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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第五部・世界とんでも動乱編

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第二百九十話・進退維谷? 念には念を入れような。(いや、半端なく早く動くんだけど)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。

──アトランティス・水晶の塔

 塔内の資料保管庫で、プラティ・パラディはさまざまな文献を調べている。


 ムー大陸に封じられている魔神『カリュブディス』

 ムー大陸は、対オールディニック用の要塞島


 オーストラリア大陸に封じられている『オールディニック』

 オールディニックには使徒が存在し、魔族を襲う。

 オールディニックは、悪魔と呼ばれる存在である。

 悪魔の故郷は、封印大陸

 

 悪魔に対する存在がムーでありカリュブディスである。

 オールディニックが目覚めると、ムー大陸が浮上し、悪魔の軍勢を殲滅する。

 その時の余波で、この世界が崩壊する。


「データ不足……しかし、このアトランティスは浮遊大陸であるが、生き物である……そう考えるならば、ムー大陸そのものが、カリュブディスということになるのではないか? それを解き放つことが可能ならば、目覚めたカリュブディスはオールディニックに対して攻撃を開始する」


 これまでに集めた資料。

 この世界には、三つの浮遊大陸が存在する。

 一つは、プラティ・パラディの管理するアトランティス

 一つは、対悪魔殲滅用に存在するムー

 そしてもう一つ。


「眠りにつきし、レムリアか。俺ですら見た事はなく、伝説にしか存在しない。遥か遠くからきた存在の住む世界。そこにも何かあるのかも知れぬが、今は、それよりもオールディニックの対応だな」


 魔族よりも高次存在であり、歴代魔皇たちの力を集めてもなお、封印して異世界に放逐するしかできなかった存在が、ムー大陸。

 そのようなものに、今の魔族、そして裏地球リヴァースの人類に争う術があるのだろうか。


「おそらくは、精霊世界アヴァロンは不干渉を貫くだろう。奴らにとっては、裏地球リヴァースなどなんの関心もないのだからな。確か、初代精霊女王が、戯れに人間に力を貸してからの付き合いだったはずだが……」


 人間が滅ぼうと、女王の愛する男がこの世に存在しない以上、不干渉を決めるのは紛れもないだろう。

 そう言葉にせずに飲み込むと、プラティ・パラディは更なる資料をまとめて、塔内だけでなく、島のあちこちに足を運ぶことにした。

 このアトランティスは広く、まだプラティ・パラディでも知らない施設や遺跡があるのだから。


………

……


 その日、世界各地で大勢の人々が姿を消した。

 老若男女関係なく、職業も性別の共通点もなく。

 姿を消したのは夕方から夜、死体もなく忽然と姿を消している。


 各国の警察機関、軍部は警戒体制を強めるものの、他国で起こった行方不明事件と自国で起こった行方不明事件の因果関係が掴めない。

 同一犯にしても距離が離れ過ぎている、手口は一切不明。

 それ故に、対策を行うのが難しく、夕方以降の外出を控えるようにと注意喚起することしかできなかった。


──札幌、夜

 ニュースでは、世界各地で誘拐事件や行方不明事件が頻発しているらしい。

 俺も学校で、放課後はできる限り早く帰宅すること、部活は短縮時間で行うことなどの説明があったし。

 この件については、防衛省からも第六課からも、俺に対しての問合せがない。

 逆に考えると、これは妖魔関係の事件ではないと仮定したんだろうなぁ。


「でも、うちの結界の外にいる化け物って、この行方不明事件がらみだろうなぁ」


 窓の外。

 表通りの結界に、さっきからずっと攻撃をしているらしい化け物の反応がある。

 近くを通った人たちには見えていない、聞こえていないらしく、俺のゴーグルでなんとな反応が拾えただけ。

 試しにチラリとベランダから頭を出して覗いたんだけど。


 真っ黒なガーゴイルで、一つ目。

 体表面は濡れたラバーのような光沢がある。

 それが、爪を刃のように伸ばして結界を切り裂こうとしているんだが。

 時間は夕方六時、まだ冬なので外は暗い。


「条件は揃っているってことか。でもなぁ、本当に何者なのかわからないんだよ。天啓眼てんけいがん!!」


『ピッ……アンノウン』


 ほらね。

 アンノウンだよ。

 これで形状がアルファベットのようなやつだったら、まだゲットしてコレクションっていう輩も出そうだけどさ。

 

