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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第一部・妖魔邂逅編、もしくは、魔術師になったよ、俺。

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第九十八話・虎視眈々と、相撲を取る?(国会の攻防、そして魔導商人がやってきたyayaya)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

 俺が魔法使いになったのをきっかけに、世界中が妖魔の存在を知る事になった。

 

 そして妖魔の存在が公となり、人々の生活のすぐ隣に妖魔を感じ始めると、人々は妖魔に対してさまざまな感情を揺り起こした。


 あるものは畏怖

 あるものは羨望

 そしてあるものは渇望。


 妖魔の力は人間にはない奇跡の技。

 それを欲するのは、満ち足りていないものとしては当然であり、それを得ることこそ人類に与えられた新たなる感情なのであろう。


………

……


「という事だ、乙葉、俺にあのブレスレットを作ってくれ。あれがあれば、俺はまた魔術師として華々しくデビューできる」


 朝一番の織田のコール。

 こいつ、つい先週妖魔に襲われたのに懲りていないのか?


「あのなぁ織田。この前、死にそうになったの忘れたのか? 魔術師と妖魔とは表裏一体、いつ狙われるか分からないんだぞ?」

「そこだ、そこだよ。俺は色々と経験して分かったんだ。乙葉浩介、お前の魔術の原点は血だ‼︎ 魔術師の血があれば、俺も魔術師になれる‼︎ だから輸血してくフベシッ‼︎」


──スパァァァァァン‼︎

 意味わからん事言う奴は手加減無用。

 空間収納チェストからハリセンを引き抜いて顔面を痛打だ。


「血がダメなら汗か? 体液なら良いんだろう?」

「良い訳あるかボケぇぇぇぇ。男に俺の体液をやる気はない。そもそも体液で魔術が継承されるなら……あ、今のなし」

「フッ……オトヤン……恨むからな」


 あ、さわやかな笑顔で祐太郎が女子に拉致られた。

 俺は途中で喋るのをやめたよ?

 恨むなら、その話を振ってきた織田を恨めよ祐太郎。

 両腕をガッチリと掴まれて、祐太郎は有無を言わずに女子に連行されましたとさ、めでたしめでたい。

 しかし体液ねぇ。

 これから祐太郎は女子のキスの嵐に翻弄されるに違いない。


「はいはい、HR始めるから全員席について。織田は廊下に出て行った女子と築地を捕まえてきて」


 ここでタイムアウト。

 要先生が来ましたよ。


「なんで俺だけなんですか? 乙葉も同罪ですよ?」

「あ〜はいはい。同罪の俺はちゃんと仕事しますよ。織田、祐太郎たちは体育館横にある用具室だ、女子も三人いるからガンガレ」

「なんでわかるんだよ、魔法かよ‼︎」


 当然。

 サーチゴーグルで祐太郎を追跡しただけ。


「俺は魔法使いだぜ?」

「先生‼︎ 校則で魔法禁止にしませんか?」

「生徒会で署名でもしてみたら? 私はその辺りは詳しくないからね」


 魔法が禁止されても、校外では使えるから問題ないけどさ。

 まあ、法律で魔法が兵器扱いされて、禁止されたらまた考えるけど。


 そんなこんなで学校も終わり、自宅に帰ったら祐太郎の親父さんが用事があるとかで俺に顔を出して欲しいんだとさ。


……


「改めて、始めまして。日本国総理大臣の天羽太郎だ。テレビでよく見る顔だから分かるだろう?」


 祐太郎宅の居間に通されたら、総理大臣の天羽太郎がいましたが。

 べらんめぇ口調に言いたい放題な発言、そして漫画アニメに造詣が深いことから、オタクからは『太郎閣下』と呼ばれているほどに支持率が高い総理大臣が、なんで俺に用事?


「は、始めまして、乙葉浩介ですますだすどす‼︎」

「まあ、緊張するなや。今日はな、色々と教えて欲しいことがあって来たんだが」

「は、はい、俺の分かることでしたら」


 もうね、上がりまくりだよ。

 それで質問の内容は、俺が人に魔法を教えて、果たして魔法を使えるやつが出るかどうか。

 

「そうですね。正直言いますと分かりません。今現在、第六課で把握している魔術師はおそらく俺を含めて四名です。そこにヘキサグラムの元機械化兵士エクスマキナの二人を足して合計六名。これが、俺の知る魔術師ですね」

「それはあれか? 全員、君が教えたのか?」

「う〜ん。理論は教えました。機械化兵士エクスマキナの二人には光球ライトの術式も教えましたが、恐らくは、まともに魔法が使えるのはその二人だけですね」

「築地祐太郎は闘気だったよな。後の二人の女子はどうなんだ?」

「皆さんが求めている魔術とは違いますね。そもそも新山さんの神聖魔法は神の加護あってのものです、教えて使えるものではありません」


 ここは正直にいこう。

 スクロールがあれば誰でも魔法は使えるようになれる、但し魔力があって魔術回路が開いていたら。

 その魔術回路が開かないから、誰でも彼でも魔術師になれるわけではない。


「それじゃあ、人を殺せる魔法はあるのか?」

「……あります。って言うか、その気になればどんな武器でも人は殺せますよね? それと同じだと思いますよ」

「守るも攻めるも、個人の意思か。極論ならそうなるよなぁ」

「ええ。ですから、俺は妖魔以外には魔法は極力使いませんよ。身にかかる火の粉を振り払うためには使うかもしれませんが、意図して人を攻撃するために魔法を使うことはまずないかと」


 ないよな?

