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【書籍化】ネット通販から始まる、現代の魔術師  作者: 呑兵衛和尚
第一部・妖魔邂逅編、もしくは、魔術師になったよ、俺。

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第十話・益者三友、一蓮托生(お約束の法則)

『ネット通販で始める、現代の魔術師』の更新は、毎週日曜日と火曜日、金曜日を目安に頑張っています。


 さて。


 部活ではたまに『加護の卵』についての討論が行われたり、俺の手品について色々と質問されたりとありましたが、そのさなかにやってきた学生の本分、一学期末試験。


 俺は軽々とクリアしたぜ。

 しかもですよ、すべての問題が楽々モードで理解できていたので、適当なところを間違って目立たないように、学年で三十番前後で留めておきましたよ。

 いゃあ、学業エキスパートスキルって便利だね。レベルは表示されていないけれど、たぶん瀬川先輩と同じレベルなんだろうなぁ。

 英語なんてさ、自動翻訳スキルがあるから、わざと間違えなかったら満点確定。ここだけなら学年トップを取っていても問題ないっしょ。



‥‥

‥‥‥



「‥‥なあオトヤン、いつ英語に強くなった? まさか勉強でオトヤンに負ける日が来るとは思わなかったぞ」

「実は‥‥‥海外のアニメ見て覚えた。英語のラノベもスラスラ読めるよ」

「あ、そういうことかぁ。しっかし、中学のときは下から数えたほうがそこそこ早かったオトヤンが学年三十位とはねぇ。俺はうれしいよ、もう補習で夏休みが潰れることはないんだよな?」

「まあね。学年一位のユータロには負けるけどね」


 そんな物騒な会話を教室でしているのだが、ここ最近は俺と祐太郎、新山さんの三人でグループを作っているようになった。

 クラスメイトからは、文学部が集まっているって見られているし、特に何の問題もない。

 ああ、これで俺もボッチじゃない。

 脱、ボッチ宣言だ!!


「築地く~ん。夏休みどこか行かない?」

「あーゴメンゴメン。夏休みはさ、アニメの聖地巡礼とかにいきたいんだよね。コミケもあるしさ、本当にごめんね」

「それじゃあ仕方ないわねぇ。もし暇になったら連絡頂戴ね」

「ああ、ありがとうね」


 超さわやかなイケメンの祐太郎が、クラスの美少女たちの誘いをこうやって断るのってどうよ? それでいてさ、断った理由聞いても気にすることもない女たちもどうよ?

 しかもクラスのマドンナどころか、いまや学年のマドンナと言われている立花彩花さんだよ?

 今この瞬間に、祐太郎に死亡フラグが立ってもおかしくないんだよ?

 ちなみに、もし俺が同じこといったら立花さんはウワッ、キモッとかいうんだろ?


「ん~、オトヤンからひがみオーラが出ている」

「うっさいわ。ひがむのは自由だろうが。さ、とっとと部活いこうぜ」

「ああ、それじゃあね」


 クラスのカースト上位女子グループにさわやかな笑顔で手を振る祐太郎。

 おいそこの女子全員、なんで頬を染めているんだよぉぉぉぉ。



‥‥‥

‥‥


 平和な部活動。

 と言いたいところであるが、今年は猛暑。

 北海道なのに、七月上旬なのに30度ってどうよと思う。

 まあ、女子たちが薄着で汗をかいているのは、なかなかス・テ・キ。


「はぁ‥‥しっかし熱いよなぁ。オトヤンも暑さには弱いから‥‥ってなんで汗一つ掻いていないんだ?」

 

 うちわでパタパタとお仰いでいる祐太郎が、俺を見て問いかけてくる。

 まあ、適当に言い訳できる自信はある。


「じつはな。この指輪をつけていたら暑さに強くなってな」


 堂々とレジストリングを披露する。

 まあ、先輩たちは来ていないし祐太郎も暑さにかなり弱いので、これぐらいはいいだろうと。


「はぁ、そんなので涼しくなるわけないだろう。どんなシステムなんだよ」

「百聞は一見に如かず。まあ装備してみろって」


 予備に作っておいた耐熱のレジストリングを取り出して祐太郎に手渡す。


「どの指でもいいのか?」

「ああ、海外出張中の親戚のおじさんから送ってもらった、海外製のオカルトグッズだ」

「うわ、信ぴょう性まったくないわ、どれ」


――カチッ

 右手中指にリングをはめる祐太郎。するとぶかぶかだったリングがカチッとサイズがフィットし、薄くリングが光った。


「お、おや? まじで涼しくなってきたぞ?」

「そうだろうそうだろう。最近は、こういう海外のオカルトグッズにも凝り始めててね」

「へぇ、これ貰っていいか?」

「かまわん構わん。俺とユータロの仲じゃないか」

「友よ!!」


 暑くない熱い抱擁を躱す俺。

 男同士で抱き合って堪るか。

 そんな俺たちのやり取りを、話の最中に部室にやってきた新山さんも羨ましそうに見ていた。


「ん? これ欲しい?」

「えええ、わ、私も暑がりで、でも、海外のって高いんでしょ?」

「別にいいよ。これを適当な指に付けていいから。それと、この前頼まれていた、自称・病気治癒ポーションね」


 今年は暑いからさ、万が一のために部員全員分の耐熱レジストリングを作っておいて正解だったね。そしてレジストリングと病気治癒ポーションを新山さんに手渡すと、彼女は嬉しそうに右手薬指に嵌めていた。いゃあ、右手なら別に意味ないから構わないけどね。


