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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第一部・妖魔邂逅編、もしくは、魔術師になったよ、俺。

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第七十九話・議論百出、為さねばならぬ何事も(ゴーレムを作りつつ、妖魔に関しての議論というか?)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

 異世界系ラノベのお約束として、主人公は無自覚のうちに色々とやらかしてしまうという法則があります。

 チート能力を得ると、どうもそう言うところのストッパーが緩むと言うか、自己顕示欲がブーストすると言うか。


 一学期の終わりぎわに、俺はそうはならないと心に誓ったんですが、今はもうね、緩むどころか蛇口全開になっている気がしますわ。

 

 それ故に、ついうっかり魔法の箒で登校して、また風紀委員に怒られたわ。

 いや、今日は寝坊してさ、やばかったんだよ。

 それに、相変わらず近所には報道関係者の車両とかも待機しているしさ。


 以前のように家にやってきて『お話よろしいですか?』っていうのは無くなったんだけどさ、何かスクープがあるかもって張り付いている取材陣はいるわけよ。


 まあ、塀を乗り越えて取材とかそう言う輩はいないけど、家の中まで見られていそうなので庭に木を植えてさ、カナン魔導商会で『成長育成ポーション』を購入して樹木による天然の壁を作ったさ。


 結局、今日もやむなくバスで登校中なんだけど、相変わらず視線が痛い。

 まあ、サインくださいとかはないので、とりあえずヨシ。


……



 長閑な部活タイム。

 今日は要先生は第六課の仕事があるとかで既に学校にはいない。

 と言う事で、堂々とやばい話もできる。


「はぁ。魔法の箒の許可が欲しい……エンジンついてないし、魔力で飛ぶんだから何も問題ないと思うんだけどなぁ」

「自転車と同じなら軽車両だよなぁ。けど、軽車両の定義には魔法の箒なんてないからなぁ。オトヤン、どうする?」

「軽車両の定義ねぇ……」


 まあ、困った時はインターネット。

 検索エンジンのトップ『Google』で検索だよ。

 人に聞く前に『ゴグれカス‼︎』って言われるからね。


「ピッ…… なるほどなぁ」


 簡単に説明するとだね、軽車両とは『自転車、荷車その他人若しくは動物の力により、又は他の車両に牽引され、かつレールによらないで運転する車』だそうだ。

 これには牛馬も含むので、馬に乗っての登校もありだよなぁ。

 この事を祐太郎に説明すると、祐太郎もゴグり始めた。


「おやぁ? オトヤン、原動機があるとアウトだが、魔法の箒の原動機って?」

「浮遊魔術の術式の刻まれた魔晶石だけど?」


 その辺りは昨晩、徹夜で解析済み。

 お陰で材料さえあれば、錬金術で魔法の箒は作れる。それどころか、その気になれば、なんでも空を飛ばせます。


「俺が悪かった。でも、それなら原動機じゃないから道交法違反にはなら……なるか。政令指定車両じゃないわな」

「むしろ航空法関係だろうなぁ。ドローン申請してもだめだろうし、何か良い方法がないかなぁ」


 そもそも、人に見つからないように学校にいきたかったんだよ。その手段が魔法の箒で、透明化すればバレないよねって考えていた俺が悪かったよ。


「……馬車でも作るか?」

「なんでそう、斜め上の方向に思考を飛ばす?」

「いや、馬車なら馬が引くから軽車両だろ? 免許いらないし普通に車道を走らせられるだろう?」

「待て待て、馬はどうするんだよ?」


 祐太郎の鋭いツッコミである。

 だが、その程度の問題など解決してみせよう。


「ゴーレムホースを作る」

「オトヤン、アホだろ?」

「自然に優しいウッドゴーレムホースを作る」

「いや、それ多分だめだと思うぞ?」

「アグレッシブ・ビーストモードも搭載する」

「あ〜。完全武装か。F-35のフル装備モードだな?」


 ちゃうわ。

 

「あ〜、人の形を捨てて、極限戦闘モードになったE○Aか」


 それもちがうぞ?