 俺、人に向かって無慈悲に魔法使ったことは……校舎裏の呼び出しぐらいだよな?

 秋葉原のイキリバンダナーズは憑依されていたからノーカウントだよな?

 数えたら他にも出てきそうだから、ここは黙っておこう。


「それじゃあ、もしも魔術の行使が許可制になったらどうする?」


 そこは考えてなかった。

 まあ、免許を取れば使えるのか?

 でも、これって個人の力だよね? それを国が管理するって言うこと?


「それって、魔術師を国が管理するって言う事ですか?」

「そう取ってくれて構わんよ」


 正直だなぁ。

 それなら、少し牽制しておくか。


「その時は、外国籍とって日本から出て行きますよ。今の話って、俺自身を国で管理するって言うのと同じですよね?」

「まあ、そうなるよなぁ。今よ、国会の方でお前さんたち魔術師を国の管理下に置いた方がいいって話が出始めてなぁ」

「ご自由にどうぞ、その時はアメリゴにでも行きますから」

「そうなるよなぁ。まあ、そうしないように動いてはいるんだが、野党が煩くてなぁ。マスコミまで味方につけ始めてよ、魔術の危険度をテレビで解説させたりとやる事が露骨すぎるんだよ」


 流石はマスゴミと呼ばれる報道関係。

 一部の碌でもないマスコミのおかげで、優良な報道局が割りを食っているんだよ?

 俺は声を大にして言いたいね。

 言わないけど。


「まあ、俺は今までもこれからも、国家の犬に成り下がるつもりはありませんよ。魔術は大衆の為であれ、これを貫きます」

「お前さん、漫画の見過ぎだ。そこは魔術じゃなく錬金術じゃなかったか?」

「流石は太郎閣下。漫画アニメに対しての造詣が深くいらっしゃります」

「今のを例に出すとしたら、国家のトップである俺はホムンクルスなんだが?」

「まっさかぁ。俺の鑑定眼じゃあ太郎閣下は人間ですよ」

「おいおい、勝手に鑑定するなよ……おっかねぇなぁ」


 やべ、思わず見ちゃったよ。

 自粛自粛。


「まあ、大体の話は聞いた。これから野党がなんだかんだと煩くなるけどよ、お前さんはお前さんの信じたことをやれば良い」

「はい‼︎」

「それじゃあ、魔窟に戻るか。明日からの委員会が楽しみだわ」


 やべえ、太郎閣下がやる気十分だ。

 俺は黙って国会中継を見ていよっと。



………

……


 翌日。

 永田町・国会議事堂。

 妖魔等関連法案が成立してからは、魔術解析委員会が忙しそうに連日会議を繰り返している。



「現在、我が日本国内で魔術が使えるのは安倍家、井川家、そして乙葉家の3つの家系のみ。安倍家は陰陽府所属であり、国家の管理下のもとに厳重に管理されています。井川家は内閣府公安部第六課に所属してあり、これも実質国家の管理と言って良いでしょう」


 まず会議の口火を切ったのは野党第一党・国権民進党の燐訪リンポウ代表。

 

「ですが、乙葉家については全くの手付かず、民間人が兵器とも同等、それ以上の力を有したまま監視もなく放置されていることについて、天羽総理、説明をお願いします」


 現時点で、与党が妖魔関連法案を成立させてしまったため、野党としては自分たちに有力な切り札が欲しい。

 それならば、乙葉浩介を野党の息のかかった部署に囲い込めば良い。

 可能ならば、囲い込みさえして仕舞えば、あとは川端政務官秘書である人魔・陣内の『思考誘導』で傀儡にしてしまえばいい。

 川端政務官は自民党派閥ではあるが、立ち位置はほぼ中庸、美味しい餌さえチラつかせたらこちらに靡かせることもできる。

 そう人魔・小澤に説明を受けているので、燐訪リンポウとしてもここは上手く話を進めなくてはならない。


 昨年、乙葉浩介たちが国会議事堂を訪れた際に起こした襲撃事件、それは全て綺麗に揉み消した。

 例え証拠が残っていても、それを管理しているものが『なぜか紛失し、あったことさえ存在しなくなる』ので問題はない。

 そのためにかなりの代償を支払い、人魔・陣内の力を借りたのである。



「現時点では、乙葉浩介の魔術は人間に対して害意を与えるものではないと報告を受けていますが」

「詭弁です。魔術の強さについては、別途公開した資料からも分かる通りです。魔術とは対人兵器の塊であり、それを使えるものの道徳によって管理される……では、その道徳が守られなかった場合は、誰が責任を取るのですか?」

