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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第一部・妖魔邂逅編、もしくは、魔術師になったよ、俺。

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第五十九話・勇猛果敢、木から落ちる?

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

 さて。


 日本国による妖魔の存在露見、それに追従するように世界各国が妖魔に対しての見解を発信し始めている。


 妖魔容認国、妖魔敵対国、完全中立国など様々な立場を示しており、おおよそ先進国と呼ばれる国の八割は妖魔容認を宣言、後進国・発展途上国は敵対もしくは中立を支持している。


 その背景は、『妖魔に対しての対処能力があるかないか』であり、先進国は妖魔の脅威に対する手段を持っているために、自分たちが有利であるかのように共存を『認めて』いる。

 対しての後進国は、妖魔の存在を知るものの対応手段がなく、かと言って共存など持ち込んで自分たちが捕食対象になるのを未然に防ぐということで中立をもしくは敵対している。

 確たる切り札を持たず、共存などできるはずがない。

 何分、相手は我々人類では勝ち目のない存在なのであるから。


 やがてこの件は国連をも巻き込む大きな事態に発展するのだが、それはあと一年後の年末までに解決するのだろうか。



………

……



「……まあ。こんな感じで各国の対妖魔活動については賛否両論、日本国は共存の道を進むために法整備が進められています」


 いつもののんびりとした部活タイム。

 その始まりは、要先生の説明から始まった。


「あの、それって俺たちに話していいんですか? 第六課の秘密事項とかではなくて?」

「ええ。そんなにあっさりと説明されますと、何か裏があるのではないかと心配になりますよ?」


 俺と瀬川先輩のツッコミに、要先生はニコニコとしている。


「この件は後日、政府調査委員会からも公表されますから問題はありませんよ。日本国政府としても、今のうちに妖魔についての情報を可能な限り公開して、受け入れるための下地を作りたいところですから」

「成る程ねぇ。まあ、俺たちとしては、特に問題はないから構わないよ。どうせこの後、第六課まで顔出そうと考えていたからさ」


 そう告げながら、空間収納チェストから『封印呪符』を取り出す。

 もう今更、要先生には俺の魔法を隠す必要はないって考えたから、堂々と見せている。


「あ、相変わらず何もないところから物を出し入れするのね。そういう魔法って、私でも習得できるのかしら?」

「さぁ? 出来るかもしれないし出来ないかもしれない。俺としては、覚えてもらった方が楽だから教えても構わないんだけどさ、要先生って魔術回路とか理解できる?」


 俺以外の人間で、例えば政府関係者が魔法を使えるようになったとしたら、俺のところに面倒な案件は来ないだろうと判断。

 そしてそれは恐らく最適解なのだろうと、文学部の魔法知ってるメンバー全員の意見が一致した。

 とは言え、魔法が使えるようになるために最低限必要な魔力は、現代人ではどうやっても補うことはできない。

 魔力回路の活性化には、最低でも魔力500は欲しい。300有れば魔力循環は出来るかもしれないけれど、安全マージンを考えると500なんだろう。


「ええっと、井川巡査長から簡単な講義は受けているのよ? 妖魔のことが公になった時点で、井川巡査長の本家である安倍家は『呪符大系』の育成について検討を始めたそうですし、新しい弟子を受け入れる準備は始めたそうですから」

「安倍って、安倍晴明ですか?」


 瀬川先輩が話に食いついた。


「ええ。現存する日本の魔術は呪符魔術のみ、それ以外は全て血統が絶たれてますから。あ、この場合は魔術が使える血筋という意味ですよ? 血族はしっかりと残っていますから」

「ふぅん。陰陽道や密教系魔術は、使える者はいないということですか?」

「ええ。全て失われて久しいと思われます。漫画やアニメでは残っていますし、自称魔術師とか、何とかの転生者って言う人はネットで見かけますけどね」


 あ、厨二病患っているのですね。


「そういう理由だから、乙葉君は弟子を取って魔術を広めるべきなのよ。そういう気はないのかしら?」

「ないです(キッパリ)」

「え……今の世界には必要よ? それに弟子を取ったらお金稼げるわよ? 乙葉魔術道場とか看板を立ててさ」

「あ〜、その発想はないわぁ」

「築地くんだって、乙葉君から魔術を学んだら将来は安泰よ?」

「あ、俺はうちの系列会社を一つ貰う予定ですから」

「私も、父の残した会社を維持しなくてはなりませんので」


 部室の隅で座禅組んで闘気を練り上げている祐太郎と、瀬川先輩にはそういった手段は通用しない。

 それに、俺としても神様から貰ったチート能力を『他人に有料で教える』のは違うと思う。

 まあ定期的にロト6 で小遣いは稼がせてもらっていますが何か問題でも?


「そ、それじゃあ新山さんは? 乙葉君から魔術を教えてもらったら、将来は安泰よ?」

「ええっと……そういうのは違うような気がします」


 お、新山さんも反対派ですか‼︎


(だって、乙葉君がそんな事になったら、今まで以上に自由に会えなくなるから)