「すまん、オトヤンのいうアグレッシブビーストモードはわからんのだが」

「ま、まあ、それは冗談だから置いておこう。それよりも祐太郎…ゴーレムホースはダメだろうか?」

「生き物である牛馬の定義を考えても、ゴーレムホースは動物じゃないからなぁ」

「魔法生物……じゃないか。まあ、現実逃避に作ってみるわ」


 計都姫達から聞いた、二つの退魔法具の話。

 大雪山に封じられているやつよりは、神居古潭の方が情報が集まりやすいと思ったんだけどさ。

 どうやら、綾女ねーさんは妖魔特区の中らしい。

 そして、俺が普段から甲乙兵でストリートマジックをしている場所の近くに行かないと会える確率が少ない。


 それってどこさ?

 転移門ゲートの近くでしょ?

 つまり、どのみち妖魔特区に入っていかないとならないんだけどなぁ。

 俺、妖魔特区入り口のチェックポイントで引っかかって入れないだろうなぁ。


 そんなことを考えつつ、頭の中で図面を描きながら必要な材料をカナン魔導商会から購入する。

 いやぁ、本当に便利便利。


 そして自宅に戻ってからは、部屋の中でゴーレム核を作成。

 錬金魔法陣に魔石、魔晶石を配置して、錬金術教本にある『ゴーレム製作』のページを開く。


「シェム・ハ・メフォラシュ……我は求める。与えよ、仮初めの魂。かの者に生命の息吹を」


 静かな詠唱。

 それが終わる頃、魔法陣が輝き、中央に配置されている魔晶石の表面に魔法文字が刻まれる。

 その中には魔石による核が融合し、静かに脈打ち始めた。


「ふぅ。これでゴーレム核は完成。ここに馬の動きを登録して……」


 これは簡単。

 NET-TUBEにアップされている馬の動画を、ゴーレム核にダウンロードするだけ。

 右手にゴーレム核、左手は画面の馬に向けて。


透写トレース……」


 馬の動きが頭の中を経由して、ゴーレム核に刻まれていく。凡そ時間にして30分、これはかなりキツイ。

 そして全ての書き込みが終わると、ゴーレム核は完成した。


「よし、これを量産化プロダクションして……」


 魔法陣に追加の魔晶石と魔石を五組配置。あとは量産化プロダクションの魔法で自動的に量産してゴーレム核を六組作り出して今日はおしまい。

 明日はゴーレムの本体を作る事にしようそうしよう。



 ◯ ◯ ◯ ◯ ◯



 取り敢えずは、今日も魔法の箒で登校。

 風紀委員にバレないように部室の窓から校内に入り、そのままクラスへゴーアゲイン。



「そう言えば、新山さんは登下校で報道関係者に付き纏わられたりしてない?」

「私はそうでも無いですね。最初は結構しつこかったのですけど、第六課の方が暫くの間は護衛してくれてましたから」

「へぇ。女の子だから、その辺りはしっかりとしてくれるんだね」

「そりゃそうさ。女性には紳士たれってね」

「全ての女性に等しく愛を振りまくユータロらしい意見をありがとう。でも、俺とユータロは殆ど放置プレーなんだけど?」


 と言ってみたものの、実力行使程度なら跳ね返せる俺達なので、第六課としても余計な人材をさきたく無いんだろうなぁ。

 

「乙葉君と築地君には、シフトで護衛がついていたらしいんですけど、当初から登下校時に二人の姿を見失うことが多くなって、止めたそうですよ」

「「 ですよね〜 」」


 そりゃ見ないわ。

 俺も祐太郎も空飛んで帰るからなぁ。


「さて、そんじゃ今日ものんびりと授業を受けますか」


……


 そして放課後。

 部室でゴーレム本体を作ろうかと思ったんだけど、どう見ても狭い。

 机と椅子を片付けたらなんとかなりそうなんだけどさ、そこまでして今やることか?