「あれれ? 本当に涼しくなってきたわ」

「実は種明かしは簡単でね。リングの素材が放熱材の役割をしているらしくてさ。指の毛細血管から熱を吸収している‥‥っていう名目で売っていた半ばインチキオカルトグッズだよ。プラシーボ効果?」

「でも、本当に涼しくかんじるね。ありがとう」


 いいってことよ。

 そしてこの後、部室で涼しげにしている俺たちに疑問を持った瀬川先輩が新山さんに質問してね、レジストリングのことを知ってしまったので瀬川先輩にも一つあげることになってしまったのは言うまでもないと。



 〇 〇 〇 〇 〇



 一人ぐらしの俺の生活費は、原則俺のキャッシュカードに振り込まれている。

 といっても光熱費や食材宅配サービスなどの支払いは全て親の口座からの引き落としらしいから、そっち方面については俺は支払う必要なし。

 それでいて月の小遣いが3万円、緊急時に使いなさいと自宅の金庫には別途で封筒に入ったお金が置いてある。

 まあ、旅行や交際費などはそれなりに使うし、何よりも定期的にカナン魔導商会に査定に出す香辛料などを買うための予算がなんともしがたい。

 なので、俺は定期的にロト6で4等を当てている。

 1万円を超えると未成年者は保護者同伴で銀行に行かないと受け取れないため、6~7千円台が当選する4等を狙うことにしている。

 でもさ、大人って五万円まで窓口で受け取れるんだぜ、ずるいと思わない?

 

 そして高校生が定期的に金を持っているというのは意外と広まりやすくて、それも同じ高校ならば、不良グループに絡まれてカツアゲされるのはたぶん基本なわけでありまして。

 俺は部活に行く前に体育館裏に連れられてしまいましてねぇ‥‥。



「3組の乙葉だろ? 最近羽振りがいいんだってなぁ」

「なんでもロトくじ的中しまくっているっていう話じゃねーかよ」

「どうせあぶく銭だろ? 俺たちに恵んでくれてもいいぜ」

「っていうか、お前、俺たちの財布決定な、異議があるか?」


 おおう、スタンダードな不良四人組かぁ。

 実はレジストリングで実験したかった事があったから、ちょうどいいや。

 口に出さずにステータスが開くように念じて、まだ耐性をつけていないリングを4つ装備すると、すべてのリングに魔力を注ぐ。


『ピッ‥‥レジストリングに耐性を登録可能です』


 よーしよしよし、次は登録に必要な指先魔力を全身に循環して、体の表面に薄い魔力の幕を作り出す。

 これでお膳立てはオッケー。

 不良たちが何か文句言っているみたいだけどすべて無視していたら、いきなり右頬をぶん殴られた!!


――ドガッ

『ピッ‥‥打撃耐性を修得しました』


 よし来た、予想通りだ。

 よくラノベにある打撃耐性を、おれは現実世界で手に入れた。

 こうなると、殴る蹴るを受けてもまったく痛くない。それでも物理的な慣性は働くので吹っ飛ばされたりはするし、擦り傷はできるんだけど、その程度なら我慢できる。

 あれ、擦り傷って耐性つかないの?

