第二十一話・昔取った文質彬彬(生き残る為に準備は必要)
『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週火曜日と金曜日を目安に頑張っています。
・この話で10万文字達成です。
あちこちのコンテスト規定に、ようやくたどり着きましたよ。
これで大手を振って投稿できますわ
俺と祐太郎が妖魔に襲われてから数日。
コミケ当日まで、とりあえずは体力温存と軍資金温存、そして妖魔に対抗するための手段を考えるために俺と祐太郎はホテルで出来る限り缶詰め状態になることにした。
まあ、寝るときは個室で別だし、居間でのんびりとするのは楽しいよね。
でも、瀬川先輩にバレたら、俺と祐太郎でBL小説でも描き始めるかもしれないから内緒で。
「‥‥‥オトヤン、これチャージしてくれ、とりあえず魔導商会で査定してみて、高額だったら収納バッグを買ってくれないか?」
「おっけ。って、これなんだ?」
祐太郎が外に買い物に出かけて、どこからともなく買ってきたもの。
大きな袋から、ゴロゴロと箱を取り出してテーブルの上に並べている。
「このホテルの一階にあるジュエリーショップで買ってきた。試しに査定に出してくれないか」
「あー、分かった。しかし、よく買ってこれたな‥‥‥って、そりゃあ宝クジで儲かったから買えるよなぁ。クレジットカード作ればよかったのに」
「まあ、高校生だからクレカは作れなかったんだ。だから、俺の預金から少し下ろして買ってきた。まあ、実験だよ、実験」
「あ、それならいいわ‥‥‥」
そのままカナン魔導商会をオープンして、次々と査定に出していく。
その結果、すべての査定が終わった時点での買い取り価格はというと。
「‥‥‥なあユータロ、査定金額が億を超えたんだが。どういうことだ?」
「真珠と、ティファニーカットのダイヤとかな。カナン魔導商会で販売されている宝石あっただろ、あれの形状と価格から予測して、一番高く売れるものを買ってきただけだ。ほら、大きい粒の揃った真珠は異世界で高額商品なのは定番だし、それにジルコニアとか。あとはカラーチェンジガーネットな」
「また希少価値の高い宝石を‥‥‥それでどうするんだ? 全部買い取りにだしていいのか?」
「頼む。それで収納バッグ一つと回復薬を買ってくれると助かる」
ほいほいと、まとめて買い取ってもらい収納バッグと中回復ポーション25本、大回復ポーション5本、ついでに病気治癒ポーションも5本購入して祐太郎に手渡す。
それでも、チャージ金額はまだ2500万クルーラも残っている。
こんなに簡単に億単位でチャージできると、まるでゲーム世界のマネーのように見えてきて感覚が麻痺してくるよね。
「‥‥‥ユータロ、今回の宝石で日本円はどれぐらい使った?」
「100万も使っていないぞ? 俺なりの研究成果と言ったところだろうな」
「そりゃあ羨ましいわ。俺はジュエリーショップから買うなんて、ハードルが高すぎてできないからなぁ」
万が一、会計時に疑われたとしても祐太郎は親の名前を出せば買い物が自由にできるし、電話ですぐに連絡もできるから現代ではチート設定だよなぁ。
そして祐太郎は収納バッグを受け取ると自分の荷物を全て入れ替え、貸していた収納バッグを戻してきた。
「それで、妖魔に関しての情報は手に入ったのか?」
「いや、まったくない。東京にも、綾女ねーさんみたいに話のわかる妖魔がいてくれるといいんだけどさ」
祐太郎が買い物に行っている間は、俺はタブレットを買ってきてネットで妖魔に関しての情報を探していた。
この世界に昔から妖魔が存在しているとなると、どこかに情報があるはず。
これだけ情報網が発達している世界なら、妖魔が引き起こした犯罪や事件などそうそう隠し通せるものではないと考えたから。
だが、結論から告げてしまうと、妖魔に関しての犯罪や事件は全くなかった。
おそらくだが、妖魔という存在の特性が事件を隠蔽しているのではないかと思われる。
妖魔に憑りつかれた人間が起こした犯罪は、妖魔という存在を誰も証明できないので普通の事件として扱われているのだろう。
そもそも妖魔という存在を、誰が知っているか?
そんな相手からこの世界を守る? いや、無理。
そういうのは世界を守る勇者の仕事でしょ?