 部室の中では、瀬川先輩が深淵の書庫アーカイブを展開して閉じこもっているのに。



「先輩、今は何を調べていますか?」

「ん? 妖魔特区内の妖魔の動向を深淵の書庫アーカイブで自動追尾しているところですわ。此方をご覧くださいな」


──ピッ

 室内にあるテレビモニターに画像を映し出してもらう。

 場所はテレビ塔下、そこで百道烈士(くどれっし)が椅子に座ってのんびりとしている。

 

「何だろうなぁ、この観光に疲れたツアー客のような状態は。って、先輩、これ、ここの部分アップにできますか?」


 一瞬だけど、見た顔がいた。

 その部分を指さすと、先輩が画像を拡大してくれる。


「うーん。監視カメラをハッキングしているから、ズームとかは厳しそうね」


 それでも拡大してくれた場所には、なんとなく見たことのある女性の姿があった。


「なあオトヤン。これって、白桃姫だよな?」

「うーん。画像がブレているから確認はできないけどさ。このコウモリのような竜のような翼は、多分、白桃姫だよな」

「え? それじゃあ、白桃姫は自力でゲートを開いたの?」

「もしも、そこに映っているのが白桃姫さんなら、自力で開いたのでしょうね。もしくは、自分だけどうにか出てきたか」


 やばい。

 これはかーなーりやばい。

 あいつは人間を餌としか見ていないんだよ?

 まあ、それを言ったら百道烈士(くどれっし)も同じようなものだけどさ。

 何は兎も角、人を糧とする妖魔との共存は絶対にお断り申す、もっす。


「はぁ。今度はガチでやらないとダメか。それにしてもさ、妖魔を倒す方法って、先輩の深淵の書庫アーカイブで何かわかりますか?」

「そうねぇ。では折角ですから、基本的に妖魔についての情報をまとめてみましょうか」


 と言うことで、改めて妖魔についての説明会。


……


⚫︎妖魔とは、鏡刻界ミラーワーズでいう魔族の総称である。


⚫︎肉体を持たない『精神生命体』であり、物理的攻撃に対しては完全耐性を持っている。


⚫︎妖魔は、人間および全ての生命体の『精気』『生気』を糧として生きている。但し、鏡刻界ミラーワーズでは人間型生命体から摂取することができない。


⚫︎一部の中級妖魔、および上級妖魔は『実体化』という、人間と同じ肉体構成を行うことができる。

 これは、魔力の乏しい人間世界では、生きる糧として人間と同じ食料を必要とするからである。


⚫︎基本的には、妖魔は死なない。

 妖魔を殺すためには、体内にある『妖魔核・魔人核』を破壊するか、精神生命体状態で『封印』もしくは『浄化』する必要がある。


……

 

「と、言うことで。これが俺たちの持つ情報及び先輩が深淵の書庫アーカイブで調べた情報です。これ以外にもあるかと思いますが、まだ不足していると思われます」


 ホワイトボードに書き出した妖魔についての情報。

 これはおそらく、第六課も周知の事実だろう。


「まあ、今までは俺やオトヤンは、妖魔をそこそこ倒してきたけど浄化はしたことない。封印も当然わからない。妖魔核をひたすら破壊してきたから」

「けど、当然撃ち漏らしも多い。って言うか、半分以上は撃ち漏らしてたと思う」

「その、妖魔核を破壊できなかったり、浄化できなかった妖魔って再生するのですよね?」


 そう。

 そこがネック。

 浄化・封印出来なかった妖魔は『霧散化』する。

 これもあとで情報に追加しておこう。

 そした霧散化した妖魔は、人間に憑依して生気を吸収し、再び再生する。


「そこなんだよ。今の日本で、妖魔を封印できるのは呪符師である井川巡査部長と、その師匠さんだけなんだってさ。そして封印出来ても、封印呪符がないと完全じゃ無い」


 封印に必要なものは全部で三つ。


 妖魔を封印する場所となる『封印媒体』

 妖魔を封印する『封印術式』

 そして封印を固定化する『封印呪符』


 この一つでも欠けていたらダメらしい。

 

「封印媒体ってなんですか?」

「さぁ? 俺も知らないんだよ。先輩分かりますか?」

「純度の高い宝石や貴金属、聖別された物品の総称ですね。大きさや形状も関係しているかと思われますが、概ね中級妖魔程度でしたら重さで30g以上のものが必要かと」

「成る程なぁ。オトヤンは封印術式って使えるのか?」


 祐太郎に問われると、ふと気になって魔導書を取り出して調べる。

 未だ第四聖典ザ・フォースまでしか表示されていないが、俺の魔導書には封印術式は記されていない。


「いや、ないな。創造するにしても、俺の魔術をある程度ベースにしないと難しいんだわ」

「そっか。それじゃあ、妖魔核を狙うしか無いのか」

「そうなるね。でも、百道烈士(くどれっし)クラスの妖魔相手だと、サーチしながらの戦闘なんてできないからなぁ」


 そこが問題。

 となると、やはり封印術式と封印呪符を専門に扱える仲間が必要……って、やばいやばい、何で俺たちが前に出て戦う話をしているんだよ?


