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魔虫の用途

2019年1月26日 モスラスクイーンの色を一部変更しました。

タケルたちは馬をゆっくり歩ませ、側面からモスラスクイーンを眺めた。


魔法師たちが放った光球がいくつも宙に浮き、夜ではあるが明るい。


モスラスクイーンは、アゲハ蝶に似ているとタケルは改めて思った。


タケルはアゲハ蝶が好きだった。

普通のアゲハ蝶もカラスアゲハも黄アゲハ、瑠璃アゲハも。


幼い頃に、花が咲き乱れる庭にやって来るアゲハ類にワクワクしたものである。


しかし、ここに横たわるモスラスクイーンにはもちろんワクワク感は覚えない。


その(おおき)さに威圧感を覚える。

そして、ピクリとも動かぬ(むくろ)に無常感も感じていた。


猛きものもついには滅びぬ。


とは、確か平家物語の言葉であったと思うが、この言葉がタケルの胸に去来するのであった。


魔虫の女王の翅は黄アゲハのそれに似ていた。

黒い線に黄色い地。

(つややか)で妖しい美しさも感じられる。


だが、黄色い鱗粉は猛毒を含んでいるらしい。


今、タケルが平気で眺められるのも、リズが発動させた対毒結界のおかげだ。


遠目に見える腹部や胸部は、アゲハ蝶のように薄いレモン色である。

折りたたんだような細めの足は黒い。


「大きいね〜。東部でも見たことない大きさだよ」


ゴルビーが言う。


「これ解毒するんですね、ゴルビー様」


ミーシャの言葉だ。


「うん、そうだね〜。解毒しないとこの街道を通れなくなっちゃうよ」


「魔法師総出でしないといけないなり」


とタケルの背中からリズが言葉を発した。


「うん、そうだね〜。クイーンばかりじゃなく、普通のモスラスも解毒を施さないと回収も焼却もできないよ。

まあ、モスラスの翅はいろいろな用途があるけどね」


「どんな用途ですか?」


タケルが訊いてみた。


「普通のモスラスなく翅は、解毒を少し施したら、牧場の柵などにつけて、獣や魔獣避けになる。

また、それを焼いたら猪や熊よけにも使える。

薬剤にもなるよ。

まあ、使いこなすには、高度な薬物の知識が必要だけどね。

もちろん、魔緑石も採れる。

クイーンのは、すごく大きいだろうね〜。

脚や触角とかも何かの素材になったはずだよ。

確か、ヴァロア王国の人形劇シシリスプーペの人形のバネにも使われていたなぁ」


タケルは鯨の活用のことを思い出した。

日本では縄文時代の頃から鯨をとっていた。

食料だけでなくいろいろな部位を余すところなく活用してきたのである。


例えば、伝統芸能の人形浄瑠璃では、セミ鯨の髭を人形のバネに使ってきた。


しかし、20世紀後半、鯨の減少と鯨の保護を絶対視するイデオロギーの影響で商業捕鯨が禁止された。


そんな中、日本は調査捕鯨等の抜け道で一部の鯨は入手できているがセミ鯨は難しい。


セミ鯨の髭が手に入らなくなり、人形浄瑠璃関係者が困っているという話を聞いたが、どうにかならないものかと考えていたタケルであった。


「魔虫もいろいろ使えるのですね」


「うん、魔虫や魔獣は厄介だけど、特別の何かがあるんだよ。

出来るだけ活用するよ。

とは言え、この女王様はどうしたらいいものか。

解体だけでも面倒だ。

焼却するにしても、解毒をしっかり行わないと有毒ガスが出ちゃうよ。

だから最初は軽く解毒しておかないといけない。

これはホヤンスク防衛臨時司令のグスタフ大佐と相談の上だけれどね。

後のことは、上層部との折衝になるだろうが」

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