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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第八部・狂乱のアメリカ

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第五百二話・安穏無事? 席の暖まる暇もない(現代の魔術師・包囲網作戦)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週火曜日と金曜日を目安に頑張っています。

 ニセ乙葉浩介による大統領暗殺未遂事件。

 

 これは全米だけではなく、全世界規模で広まっていった。

 だが、当該国である日本を除き、大半の国家では『現代の魔術師のニセモノ説』や『洗脳されて操られたのか?』など、乙葉擁護に傾倒する国家は多かった。

 それはアメリカ政府でも同じような反応であり、当のパワード大統領ですら、自分を狙った乙葉浩介が本人なのか照会を行うように打診。

 だが、偽者であろうとなかろうと、現代の魔術師・乙葉浩介という存在が衆人環視の元、暗殺未遂を起こしたというのは事実。

 アメリカ連邦捜査局は乙葉浩介を指名手配し、一つでも多くの情報提供を国民に求めた。


 それと同時に、ヘキサグラム会長からパワード大統領に会談神聖が行われ、今回の件はヘキサグラムも独自に調査を開始すると宣言されてしまったという。

 

――日本国・永田町

 国会議事堂では、自国民であり現代の魔術師である乙葉浩介の暗殺未遂について、さまざまな議論が繰り広げられている

 そもそも、彼は『国家認定魔術師』であり、彼が引き犯した事件についての監督責任を日本が背負わされるのではという懸念事項もあり、現在は現代の魔術師についての管理責任、魔法についての新たな法案の整備が超法規的な速度で進められていた。


 この件で野党第一党は、国家認定魔術師のシステムを制定した与党を追及。

 魔術の国家管理についての法案改正と、現在まで魔術師をのさばらせていた現行政府の責任のあり方について論議を始めることとなった。

 

 また、与党はアメリカ政府に打診し、乙葉浩介の件についての調査を開始。

 内々に連邦捜査局とも連絡を密に取り、日米双方でこの問題についての早期解決を行うように協力体制を取ることで合意した。


 いずれにしても、この一件は世界規模で『魔術師の在り方』について波紋を広げることとなった。



 〇 〇 〇 〇 〇


――暗殺未遂事件の二日後。

 いつものようにミラージュとトニーの二人はノーブル・ワンから外に向かい、周辺調査を開始。

 ミラージュがコピーしている能力の一つ『魔眼』と、トニーの能力である『魔力反響感知』をリンクさせて、ボルチモア市内をワゴン車でくまなく走り回っていた。


 その日の午後。

 ノーブルワンを取り囲むよう海兵隊の特殊部隊が配備されると、現場責任者であるマイケル・シェアフオックス大佐が責任者であるクリスティンを呼び出した。


「これはこれは。第二海兵遠征軍のシェアフォックス大佐が、わざわざこのような部隊を率いてどのようなご用件でしょうか」

「アメリカ政府からの通達により、指名手配犯である乙葉浩介の友人たちの監視を行うことになった。ついては、このノーブル・ワンは第二海兵遠征軍・海兵空地任務部隊により周辺地域と隔絶し、以後は我々の監視下に入ることとなる。なお、この件については、ヘキサグラム会長であるアナスタシア・モーガンからも許可を得ているので」


 いくつもの書面を手渡し、シェアフォックス大佐が笑顔で告げる。

 するとクリスティンも一つ一つ目を通すと、いくつかの質問を投げかけた。


「この書類では、監視下に入るのは私たちヘキサグラム・のブル・ワン関係者及び、この地に滞在する『現代の魔術師』の関係者となっていますけれど。これって、日本人である彼らに対しては権限が及びませんよね?」

「いえ、容疑者・乙葉浩介の知人であり現代の魔術師の仲間です。連絡を取りあったりすると厄介ですので、当面は監視下に入っていただきます。これは連邦捜査局からの決定でもありますので」


