持すればいい。全神経を集中する。

 一分、

 滲む汗は熱さからか、不安からか。俺には分からない。

 三分、

 ババアが隣で黙って立っている。普段どおりうるさくしてくんねぇかな。

 五分、

 これでどうにもならなかったら、流石に死ぬなと覚悟する。

 十分はもたなかった。

 心臓がうるさくがなりたて、四つんばいになって荒い息をつく。

 炎の檻は、まるで幻だったように消えていった。

 滲む視界の向こうに見えたのは、


 黒こげになってぴくりとも動かないレッドラムの姿だった――        』


 ※            ※              ※


 バタン、と力任せにノートパソコンを閉じる音が教室に響いた。

 居残っていた生徒の視線が一点にそそがれる。

 窓際の席の後ろから二番目。

 短く刈り込んだ髪と厚めの胸板が特徴的な男子生徒は、周囲を一瞥してから席を立つ。

 椅子が床をこする音を合図に、生徒達の視線がそらされた。

「毎度飽きねぇなぁ、お前も」

「何に飽きるんだよ」

 苦笑するクラスメートに何事もないように返し、男子生徒――園村一喜(そのむらかずき)はノートパソコンを小脇に抱える。

「たまには遊びにいかねぇ? カラオケとかさ」

「悪いが、歌うのはあんま好きじゃねぇんだ」

 悪びれずに言う一喜にクラスメートは肩をすくめ、

「ま、どうせ個室で密着するなら野郎同士じゃなくて綺麗な女の子がいいわな」

「いや、俺は篠宮よりお前の方がいい」

 一喜が真顔で言う。

 クラスメートはぎょっとした表情で後ずさり、

「お前、もしかしてそっちのケが……?」

「殴られてぇか?」

 一喜に睨まれ、クラスメートはにへらと笑って手を振った。

「冗談だよ、じゃあな」

「あぁ、またな」

 手を振り返して廊下に出る。

 二階から見える空は薄暗く、雪でも降りそうな模様をしていた。

 窓の外の木々はすっかり葉を散らせ、生まれたままの姿を晒している。

 一喜は肩を縮こまらせてポケットに手を突っ込み、廊下を歩く。

 渡り廊下にきたところで、茶色い枯葉が落ちていた。かさかさと音を立てるそれを小さく蹴って、土の上に追いやる。

 図書室のある棟に入り、二階に上がる。一番奥の部屋に向かいながら、そろそろ手袋でも持ってくるかと思う。

 毛糸のやつが家にあったはずだ。静電気が起こる確率には目を瞑る。

 薄汚れたプレートにかすれた第二文芸部の文字。手から炎でも出せたらいいのに、と一喜は白い息を吐いた。

「オラァ、篠宮! 今日こそ――」

 珍しく椅子から立ち上がって中腰になっていた美少女が振り向く。

 彼女の目の前には、細長い花瓶に生けられた白とピンクとオレンジの花。

 特に白の花は幾重にも広がる花弁が美しく、それでいて派手さよりも慎ましさを感じる見た目をしていた。

 腰にかかった長い黒髪がさらりと流れ、空中に放り出される。

 それと同時に、


 ばぢんっ


 と大きめの音がして、綺麗な花のついた枝がぽとりと落ちた。

 油を差していない扉のような動きで黒髪の美少女――篠宮佐織(しのみやさおり)が落ちた花を見つめる。

 同じように一喜も視線を落とし、

「……新しいストレス発散法か?」

 佐織は落ちた花を枝ごと掴んで足早に近づき、


「バイオクラッシュ!!」


 一喜の額にぷすっと根っこを刺した。

「あぁぁぁぁっ!? なんか地味に、地味に痛ぇ!!」

「冬ですから、色んなものが切れやすくなってるんです」

「なんか血ぃ出てる血!!」

「ささくれが()けたのと変わりませんよ」

「お前、格闘漫画だったら植物人間になってんぞ!?」

「もう、これ押し花にするしかないじゃないですか」

「無視してんじゃねぇよ!?」

 叫ぶ一喜をスルーして佐織は切ってしまった花をハンカチに包んで鞄に入れる。

 そして、もう一度剪定(せんてい)はさみを手にしてぱちぱちと形を整え始めた。

「……何してんだ?」

「残った枝の部分を切ってるんです。あと、花のついてない枝も。花に栄養がいかなくなりますから」

 鳴れた手つきで切り終え、落とした枝葉を小さなほうきとちりとりで集めてゴミ箱に捨てる。

 花瓶の中でしっとりと咲き誇る白い花を眺めながら、一喜はぽつりと呟いた。


「なんか、その花ってお前みたいだな」


 どきりとして、佐織はちりとりを取り落とした。


「何してんだお前?」

「ちょ、ちょっと手がぶつかって……ど、どういう意味ですか?」

 声がどもるのを抑えきれずに、佐織が聞き返す。

 一喜は寂しげに微笑み、

「だってさ、そうして花もつかねぇ枝を切り落として、選ばれし大輪の花を咲かせるわけだ。まるで俺ら底辺作家とお前みたいじゃねぇか。花の世界も理不尽な競争社会なんだな」