 ゴニョゴニョと新山さんが何かを呟いたようですが、俺の耳には聞こえていない。

 でも、隣の瀬川先輩の耳には届いたらしく、二人でヒシッと抱き合っている。


「ふぅ。後継者育成作戦もダメかぁ。それならさ、誰でも簡単に扱える魔導具って作れる?」

「……何か、今日は随分と食い付きますね。忍冬警部補から何か言われたのですか?」


──ギクッ

 そう問いかけると、要先生の視線がキョロキョロと動いた。


「そ、そんなことはないですよ?」


 うむ、どう見ても怪しい。

 それならそれで、此方としても手がないわけではい。

 今朝方、カナン魔導商会で見たお勧め商品をポチッと購入。

 それを空間収納チェストから取り出して、テーブルの上に置く。


──チャラチャチャン‼︎

嘘発見水晶ライアーオーブぅぅぅぅ」


 どこかで聞いたような掛け声で、水晶球をテーブルに置いた。


「そ、それは何かしら?」

「これはですね、解答者に水晶の上に手を置いてもらい、質問をするのですよ。それで嘘をついたら水晶球が赤く輝くというものです」

「へ、へぇ。それも乙葉君が作ったのかしら?」

「まさか。俺はこんな凄いものは作れないですよ。ということで、要先生、水晶球に手を乗せてください」


 そう告げると、要先生は恐る恐る手を乗せる。

 俺のことを知っているなら、信じているなら絶対に手を乗せるはずがないのに。

 それでも乗せるっていうことは、興味津々なのですね。


「これで良いかしら?」

「はいオッケーです。では第一問、要先生は付き合っている男性はいますか?」

「当然よ。こう見えても第六課でもモテモテなのですよ?」


──ブーッ

 水晶球が真っ赤に輝いた。

 これには要先生もアタフタしている。


「……見栄ですか」

「見栄ですね?」

「要先生、可愛いですわ」


 俺と女性陣のフルツッコミに、要先生も真っ赤になる。


「こ、こんな事って、これが有れば、犯罪捜査もかなり進むわよ?」

「魔法による自供については、法的に認められないでしょう? それじゃあ本番。要先生、もう一度手をのせてください」


 そう告げると、要先生は手を乗せる。

 だけど、今度は何も質問しないのに黄色く輝いた。


「え? これは何?」

「取説見ますね……あ、要先生、ちゃんと手を乗せていませんね? 翳しているだけでしょ? その場合は黄色く光るそうですよ」


──ギクッ

 どうやら図星だったらしく、諦めて手を乗せる。


「それじゃあ本番。忍冬警部補から、俺の秘密を聞き出すように命じられました?」

「……いいえ」


──ブーッ

「俺の魔術を探って、使い方を教えてもらうように言われました?」

「いいえ‼︎」


──ブーッ

「俺や仲間たちを、妖魔共存派閥に引き込むように言われました?」

「いいえ」


──シーン

「え、そこは言われていないんだ。てっきりそれも言われているかと思ったのに」

「まさか。乙葉君の存在は、今の日本にとってはかなり貴重なのよ? まだその情報を知っているのは私たち第六課やあなたの関係者だけ。だから、引き込むとかそういうレベル以前よ?」

「成る程ね。じゃあ最後の質問。要先生は、俺たちの味方?」

「ええ。私は味方のつもりよ?」


──シーン

 お、反応ない。

 これなら信用しても良いけど、これから先はどうなるか分からないから俺の秘密はそのままで。


「ありがとうございます。それじゃあこれはしまいましょう」

「待って、私だけ質問されて秘密があばかれるのはフェアじゃないわよ。私からも質問させて?」

「……まあ、そうなりますよね。それじゃあ一つだけで」

「二つお願い」


 まあ、二つなら良いか。

 そう考えて、俺は水晶球に手を乗せる。


「それじゃあ質問。乙葉浩介君、あなたは妖魔と連んで、私たち人間の世界を混乱に落とそうとしていますか?」

「いいえ」


──シーン

 ここで反応するはずがない。

 俺は平穏を望んでいるのだからね


「はぁ、反応ないのね。なら、この後の質問は必要ないわ……と、それじゃあ面白い質問して良い?」


 要先生が、部室の棚をチラッと見てそう問いかける。

 そこになにか面白い本あったかなぁ?


「構いませんよ、どうぞ」

「それじゃあ、今流行りだから質問するわね。あなたの能力、よくあるラノベみたいに神様から授かったチート能力かしら?」


──ブホッ‼︎

 それで本棚見たのかよ‼︎

 まあ、どうせ水晶球に手をのせているんだからバレるよな。


「ああ。俺は一度死んで神様からチート能力をもらったんだ。どんな能力かは教えない、俺の力でもあるからね」


──シーン

 当然反応するはずがない。

 寧ろ、そこで反応しなくて呆然としている要先生、何か反応してくれよ。


「え? 冗談で適当な質問したのに……」

「そういう事。この事実を知っているのはここのメンバーだけだから、先生も内緒な」

 

 すぐさま水晶球を仕舞い込む。

 これでこの話はおしまい、要先生は腕を組んでうーんうーんと唸っているけど、まあ、考えていてくださいな。

 宮仕えとしては報告したいけど、俺からの頼みを破るわけにはって感じだね。


 それで部活は終わり。

 あとは皆さん帰宅でございますが、先輩、鞄忘れてますよ?


「あ、そのカバンはそこに置いておいて。ちょっと検証したいことがあるからね」

「はぁ、何が入っているの?」

「私のノートパソコンよ、アップデートが間に合わなかったからここでアップデートもしてしまおうと思ってね」


 どうりで電源プラグもLANケーブルも繋ぎっぱなしなのか。しかし、この辺りの管理が緩いのも、要先生のおかげですよ。

 ということで、とっとと帰る事にしましょう。

 まあ明日も何事もなければ良いんだけれどね。


 

誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 妖魔の名前に神話系が居るならば世界三大宗教に関わる人達は…人ではない可能性も有るのかな?
[一言] 冒頭の各国の先進国の内8割は妖魔容認派、と言うのがちとおかしいかなと。 キリスト教とかは悪魔とか大嫌いなはずでは?
[一言] そこはもう一歩ギミックを進めて、バツだったら 磔になったキリ○トが腕をバツ字にして 上から水が降ってくるようにしようず
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