「しゃーないか。とりあえず退治しますか」


 ポリポリと頭を掻きつつ外へ移動。

 すると、俺を見て興奮したのか、さらに攻撃の速度が激しさを増す。

 でも、結界を破壊することはできないようで。


「魔導紳士モード……あとフィフスガントレット!!」


──シュン

 装備を変更してバトルモードへ。

 そのまま結界ギリギリまで移動すると、エセ・ガーゴイルを捕まえるために腕を伸ばす。

 その俺の腕目掛けて斬り掛かってくるが、それを軽くいなして奴の腕を掴んで!!


──ガン!!!!

 力一杯引っ張る。

 そして体が前屈みになったところで、首根っこ捕まえてさらに全力で引っ張ると。


──ドゴッ

 頭が結界にぶち当たるわけで。

 それを二度、三度と繰り返していくと、今度は隙を見で俺の腕を引き剥がそう、切断しようと動くんだけど、そこは問屋がおろさない。

 すぐに手を離して、結界内部に腕を逃す。


「クギャグゲギャギャガャ!!」

「翻訳も不可能。これはまた、本当に使徒って奴かもなあ。なんで、俺を狙ってくるのか分からないんだけど、野良妖魔とかと同じ理由っぽいなぁ」


 しっかし、こう何もかも不明だと、封印することもできない。

 このまま放置しておくわけにもいかないからなぁ。


「場所を変えるしかないよな。市街地ででかい攻撃魔法使ったら、また怒られるからなぁ」


──シュンッ

 空間収納チェストから取り出しましたる魔法の箒。

 それに跨って一気に高度を上げる。

 すると俺を追いかけるようにエセ・ガーゴイルも飛び上がったので、そのまま札幌市の郊外へ誘導!!

 雪が舞い散る冬の空。

 寒さは結界によって遮断されているし、ルーンブレスレットにはレジストコールドリンクもセットしてある。

 

 そのまま札幌市郊外まで高速移動するんだが、ピッタリと付いてくるのが怖すぎる。


「さて、この辺りでいいかな」


 急降下で地面に着陸。

 踏み固められた雪の上に降り立つのと同時に、フォトンセイバーを引き抜いて振る!!


──ガギガギギギギギギギィ

 俺がフォトンセイバーを振るのと、エセ・ガーゴイルの爪が襲いかかってきたのはほぼ同時。

 左右の爪で次々と攻撃してくるのを、俺はどうにか受け流しつつ、隙を探す。


「並列思考!! からの、64式炎の槍フレアランス!!」


──ドッゴォォォォォォン

 至近距離から放った炎の槍フレアランス

 大体の中級妖魔は、この一発で霧散化間違いなしなんだけど。

 爆風で後方に吹き飛び、雪の地面を抉るエセ・ガーゴイル。

 だが、ゆっくりと体を起こしてくると、背中の翼を広げて俺に襲いかかってくる。

 しかも


「無傷だって? あの一撃を受けて無事なのかよ!!」

「キシャァァァァァァア」


 鋭い突きと切り裂きの乱撃。

 それを必死に躱し、受け流し、間合いを取って反撃に出る。


「さっきのがダメなら、今度はこいつ!! 光銃っ」


──ブゥン

 手の中に魔力形成した銃を作り出し、それを構える。

 撃ち出す弾は、48式光弾。

 さっきの爆撃系とは違い、貫通力特化!!


「喰らえ!!」


──シュン

 レーザーのように撃ち出された光弾がエセ・ガーゴイルの肩に直撃。

 そして弾く、嘘、マジ?