 しみじみと言ってのけた。

 空になったちりとりとほうきを片付けて、佐織はいつもの椅子に座る。

「園村くんのとこには栄養行かないじゃないですか」

「花より理不尽だってのかよぉ!!?」

 壁に拳を叩きつけ、一喜が嘆く。

 その背中をじっとり見つめ、佐織は花瓶を壁際の棚に退避させた。

 花瓶が倒れたりしたら大惨事である。これから先起こるであろう展開を考えると、佐織の判断は正しいと言えた。

「それで、今日の分はどうしたんですか?」

「おぉ、そうだ。あんまり好みじゃねぇんだが」

 ノートパソコンを置き、くるりと回して佐織に渡す。

 そこでようやく一喜は机の上に花瓶が無いことに気づき、棚の方に目をやった。

「そういや、あの花はなんだ?」

「クリスマスローズです。冬に咲く花で、白いのが特に人気の品種ですね」

 一喜が渋い顔をして、そうか、と頷く。

 その表情で佐織の溜飲も下がり、くすりと笑った。

椎奈(しいな)さんから貰ったんです。部室が殺風景だからって」

「モノならなんか色々無駄にあるぞ」

「そういう意味じゃなくて。配信のネタとして育ててたんですって。沢山咲いたからおすそ分けだーって」

 笑顔で押し付けてくる幼馴染の姿が簡単に想像できて、一喜の顔が更に渋くなる。

「邪魔なもん押し付けただけじゃねぇか」

「他人の好意をそんなふうに言っちゃダメですよ」

 半ば笑いながら言う辺り、佐織も分かってはいるのだろう。

「……まぁ、あいつよりお前の方が似合うのは間違いねぇからいいか」

 タッチパットに置いた佐織の指が、ぴくりと震えた。

 冬だというのに頬が火照り、若干目が泳ぐ。

 一喜に気づかれないうちに平常心に戻らなくてはならない。

 小さく深呼吸を繰り返して、パソコンの中の文字に集中した。

 外からの音は、今日は何も響いてこない。天気が曇っているから部活を中止しているのか、それとも雪が降りそうな空模様が音すら吸い込んでいるのか。

 シンとした空気が流れ、世界全部が静まり返っているような錯覚がする。

 二人の呼吸音だけが暖かく、毛細血管が膨張して肌が赤みがかる。


 科学的な説明を何個並べても。


 火照った頬の熱は説明できない。


 赤くなった指先が、タッチパットから離れた。


「ウィキペディアに頼りすぎちゃダメですよ」


「教えてグーグル先生!!!」

 机に思い切り頭を打ちつけ、収まったはずの血がまたちろちろと流れる。

 佐織が慌ててティッシュを取り出し、一喜の額を拭った。

「なにしてるんですか、もう」

「知らないことを調べたら悪いのかよぉ!?」

「それはいいですけど、あからさま過ぎますよ」

「二酸化炭素の濃度が高いとヤバイってことまでは分かっても、その先は知らねぇよ!」

「何事も噛み砕くのが大事ですよ」

 流石にこれ以上は痛いから嫌なのか、一喜は殴らずに頭をかきむしる。

 血を吸ったティッシュをポケットに入れて、佐織は涙目の底辺作家を見上げた。

「それに、バックドラフトも中毒もいいとして、これちゃんと『不死』殺せます?」

「死んだことにするかどうかは迷ってる」

「結構難しいですよ、『不死』の扱いって」

「知ってるよ! ていうか『不死』ってなんだよノスフェラトゥかよ!?」

 我慢の限界がきたのか、一喜は拳を机に打ち付ける。

 彼の手が赤くなっているのは、毛細血管の膨張なのだろうか。

「大体なぁ! 能力の応用って利きすぎるんだよ!! 言葉遊びかっつーくらいいくらでも取りようがあるから解釈とか限定が大事になんのに、なんでその全部無視して主人公だけやりたい放題なんだよ!? ていうか、その前に誰か応用したやついねぇのかよ、異世界人はバカしかいねぇのか!?」

「設定が面倒になりますからね、それ」

「じゃあそもそも面倒な能力にするんじゃねぇ! 応用とかいって、何でもありじゃねぇか!!」

「読者に驚きを提供するのも大事なところですから」

「せめてウィキペディアくらい見ろよぉ!!!」

 再び机にヘッドバットして突っ伏す。

 机に赤い点が出来た。

「……ところで、主人公の炎の能力って、どこまでにするつもりなんですか?」

 ぴくりと一喜が震える。

 窓の外は相変わらずの空模様で、分厚い発砲スチロールに全ての音が吸われているようだった。

「かなり応用利きますよね、これ。解釈次第ですけど」

 だから、部室の中に響く佐織の声も普段より良く聞こえた。

「この世界だと、どういう解釈にするんですか?」

 汗ばむ一喜の手のひらが示す意味は、羞恥か怒りか焦りなのか。

 どれだろうと、佐織にはどうでもいいことだった。

 滲む手のひらを机に押し付け、


「俺は敗北者じゃねぇ! 後付設定がなんか悪いのかよチクショー!!!」


 ずるりと滑って一喜は再び机に額をぶつけた。

 痛そうな音に佐織が目を細めている内に素早く復活し、ノートパソコンを奪い取って鞄を蹴飛ばし部室から走り去った。

 その後姿を見送り、佐織は溜息と共にティッシュで机の上の水分をふき取る。

 特に赤いシミがついたりすると面倒なので、少し念入りに。

 ティッシュを丸めてポケットに入れ、ぷるぷると震えるスマホを取り出して喉を詰まらせる。

 嘆息してLineに返信し、鞄を掴んで部室の鍵を閉めた。

 ティッシュをどこで捨てようか悩みながら、佐織は階段を下りていった。



 その夜、街に少しだけ雪が降った。

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