「そりゃあ、道徳を破った本人だろうが。他に誰が責任を取るんだ?」

「貴方たち与党は、我々こそが魔術を管理すると言う責任感はないのですか?」

「魔術は個人の所有する能力だ。それを国家が管理なんて出来るはずがないだろうが」

「アメリゴは銃の規制を行わなかったから、銃犯罪が後を立ちません。そのような悲劇を日本で起こすつもりですか?」


 拳を高らかにあげて叫ぶ燐訪リンポウ

 勝った。

 銃社会の恐怖については、嫌というほど説明してきた。

 これで反論できるならしてみなさいって顔で、燐訪リンポウ議員が壇上でドヤ顔をしている。


「あのよぉ〜。乙葉浩介以外に、誰が魔法を使えるんだ?」

「可能性の問題です‼︎」

「だから、その可能性は何%だ? 銃は金を出せば買える。じゃあ魔法は? どれだけ金を出したら買えるんだ?」

「こちらの資料では、乙葉浩介は魔術の講習は行うが1時間につき一億円を請求しています。それも一人につきですよ? これはつまりは、一億円あれば誰でも魔術が使えると言え事ですよね?」

「会話を切り取って説明するなや。乙葉浩介は、覚えられるかどうかは本人次第って話だったんじゃないか? それとな、個人の力を国家で縛り付けることはやめた方がいいぞ」


 淡々と続く会話。

 しかし、俺の個人情報がダダ漏れなんだが。

 しかもだ、なんで野党があの話を知っているんだ?

 

「魔術は、今の現状では抑止力そのものです。それを国家が管理しなくてどうすると言うのですか?」

「あいつは、国家に管理されるなら日本国籍捨てるとよ。その件で話も聞いてきたし、昨晩はアメリゴのマクトミン大統領ともホットラインで話したんだわ。その時は、あいつはアメリゴが保護してくれるってよ」

「なっ‼︎ 越権行為じゃないですか? そのような重大な話をどうして委員会を通す事なく話をしているのですか?」

「いや? ただの世間話だよ。そろそろ大統領選挙だろ? 調子はどうだってよ……まあ、この件については、そろそろ止めましょうや。そちらさんも藪を突いて蛇を出す気はないでしょうから」


 これでフィニッシュ。

 燐訪リンポウは苦虫を噛むような顔で壇上から降りていく。

 そして話は次の議題に変わっていった。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 翌日。

 まあ、あの国会中継があって何か変わるかなぁと思ったが、何も変わりません。

 学校はいつも通りだし、織田はウザイし。

 部活でも、相変わらず妖魔特区の対策について話しているし。


 本来なら、急ぎ封印杖と封印結界の退魔法具を回収しないとならないんだけど、やれ五稜郭に封じられている退魔刀やら、新山さんの神威の鍵の話やらで、冬休みは終わってしまいましたわ。

 ちくせう。


 そして放課後、校舎外正門横には大勢の生徒が集まっている。

 あれって、昔はよく見たよね?

 小学校の時とかに見た、校区内の路上販売。

 学研の付録をバラしたような実験道具を売ってるやつ。

 もしくは、手品の道具を売ってるやつな。



「乙葉ぁぁぁ。金貸してくれ」

「なんだ織田。俺は今日は掃除当番なんだが」

「そんなもの俺には関係ない。この前話したマジックアイテムの露店がそこに来ているんだよ、俺は魔法使いに戻るから10万円貸してくれ?」

「無いとは言わんが、貸さん。なんで俺がお前に投資するんだよ」

「お前、政府からの依頼で魔術師としての仕事をしていただろ? 給料貰ったんだろ? 金持ちだよな? 俺たち心の友だよな?」


 うむ、織田は平常運転だった。


「こ、と、わ、る。あんなガラクタよりも俺の方が高性能なマジックアイテム作れるわ」

「そ、そうか、済まなかった」


 トボトボと肩を落として教室から出ていく織田。 

 潔すぎて笑えてしまうが、露店ってことはジェラール・浪川だろ? 

 なんでここで商売しているんだ?


 これは気になるから、急いで掃除を終わらせて見てくるか。

 この前はまともに商品を見る時間が無かったからな。






誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


・今回のわかりづらいネタ?

 ○の錬金術師

 未来警察ウラ○マン


 どこだかわかるかな?

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 血と体液…超神にでもなるのかな
[一言] こ、と、わ、る←飽きた
[一言] 織田よ、頼むから死んでくれ
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