俺は間違えられた『なんちゃってチーター』なんだからね。
「妖魔について出てくるデータは、ラノベとかゲーム関係、あと各地の伝承だけ。そもそも妖魔っていうのが実在しているっていう情報は皆無だわ」
「まあ、女神の話から察すると、そうなるよなぁ。もし実在して事件性が確立し、一般的に知れ渡っていたなら、日本や諸外国に対妖魔関係の組織や警察があってもおかしくはないから」
「ああ、という事でインターネットでの情報収集はお手上げ状態。それでこっちがカナン魔導商会の書籍コーナーで買った魔物やモンスターの図巻、これがあっちの世界の神話関係。一通り目を通してみたんだけど、魔族については普通の知的種族であるとしか書いてないぞ」
テーブルに積まれている様々な本。
全てカナン魔導商会の書籍欄から購入したものであるが、俺たち現代世界に存在する妖魔については全く記述がなかった。
祐太郎もそれを手に取ってパラパラと見ているが、すぐに閉じてテーブルに戻す。
「ここにきてお手上げか。オトヤンどうする?」
「やる事をやる。時間はあまりないけど、底上げできる部分は底上げしておきたいからな」
かっこいいこと言ったと思うが、今はレベルを上げて新しい魔法を修得したり魔力を高めることが先決。
なので、取っておきのマルムティーセットをテーブルの上に用意すると、祐太郎に説明を始める。
「これはカナン魔導商会から取り寄せたマルムティーセットだ。この量で大体4人分ある。大体一人前でレベルが10上がる事もあるとんでもないチート食品だ、これでレベルを底上げして、とりあえず守るすべだけは身に着けたいと思う」
「あ~例のめちゃくちゃおいしいアップルパイとアップルティーか。正体は魔導商会のチートフードだったとはな。ま、折角だからご相伴にあずかるとしますか」
そこから先、俺と祐太郎は魔導商店のメニューを確認しつつティータイムを楽しむことにした。
どんな時でも、余裕は必要だよな。
その結果なんだが、俺も祐太郎も無事にレベルアップを果たしたのだが‥‥‥。
‥‥‥
‥‥
名前:乙葉浩介
年齢:16歳
性別:男性
種族:人間(転生処理済み、バグ)
レベル:41
体力:113 (141.2)
知力:114 (142.5)
魔力:1420(1775)
闘気:1420(1775)
HP:560
MP:20000
・スペシャルアビリティ
ネットショップ・カナン魔導商会+
空間収納+
自動翻訳 (初期セット)
鑑定眼++(初期セット)
・固有スキル
一般生活全般 レベル16
魔力循環 レベル9
魔力解放 レベル10
魔力操作 レベル8
第一聖典 レベル5
第二聖典 レベル4
第三聖典 レベル1
・コンディション
体調 :超優良
童貞
チン長:最大19cm
‥‥‥‥‥
名前:築地祐太郎
年齢:16歳
性別:男性
種族:人間
レベル:31
体力:111
知力:116
魔力:551
闘気:635
HP:326
MP:547
・スペシャルアビリティ
加護の卵(29/100)
自給自足
・固有スキル
一般生活・一般 レベル16
女の敵 レベル16
対人適応力 レベル12
魔力循環 レベル5
魔力解放 レベル6
闘気術式
初伝 レベル2
中伝 レベル1
・コンディション
体調 :超優良
非童貞、経験人数八人
チン長:最大20cm
‥‥‥‥‥‥
うん。
いきなり俺たちは強くなった。
やっぱり神々の果実の効果は絶大だね。
でも、一度に二人前を食べたにもかかわらず、今回は10レベル一回分しか上がっていない。
追加スキルもない、残念である。
祐太郎なんて紅茶のおかわりしていたにも拘わらず、ここまでしかレベルが上がっていないのだから、神々の果実での強制レベルアップはここらが限界なのかもしれない。
「しかし、第三聖典まで覚えたんだけど、まだ魔導書の文字が読めないのはなんだろう?」
「一気にレベルが上がったので、魔導書がなじんでいないとかじゃないか? 俺はまだ次の中伝を覚えていないけれど、もうすぐ見えてきそうな気はしているからな」
「ですよね~。それじゃあ、あとは魔導書の文字が浮かび上がるまでは、静かに引きこもっている? それともそろそろ限界?」
「限界だよなぁ‥‥‥という事で、少しだけ外に出よう。豪華三昧寿司三昧でもいくか。たまにホテルの外でうまい物を食べようじゃないか」
「賛成だ!!」
という事で、俺と祐太郎は晩御飯を外食で済ますことにした。
ホテルのディナーバイキングも悪くはないんだけれど、連日となると飽きてくる。
っていうか、たまにはジャンクな食べ物が食べたいんだよ俺は。
そのまま外食で夜を終えると、いつもの日課を終えて今日はゆっくりと休むことにした。
◯ ◯ ◯ ◯ ◯
朝。
いつもの日課であるステータス確認とカナン魔導商会のメニューを確認する。