 そしてひたすら殴ったり蹴ったりしていた不良たちも、段々と息が荒くなってくる。


「な、なんだこいつ、これだけ殴っても全く痛くないっていうのかよ」

「そ、そんなことあるかよ!! なら上等だ!!」


 不良の一人がカチカチカチッてカッターを取り出して刃を伸ばす。

 いや、それはまずいから、暴力沙汰では済まないから。


「ちょい待った、いくらなんでもカッターはないだろう」

「へへへ、流石にビビったのか? なら金出せよ。痛い目見たくはないんだろう?」

「いや、断る」


――シュッ

 俺が断った瞬間に、頬をカッターの刃が撫でる。

 一瞬だけチクッと痛かったが、すぐに痛みがなくなった。


『ピッ‥‥斬撃耐性を修得しました』


 さすがはカナン魔導商会製・禁断の魔導具。 

 この現代世界でも十分に強いっていうか、か~な~り強い。

 むしろ不良たちは、俺の頬が切れなかったのが理解できていないらしい。

 カッターを持っていたやつの腰が引けているのがよくわかる。


「な、なんだお前、どうしてカッターにビビらないんだよ」

「まあ、怖いっちゃ怖いけどさぁ。そろそろ帰っていい? 俺部活あるんだけれど」

「か、帰りたかったら、有り金出すか俺たちを倒してみろっていうんだ」


 はい、言質取りましたー。

 右手のSBリングに魔力を送り、身体能力を向上させる。

 そしてなんちゃって拳法の構えを取る。


「そんじゃ行くよ。悪いけどさ、金払いたくないから倒すね」


 一歩踏み込んで、近くの不良の腹めがけて掌底を入れる。

 ただし、当たる寸前に掌から力の矢(フォースアロー)を放つ。

 これは力の矢という打撃系魔力を飛ばす魔法で、斬撃でも刺突でもない『力をぶつける』という簡単な魔法。

 なので、突き刺さることはないし切れることはないが、めっちゃ痛いし吹っ飛ぶ。

 消費魔力は100MPだけど、俺はそもそもMPが高いので実に使い勝手はよく、腹部に力の矢(フォースアロー)を受けた不良は5mほど吹っ飛んで意識を失った。


「ど、どお? まだやるなら相手するけど?」

「な、なんだ、お前拳法つかうのかよ」

「聞いてねーよ、アニオタのもやし野郎だっていったのは誰だよ!!」

「ど、どうする」


 ふ、一撃で仲間がやられたのでビビりましたかそうですか。

 なら、また半身に構えて不良を睨みつける。


「まだやるんなら、俺の十七条拳法をお見舞いするけど?」


 そう呟いたら、倒れた不良を抱えて逃げていった。

 なら、せめてダメ押しだ。


「これに懲りたら、もう俺には絡んでくるなよ!!」


 そう大声で叫んで、埃を払って‥‥もとい清潔(クリーン) の魔法で汚れを全て落とすと、意気揚々と部室に向かうことにした。



‥‥‥

‥‥



 部室についたら、すでに俺以外のいつもの部員は読書を始めている。

 

「ちーっす。遅れてサーセン」

「よう、随分と遅かったな。あまり遅いと女に嫌われるぞ」

「早すぎても大きすぎても嫌われるって、すまんなどうせ俺はチェリーボーイだよ畜生めぇぇぇ。血の涙流すぞ? それにユータロも高校生だからチェリーだろうが?」

「すまんな、俺はもう魔法使いの資格を失った男だ」

「そう言えばそうだ、いつの間に!! 死ねぇぇぇぇぇ」


 部室に入っての俺と祐太郎のいつものやりとり。

 そうだよ、結構前に祐太郎のステータスを見た時、確かにそうなっていたよ、二度目の畜生めぇぇぇぇ‼︎

 それにクスクスと笑っている瀬川先輩と真っ赤な顔の新山さん。


「それで、なんで遅れた?」

「不良4人組に、体育館裏に呼ばれて行ってきた」

「なんだと? いくら取られた?」


 さすがの祐太郎もまじな顔で聞き返してきたので一言。

 

「いや、返り討ちにして帰ってきた」

「‥‥え? オトヤン強くなったなぁ。不良4人組ってあれだろ、こんなのとあんなのとかだろ?」


 話を聞くと、祐太郎も早い時期に不良グループに呼び出されたらしい。

 そして祐太郎が全員フルボッコにしてやってからは、不良グループは祐太郎の視界には入らないようにしているらしい。

 この高校に受かったのは奇跡的な不良中学出身だったらしいが、祐太郎に喧嘩売るとは自殺行為である。

 祐太郎はいろいろな格闘技の段位持っているんだよ?

 喧嘩する相手を間違っていると俺は思うね。


「そ、それで乙葉君は怪我はないの?」

「頬をちょっとだけ。あと擦り傷程度ね。最初に一発殴られたけれど、俺の十七条拳法が火を噴いたから」

「あ、あれか。あれ難しいんだよな、殴った瞬間に痛みが自分に伝ってくる前に手を引くっていうやつ。そうすれば痛くないから、いくらでも殴れるんだわ」

「そそ。俺はそれを使えるから」

 

 もちろん漫画の話なんだが、新山さんは真剣に聞いている。

 しかも、瀬川先輩まで食いついてきたぞ。


「へえ。私も合気道の有段者なのだが、今度お相手してもらいたいわね」

「え? 瀬川先輩って、合気道のスキル持っていないですよね?」

「「「 スキル? 」」」


 しまったぁぁぁぁ。

 思わず突っ込んだのがまずかった。

 いや、前に瀬川先輩を鑑定したときには合気道なんてスキルなかったよね? 有段者ならスキル表示されているよね?

 それよりも、祐太郎とか新山さんがじわじわと間合いを詰めてくるのはどうしたらいいんだよ。



誤字脱字は都度修正しますので。

その他気になった部分も逐次直していきますが、ストーリー自体は変わりませんので。


・今回の判りずらいネタ

 陸軍中○予備校/安○航一郎

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 入試のある高校だと或る程度変な生徒は選別されていると思うが、それを逃れた生徒が居たということか。
[気になる点] スキル「女の敵」はダメだって言っているのに何故「学業エキスパート」は躊躇なく使ってるんでしょう? 関係ないけど親友の女の敵って完全にNTRフラグなんじゃ・・・
[良い点] 色々ガバガバですが面白いので何も問題ありません。楽しみにしてます
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