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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第十部・幻想郷探訪と、新たな敵

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582/591

第582話・(結論から説明させてもらう。この魔族はエロい)

 さて。

 くだんの滝山教授派閥が所有していた魔導具ですが。

 あの後、内閣府退魔機関第三課の退魔官が到着し、簡易鑑定を行ってくれました。

 ちなみに簡易鑑定に使用されていた魔導具『真偽の水晶版』は俺ちゃんが作って買い取ってもらったものです。

 ゆえに、鑑定能力は折り紙付き。問題は使用回数がチャージ式のため、チャージ回数がゼロになったら魔力を補充しなくてはなりません。

 尚、魔導具の魔力チャージについては、妖魔特区一丁目ラティエ領の魔族がアルバイトで行っているそうなので。

 今後も、この地に避難してきた魔族の収入源になったらいいなぁ……っていうか、その大本になる魔導具は俺が作らないといけないのだけどね。

 とっとと錬金術師の育成でも始めた方がいいのかもしれないけれど、結構危険なんだよなぁという事で保留。

 まあ、俺の講義の時にでも錬金術に触れてみるのもありかとは思うけれどね。


〇 〇 〇 〇 〇


――妖魔特区

「それで、滝山教授たちは逮捕されたのですか……」

「そういう事。現行犯だね」


 あの後、滝山教授らは『違法魔導具所持および無許可での使用』ということで現行犯逮捕。

 退魔官って、魔術や魔族などの調査要検証に関する犯罪については逮捕権を有しているらしく、あっさりと御用になりまして。

 面倒臭いのは、滝山教授らの受け持っていた講義も俺が担当する事になってね、色々と面倒臭い事になって来たんだわ。

 それでなくてもやらないとならない事が多いっていうのに。


「そんで、ちょいと聞きたいんだけれど、何で今日はこの札幌テレビ城下に織田と松永もいるわけ?」

「まあ、話せば長い事になるんだが。要は魔術師としての腕を磨くために、ここにいる魔族に弟子入りをしたいっていう事だ」

「あ、俺は織田の付き合いだからな。まあ、俺としても心霊治癒師としての腕を磨きたいので、ここに来たんだが」

「成程ねぇ……心霊治癒師ねぇ」


 いつの間に……って思ったけれど、まあ、そういえば前から予兆はあったよなぁと。

 そして新山さんと一緒にここに来て、白桃姫と相談していたところに俺が到着したっていう事か。

 それにしてもさ、白桃姫がさっきからずっと空を見上げているのは、どういう事?


「なあ白桃姫さんや、空に何かあるのか」

「ある……というかおる。とっても面倒臭い奴がのう」


 はぁ、とため息を一つつきながら、白桃姫が新山さんに向かって一言。


「小春や、ミーディアの盾の準備。そこのひよっこ魔術師共も、体表面に魔力をコートすることぐらいはできるじゃろ? それで体全体を包んでおくがいい。乙葉はまあ、手加減をよろしくな」

「手加減? それにその指示って一体……ってああ、そういうことか」


 白桃姫が見ていた場所、そのあたりの『対物理結界障壁』がドロリと溶け、何者かが空から降ってくる。

 そして一瞬のうちの俺の真正面に着地したと思ったら、俺に向かって右手を差し出した。


「うふふ、うふふふ。ピク・ラティエったら、こんなにおいしそうな獲物を蓄えているなんて。一人頂戴♡」

「阿呆が。久しぶりの再会かと思ったら、なんじゃその言いようは。ここにおるのは、妾の食料ではない、友人達とそのツレじゃ」


 その連れと言われて、織田と松永がお互いを呼び指しているんだが。

 俺の連れというのはお前達しかいないだろうが。

 それにしても、高校時代は魔族だの獣だのという事件がある度にビビっていたお前達が、全く動じていないというのは逆に凄いわ。


「ふぅん。それじゃあ、この目の前の男の子だけでもつまみ食いしていいかし……ら……って、何この波動、勇者でもいるの?」


 何か殺気を感じたのか、目の前の魔族が慌てて周囲を見渡したのだが。

 その瞬間、新山さんのメディアの楯が二つに分かれ、四枚の楯となって目の前の魔族を囲んだ。

 ほら、正四面体っていうか、三角形のピラミッドというか……ああ、フィンファンネルっていえばわかるのか。

 あんな感じで魔族を囲み、バリアのようなものを展開している。


「……うわ、新山さん、いつのまにこんな技を?」

「神威の制御が少しずつでき始めた時からですね。それよりも、そこの魔族さんは乙葉くんをつまみ食いするって言いました? 私の乙葉くんを……」

「「うわぁ……」」


 何というか態度が豹変し、ギン、と魔族を睨みつけている新山さん。

 いや、私の乙葉くんって嬉しいんだけれど。

 あんまりこういう時に自己主張する事はなかったから、何というか新鮮。


「あ、あのな乙葉……新山さんの発言だが、女子会などでは結構頻繁にあるらしいぞ」

「そうそう、俺の彼女も、新山さんのノロケ話に一時間付き合って、口から砂糖を吐きそうになったって言っていたからな」

「まじか……それよりも、松永に彼女がいる方が驚きだわ……って、新山さん待った、ステイ!!」

「え、あ、はい」


 俺が声をかけた時点で、新山さんもいつもの表情に戻っているんだが。

 