特にステータスは変化が無いのだが、魔導商会に新しい商品が並んでいた。
そして、メニュー欄の横にある『お知らせ』が点滅しているのに気がつく。
「へぇ、こんなの珍しいな。お知らせって何があるんだろう?」
『ピッ……乙葉浩介様の魔導商会レベルが上がりましたので、以下の特典が与えられます。
・定番商品の値引き
・メニューに『要望欄』を追加
・カナン魔導商会提携店からのサービスを受けられます。以下の提携店から一つご選択ください
サイドチェスト鍛冶工房
冒険者ギルド
商業ギルド
「あ〜、お約束といえばお約束なんだけどなぁ。どこを選択したら良いのか分からんなぁ。ということで、提携店については保留としますか」
一度トップページに戻ってから、お勧めも確認する。今日は運がいいことに、おすすめも更新されていた。
『ピッ……本日のお勧めはこちらです。【一から始める錬金術教本】。魔力はあるけど戦いたくないあなた、クラフト系に目覚めたいあなたにお勧めの教本です。これさえあれば、様々な魔導具を作り出すことも可能。
本日はこちらの【一から始める錬金術教本】と【錬金術道具一式】をセットでご提供致します。価格は750万クルーラ』
はい、ポチッとな。
祐太郎から、もし必要なものがあったらチャージは好きに使って良いって話になっているからね。
そもそも、祐太郎はロト6の当選金でさえ半分俺に寄越そうとしていたのを断ったんだよ。買ったのは俺だけど、当たりを教えてくれたのはオトヤンだから権利はオトヤンにあるって言い出したからなぁ。
まあ、それならということで、祐太郎のチャージについても、俺も使っていいって話になったのさ。あとで俺もなんか購入してチャージは戻すけどね。
「さてと、そんじゃ読み込みますかなぁ」
目の前の宅配魔法陣に乗っている錬金術道具を空間収納に仕舞い込み、錬金術教本を手に取って魔力を循環する。
──シュゥゥゥゥ
錬金術教本が輝いてスッ、と消えるけど大丈夫。このパターンはまた出せるんだよね?
……でない。
すぐに空間収納メニューから収納しているアイテム一式を調べるが、何処にも錬金術教本は存在しない。
「あれ? まさか知識として組み込まれた?」
額に指を当てて、頭の中の記憶を探るように考えてみる。すると、確かに錬金術についての知識が頭の中にあった。
「お、本としては残らないのか。まあ、盗まれたり悪用される心配がないから、よしと言うところだね」
──ガチャッ
のんびりと錬金術について色々と考えていると、祐太郎も朝の日課から戻ってきた。
毎朝近所でランニングしてから、近くの公園で武術の型をさらっているらしい。
でも、祐太郎の武術って何か知らないんだよ。
「やあ、おはようオトヤン。今日はどうするんだ?」
「どうするかなぁ。俺は、さっき魔導商会で錬金術の本を購入して覚えたので、これを勉強してもいいし。ユータロはどうするの?」
「俺は、知り合いの道場に行ってこようかなって思ってね」
成る程。
東京に道場があるのか。
「なら、今日は別行動だね。どこの道場?」
「あ、オトヤンに教えてなかったか。俺は詠春拳を習っていたんだよ」
「詠春拳ね、すまん知らないんだが」
「まあ、そうだろうなぁ。オトヤンにわかりやすく説明すれば、李小龍の截拳道の源流ってところ」
「おお、この前の魔族殴り倒した技もそれ?」
「そういうこと。何かよく分からないんだけどさ、俺には魔術よりも体術の方が合うような気がしてね」
そうかそうか。
祐太郎も色々と考えているんだなぁ。
なら、俺は応援する‼︎
そして、俺にしかできない何かを追求することにしよう。
…………
●現在の乙葉の所有魔導具
サーチゴーグル
SBリング(ブースト、透明化)
レジストリング(耐熱、耐打撃、耐斬撃)
中回復ポーション×2
軽回復ポーション×5
病気治癒ポーション×1
身代わりの護符
錬金術道具一式
・カナン魔導商会残チャージ
1776万クルーラ
(端数だった2020クルーラは、飴玉買った。
文学部残高の26万クルーラ込み)
●築地所有の魔導具と加護の卵
加護の卵(左手ブレスレット)
レジストリング(耐熱、耐打撃、耐斬撃)
大回復ポーション ×5
中回復ポーション ×25
軽回復ポーション ×5
病気治癒ポーション×5
ブライガーの武術書(魔導書)
収納バッグ
●瀬川所有の魔導具と加護の卵
加護の卵『12/100』
レジストリング(耐熱)
軽回復ポーション×5
魔導書(未契約)
●新山所有の魔導具と加護の卵
加護の卵『10/100』
レジストリング(耐熱)
病気治癒ポーション×1
軽回復ポーション×5
魔導書(未契約)
誤字脱字は都度修正しますので。
その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。
・今回の判りずらいネタ
さあ、みなさんごいっしょに。