「……最近、毒されてきたかなぁ。俺としては平和に過ごしたいだけなんだけどなぁ」

「オトヤンの好きに生きたらいいんじゃね?」

「まあ、今でも好き勝手に生きているけどさぁ……やめやめ、この話はおしまい。俺はゴーレムホース作ってくるわ」


 席を外して校舎の外に出る。

 中庭の広い場所だと悪目立ちするので、グランド近くの林まで移動すると、空間収納チェストから大量の木材を引き摺り出す。


「さて、術式は問題なし。錬金術教本より、馬形ゴーレムのボディ図面をサーチ。『変形』開始っ‼︎」


 錬金術魔法を駆使して木製の馬型を作成。

 『融合』『変形』『拡大』『縮小』『接合』

 この五つの魔法で大体のものは作り出せることがわかった。

 この馬型の素材に昨晩作成したゴーレム核を『融合』することで、はい、ゴーレムホースの出来上がり。


 ここまで僅か38分、まずまずのタイムである。

 周囲にギャラリーが集まっているけど無視。

 校門外では報道陣がソワソワしているけどあれも無視。


「取り敢えずは、マスター登録して……」


 馬の額に手を当てて魔力を注ぎ込む。


「マスターコントロールを登録します。ファーストは俺、セカンドは築地祐太郎、瀬川雅、新山小春の三名で。セカンドの魔力は後ほど登録します……と、これでよし」


 マスター登録が終わると、ゴーレムホースはまるで普通の生き物のように動き始めた。


──オオオオオオオ‼︎

 周囲の生徒が驚きの声をあげているが、まあ、あえて無視して駐輪場にゴーレムホースを連れていって繋いでおく。

 どうせ俺以外には使えないんだから安全さ。

 あとは職員室に行って登校用の登録を……。


「あ、馬車本体がないや、今日のところは諦めて持ち帰るとしますか」


 空間収納チェストに収めれば移動も楽。

 それならそれでいいやと言うことで、部室に戻って三人に事情を説明し、セカンド登録を終わらせる。

 あとはまあ、いつものようにのんびりと部活を……。


──パカッパカッ

 校内の敷地の中を、ゴーレムホースに乗った瀬川先輩と新山さんが歩いている。

 乗馬体験希望らしいので、構わないですよって話したら喜んで乗馬体験しておりますよ。

 それを見ていた他の生徒が俺たちに声を掛けたくてウズウズしているんだけど。


 声を掛けてくれれば乗せてあげるよ?

 さあ、勇気を出して声をかけたまえ‼︎


「お、乙葉‼︎ あのゴーレムはお前のか? 俺にも作ってくれ!美女のメイドゴーレムを‼︎」


 下校途中の織田が、真っ赤な顔で走ってきたわ。

 みんな、こいつぐらい本音で来てくれたらいいんだからね。


「人型ゴーレムなんて作れるかぁ‼︎」

「な、なら、あの馬を……馬に乗せてくれ‼︎」


 今、馬を寄越せって言いそうになって乗せろって変えたな?


「それは構わんよ。先輩たちが戻ってきたら乗ればいい。校庭敷地内な」

「サンキュー‼︎ 心の友よ‼︎」

「お前なんか知らんわ」


 そうは言うが、織田も楽しそうに乗っているので良しと。

 そして校舎から走ってきた風紀委員会顧問の先生に、俺は連行されましたともさ。


 登下校に馬及び馬車は禁止だった。

 明日までに反省文、というお土産をもらいましたとも。

 はぁ、ゴーレムホースに引いてもらう馬車はありだと思ったんだけどなぁ。




 


誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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― 新着の感想 ―
[一言] 校則にそこまで明記されているとは・・・ 試される大地の高校では、それがデフォなのでしょうか?
[一言] ニッチな校則が追加されていくわけだww ゴーレムは獣を超え人を超え超獣機神になるのだろうか
感想一覧
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