第五百十二話・無常迅速、席の暖まる暇もない(乙葉浩介・逮捕です)
『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週火曜日と金曜日を目安に頑張っています。
突然の襲撃事件。
俺は突然足元に展開した魔法陣に飛び乗って、グランドキャニオンからボルチモアまで長距離転移してきましたが。
そして到着した場所はノーブル・ワンの自宅中庭、今、まさにミジュたちが襲われていてその間に入っていざ戦闘。以前の俺とは違うところを見せてやるぜ、主に魔力操作と術式制御、そして聖霊契約による新たな術式展開を……。
「っていう感じだったんだけれどさ、さっきの襲撃して来た奴って、俺のクローンだよね、一体どこから来たの、それよりも祐太郎は?」
部屋のソファーにどっかりと座り、目の前で深淵の書庫を展開している瀬川先輩に質問。ちなみにミラージュは疲労困憊らしく、トニーさんがラボまで連れて行ってくれました。
そっちには母さんが待機しているらしいから、調整槽に入って詳しく検査するんだって。
「ボルチモアのインナーハーバーに妖魔が出現したらしくて、クリムゾンさんと一緒に出撃したわ。それと連邦捜査局の人と乙葉君のお父さんも同行していったので、もう暫くは戻って来るのに時間が掛かると思うわ……」
「戦局は?」
「敵の妖魔なんですけれど、たった一人。でも、戦闘能力は百道烈士レベルでかなり強いって築地君から連絡は届いているわね」
ふむ。
それはかなりやばいんじゃないかって思うんだけれど、救援要請もないっていうことは、祐太郎とクリムゾンさんの二人でどうどでもなるっていう事か。
「なるほどなぁ。あっちは二人でどうとでもなるっていうことか……それと新山さん? 気のせいかも知れないけれど、ちょっとくっつきすぎるような気がするんだけれど?」
そう、俺が戻って来てひと戦闘終わってから、新山さんはずっと俺の腕を掴んで離してくれない。
ソファーに座ってた時は離してくれていたけれど、いとつもより近い距離でソファーに座って、体を寄せてきているんだけど。
「うん……」
「ふむ、何かあったのか?」
そう問いかけてみると、新山さんが俺の耳に口を寄せて、静かに事情を話してくれた。
なるほどなぁ、新山さんと瀬川先輩を攫って孕ませると。
そして新たな神の器を作り出すと。
その計画を立てていたのが伯狼雹鬼であって、俺を捉えて器を手に入れようとしていると。
「なるほどなあ……先輩、ちょいと伯狼雹鬼の居場所って調べられます? カチコミかけて封印したいレベルなんですけれど」
「そんなことができるのなら、とっくに調べて教えてあげているわよ……と、築地君のほうも戦闘終了みたいね、結構インナーハーバー付近の施設にも被害が出ているらしいので、そつちの手伝いをして帰って来るって」
「了解さん……と」
祐太郎は一人では封印はできない筈……あれ、封印呪符が作れないんだったかな?
どのみち戦闘が終わったという事は、逃げられたか魔人核までぶっ壊したかのどっちかだよなぁ。
まあ、戻って来てから色々と聞くことにしますか。
「さて、ちょいとキャサリンに電話しないとなぁ……いきなり転移魔法陣に引っ張られたからさ、何も話してきていないんだよ……と、そもそも、あの魔法陣って誰が開いたの?」
「ミラージュさんか、もしくはトニーさんのどっちかだと思う」
「ふぅん、まあ、あとで詳しく教えて貰いますか。魔法陣単体で、離れている場所から人を召喚する術式なんて、俺は見たことも聞いたこともない……と思うからさ」
そう告げながらスマホを取り出し、キャサリンに電話を入れてみる。
そろそろ夕食の時間だったから、いきなり俺がいなくなって困っていると思うからさ
――プルルルルル……ガチャッ
「もしもしキャサリン? 浩介だけど」
『どこにいっているですか!! マスター・シャンディーンが心配していマシタ! それに、マスター・オトハにお客さんも来ていますよ』
おっと、それは申し訳ない。
「ちょいとボルチモアに召喚されてね、例の俺の偽者と戦っていたんだわ。それで、今後はどうしたものか……ってほら、ここからグランドキャニオンまで戻るのって、かなり時間かかるじゃない?」
『そうですね、それについては、明日にでもマスター・シャンディーンと打ち合わせをしてから連絡します。それと来客というか、本当についさっきなんですけれど、例の大統領暗殺未遂の件で、連邦捜査局が調査に来ていましたよ 』
「マジか、間一髪というところだわ」
『そうね、あっちの人たちは逮捕する気満々で来ていたから』
あっぶねぇ。
そりゃあ間一髪だったわ。
いくら大統領暗殺未遂が冤罪であったっていうってもさ、一度でも逮捕されたら冤罪が晴れるまでは拘束されるのが目に見えているからね。
「了解、それじゃあ、明日にでもまた連絡をお願いします……うん、そういうことで」
それだけ告げてスマホを切る。
ふと気が付くと、俺の肩に持たれかかるように、新山さんが寝息を立てているんだけれど。
かなり緊張していたんだろうなぁ。
「それで、乙葉くんの修行については……って、聞く必要もないみたいね」
「でしょ。御覧の通り、両足の先までしっかりと魂が戻ってきているからさ。そもそも、そのことを説明すれば、大統領暗殺未遂だって俺のクローンがやらかしていたって説明できると思わないですか?」
そう先輩に問いかけた時。
「では、詳しい話を聞かせて貰おうかな? 連邦捜査局のユング・マイアーズだ。ボルチモア支部局まで同行を願いたいがいいかな?」
俺たちのいるリビングにやって来た、連邦捜査局の捜査官。
しっかりと部下も待機しているようで、俺が抵抗することなく同行するのを待っているようですが。
そして新山さんもこの状況に気が付いたのか、ぎゅっと俺に抱き着いて離そうとしない。
「ふぅ。まず、俺は大統領の暗殺なんてやっていませんよ」
「その件についても、詳しい話を聞かせてもらうさ。すでに君の両親や友人、それとヘキサクラムの会長からも君の無実について証明できるという連絡は受けている。だが、君は指名手配されている、そして私たちは連邦捜査局の捜査官だ、やることは一つ、わかるね?」
つまり、まずはついてこいということですか。
それについてはやぶさかじゃないので同行しますよ、ええ。
「そんじゃ、行ってきますか。新山さん、瀬川先輩、うちの両親と祐太郎、あとミラージュたちに事情を説明しておいてくれますか?」
「ん、分かった……無茶なことはしないでね、約束」
そう告げて、新山さんが右手小指を出す。
うん、指切りかぁ……俺って、結局無茶しちゃうからなぁ。
でも、素直にうなづいて、指切りをしたのち、マイアーズ捜査官についていくことにしたよ。
あと、キャサリンのスマホの番号を先輩に伝えておいて、明日にでも事情を説明してって話しておいたから、とりあえずは一安心かな……。
はぁ、困ったもんだよ。
いつもお読み頂き、ありがとうございます。
・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。
・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。