 別の書面を取り出し、それをクリスティナに手渡す。

 暗殺未遂などの重犯罪に関しては、アメリカ連邦捜査局は厳しい。

 手渡された書類についても、何もおかしなことは書かれていないため、クリスティンとしても受け入れざるを得なかった。


「はぁ。この件については、築地君たちにも説明をお願いします」

「了解しました。では二名、私についてきてください。今から説明に伺いますので」

「「はっ!!」」


 残った部隊についても指示を出したのち、シェアフォックス大佐はノーブル・ワンの中にある乙葉邸へと向かう。幸いなことに調整の時間ではなかったため、乙葉夫妻をはじめとした日本人御一行はリビングでくつろいでいた。

 そこで突然の海兵隊の来訪、ノーブル・ワンの監視、乙葉浩介関係者のノーブル・ワンからの移動の禁止などを告げたうえで、それらについての決定事項が記された書類が乙葉京也に手渡された。


「オトヤンのおじさん。それってどうなんですか?」

「うーん。この手の書類を見慣れているのでなぁ……悔しいが、すべて連邦捜査局の言い分があっている。加えてアメリカ連邦政府司法省が発行した、大統領のサインもある書類だ。これはしてやられたなぁ」


 あっけらかんと笑う京也。

 これには雅や小春も驚いたものの、傍らで座って余裕を見せている洋子がにっこりと笑っていた。


「まあ、この書類についてですけれど、アメリカ連邦捜査局は貴方たちを守るという意味でも、ここに軟禁するようね。大統領暗殺、それも魔術師がおこなったということになると、日本から来た私たちにも危害が及ぶ可能性があるわ。いくら魔術で身を守れるとはいえ、多勢に無勢であったり、不意を突かれた場合とかは対処できない可能性かあるからね」

「なるほど……では、私たちはこの敷地から外に出ることはできないということなのですね?」

「ええ。乙葉浩介の無罪が証明されて、重犯罪者手配が解除されれは自由です。ということで、今しばらくは不自由な生活になるかと思いますが、ご了承ください」

 

 シェアフォックス大佐がそう告げたのち、乙葉邸を後にする。

 もっとも、乙葉邸の敷地を囲むようにも海兵隊員が配備されているので、かなり窮屈な雰囲気が漂っていることは否めない状態である。

 そして、大佐が出て行ってから。


「乙葉君のお母さん、ミラージュさんとトニーさんには、どう連絡しますか? さすがにノーブル・ワンの外に出ている二人にも、すぐに戻ってくるように説明した方がいいとは思いますけれど」

「それなのだが……ミラージュの国籍はアメリカで取得している。所属はヘキサグラム・ノープル・ワン、研究員助手という立場になっている。これはトニーについても同じ。人造妖魔という存在については、未だアメリカ政府に対しては秘匿されているのでね」

「つまり、このまま二人にはノーブル・ワンの外で調査活動を続けて貰うのが良いということでしょうか」


 雅の問いかけに、京也も頷いて返す。


「そうだな。瀬川君、ミラージュに念話を送ることは……いや、ここは彼女にも力を借りるとしよう」

「彼女?」

「ああ、ここにはミラージュの友人も大勢住んでいてね。一人、念話能力保持者がいるのだよ」


 その説明を受けて、祐太郎たちもピンときた。

 元・マグナム配下であり魔人王オーガス・グレイスの眷属であるテスタス。

 彼女を通じて、ここの状況を説明すれば、あとは彼女に定期的に連絡を取ってもらうだけでいい。

 このボルチモアは二人にとっても庭のようなもの……。

 そう考えて間もなく、テスタスが乙葉邸に呼び出されると、現在の状況について説明、それを念話でミラージュに伝えることとなった。

 

 もっとも、この件で築地たちの動きもほぼ拘束されているような状況となり、頼りの綱はついにミラージュとトニーの二人となってしまった。


いつもお読み頂き、ありがとうございます。


・この物語はフィクションです。登場する人物・団体・名称等は架空であり、実在のものとは関係ありません。

・誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。



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