「……グフッグフッグフッ」


 エセ・ガーゴイルが笑っている。

 俺の動揺を見て、勝利に浸っている様に見える。

 それなりの知性はある、けど戦闘本能が優先されているのかもしれない。


「まあ、笑うなら笑ってくれて構わないよ。おかげで、少しだけどデータは取れたからさ」


──グウォォォォォォン

 フォトンセイバーに魔力を注ぐ。

 今度は、変換した魔力ではない、俺の神威そのもの。

 確か白桃姫が話していたよね?

 神聖魔法しか効果が無いって。

 それなら、神聖魔法の元になる、神威の塊ならどうかの?


「グ、グキャキャ‼︎」


 エセ・ガーゴイルは翼を広げ、空に飛び出そうとする。

 だが、そこで逃すほど甘くは無いんだよ。


「ビンゴォォォォォ。そしてグッバイ!!」


──ズバァァァァァァァン

 フォトンセイバーに乗った神威を、刃のように変異。

 それを勢いよく振り飛ばして、エセ・ガーゴイルの翼を切断。

 すると錐揉み状に地面に落ちてくるので、素早く空間収納チェストからターコイズを取り出して。


「我が魂より生まれし神世の祈り。此処から其処へ、過去から未来へ、その魂を封じる力なりや……封印!!」


──ジャラララララ!!

 地面から幾重もの鎖が伸び、エセ・ガーゴイルの身体を縛り上げる。

 同時に俺の手の中のターコイズも、封印媒体として書き換えられ、準備完了。


「クギャグゲギャギャガャ!!」

「うん、おしまい。後日、詳しく調べさせてもらうわ……」


──ジャラララララッ

 鎖がターコイズに伸び、縛り上げたエセ・ガーゴイルごと内部に収まる。

 そこに封印呪符を生み出してペタリ。

 はい、おしまい。


「加減がわからないから、なんとも言えないんだよなぁ……まあ、これは後で調べることにするか」


──シュン

 空間収納チェストに封印媒体を放り込んでゲームセット。

 

「しっかし、この手の作業に手慣れてくるのもどうかと思うわ。将来の進路、進学じゃなく拝み屋っていうのもありなのかなぁ。でも、のんびりと暮らしたいわ」


 ブレスレットに指を添えて、念話の一斉中継。


「こちら乙葉。今、黒いあんちくしょうに襲撃を受けて迎撃、のち封印完了。新山さんと先輩は何もありませんか?」

『新山です。私は家の中にいたので、特に何も変化はありませんよ。外にも何もいませんね』

『私の方も、特に何もありませんわ。築地くんはどうなのかしら?』

『バトル、なう!!』


 あ、以前にもあったよな、こんなパターン。

 

「祐太郎、今どこだ?」

『赤坂だ。親父のSPで、何処かの派閥の会合だとよ。外で待機していたらいきなり襲われたわ』

「手がいるか? 二十分で到着するぞ」

『いや、幸いなことに強い味方? がいたからな。もう終わるが、封印なんてできないから処分する。そのまま第六課に回すのでよろしく』


──プッッ

 あ、祐太郎だけ切れた。


『乙葉くん、築地くんを助けに行かなくていいの?』

「う〜ん。祐太郎は、ヤバいならやばいっていうからなぁ。変な死亡フラグ立てることはよくあるけど、強い味方っていうのが気になるんだわ」

『私たちのことを知っていて、妖魔と戦うことが可能な存在。特戦自衛隊の方でしょうか?』

「可能性はあるよなぁ。う〜ん……先輩と新山さんは周辺警戒していてください。魔力の高い奴らを襲ってくるのなら、俺たち四人はいつ襲われても……もとい、また襲われてもおかしくありませんから」


──シュンッ

 再び魔法の箒、ゴー!!

 そのま北海道から東京の赤坂まで、高速でズーム・イン!!

 

 

いつもお読み頂き、ありがとうございます。

誤字脱字は都度修正しますので。 その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。

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