――ガクガクブルブル

 あの、ファンネル結界の中で両肩を抱きしめて震えている魔族について、白桃姫からの説明が欲しいのですけれど。


「それで白桃姫さんや。この方はお知り合い?」

「うむ。先々代12魔将の第八位・魔性のプシ・キャットというてな。何というか、淫乱魔族とでもいえばよいかのう」

「ひっどぉぉぉぃ。淫乱じゃありません、こっちの世界でいう淫魔ですっ」

「それも、性別関係なく……というところじゃな。それでプシ・キャットや。おぬし、こっちの世界で封印されていた筈じゃが、どうやって解放されたのじゃ?」


 そこ、問題はそこな。

 淫魔云々については後で……いや、後も先もないわ、淫魔のくだりの辺りから、新山さんがこっちをジト目で見ているんだが、俺はそういう気はないからね。


「そうねぇ。私と強欲のライザーは、気が付くと封印から逃れていたのよ……っていうか、封印術式が風化して自然解除された感じかしら。それで、こっちの世界でも好き勝手に行こうと思ったら、先代魔人王が『人間と魔族の共存』だなんてくっだらない宣言をしたじゃない。だから、表向きはそれに従って、陰で人間を殺して精気を得ようとしていたのだけれど」

「先代魔人王の『百鬼夜行』の力で、人間を殺す事が出来なかった……という事か。まあ、元12魔将レベルの魔力を持つものならば、先代魔人王の百鬼夜行の呪縛から逃れられないからのう」


 そ、そうなのか。

 でも、今の魔人王は瀬川先輩じゃなく銀狼嵐鬼(ぎんろうらんき)、つまり先輩のお父さんだからなぁ。その縛りはもうないんじゃないか?


「それでね。最近になって魔人王もね、代替わりしたっていうじゃない。だから僕に命令して若い男女を集めて、鮮血パーティーでもしようと思ったのに。代替わりしたら更に拘束が強くなっているじゃない。おかげで人間を殺す事だって出来ないのよ。それで空腹でフラフラと飛んでいたら、あなたの気配を見つけてここに飛んできたのよ。そうしたら、こんなにおいしそうな精気と魔力の塊がいるじゃない。という事で、食べていいかしら?」

「ダメに決まっているじゃろうが。それと、今代の魔人王は銀狼嵐鬼(ぎんろうらんき)じゃ、そなたの天敵じゃよ」

「あうあう……」


 ああ、プシ・キャットさんとやらの目から生気が消えていった。

 そこまで怖いのかい。


「あの……白桃姫さん。この方ってつまり、人は殺していないという事でよろしいのですか?」

「まあ、別に殺さずとも憑依する事で精気を得ることはできるからな。ただ、こやつは快楽殺人狂的な部分もあってな。じゃが、それが出来ないというのでここまで弱っている、という事じゃろう」

「ああ、そういう事なら。この俺の精気を分けましょうか?」


 待て待て織田。

 お前、何を言っている?

 そう思って織田を見ると、その目がトローンと白く濁っている。


「はぁ。小春や、織田はプシ・キャットのフェロモンに当てられてしまったようじゃ。解呪してやってくれ」

「あ、解呪なら俺が。内獅子印にて、かの淫猥を払いたまえ……」


 素早く印を組み、その直後に織田の背中めがけて張り手を一閃。

 パシィィィィィィィィィィィィィツといういい音が響いたと思うと、織田の表情が元に戻った。


「……あ、あれ、俺は一体」

「そこの淫猥魔族の『魅了の波動』に当てられただけじゃ。ということで乙葉や、こやつを封印したほうが良いぞ」

「待って、待って頂戴っ。ほら、今の私は人間に対して直接的に生気を得ているわけじゃないわよ。ちょっと間接的には貰っているけれど」

「間接的にのう。また支配の魔眼で人を操り、その者たちを淫猥に耽らせて間接的に摂取しているというところか」

「そうよ。でも、それじゃ足りないのよ……って、それよりもピク・ラティエ、あなたはどうやって生気を得ているのよ」


 そう問われた瞬間、白桃姫がアイテムボックスから魔力玉を取り出して見せる。

 その瞬間、プシ・キャットの喉がゴクリと鳴った。


「そ、それって何? とんでもない密度の魔力球じゃない。それ、一つ頂戴?」

「そうじゃなあ……いくらで買う? ここは裏地球(リヴァース)、この手の物は金銭でやり取りしたほうが後腐れがないからのう」

「一つ10万円でいかが? 最近、ちょっと大金を得ることがあってね。ちゃんとした商売で得たお金だから安心して頂戴」


 そう告げつつ、胸元から札束を取り出して10枚数えて白桃姫に差し出した。


「という事らしいが。これ一つの相場は10万円でよいのか?」

「知らんよ。それに、その魔力玉は俺のじゃないわ、新山さんのやつだろ。見ただけでわかるわ」

「私の魔力玉が一つ10万円ですか。高いのか安いのか分かりませんよ」

「これ一つで、大体上級魔族が一か月に必要な魔力を供給できる。なお、乙葉のは大体一年は持つ」

「その割には、ちょくちょく食べているよね」


 そうか。

 大体そんな感じか。


「う~ん、それでは、人に危害を与えないというのなら、今回は特別に差し上げます。もしも人に危害を与えるのであれば、その時は乙葉君にお願いして滅してもらいます」


――ブゥン

 そう告げて、新山さんも両手を合わせた後、そこにゆっくりと魔力玉を生成している。

 そしてさっきの新山さんの言葉に力強くうなずいているプシ・キャットにそっと手渡すと、それを受け取って舌なめずりし、口付けし、何とも艶めかしい表情で舐め回している。

 まあ、何というか青少年にはあまりよろしくない映像だよなぁと思いつつ、プシ・キャットとやらは白桃姫に任せておくとしますか。

 さて、そんな事よりも、俺、ここに何しに来たのかすっかり忘れてしまったわ。

 思い出せ、俺。

 まったく、困った魔族の乱入だよ。

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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