目が覚めてみると
「私のこと、分かりますか?」
可愛らしい顔立ちの少女が心配げに話しかけた。
出会った時と同じくツインテールの栗色の髪が揺れている。
「エルゼさん…、ここは?」
返事が返って来たことに表情を和らげてエルゼは答える。
「ああ、よかった! 」
エルゼの声が明るく響いた。
「気がついたんですね。ここはわたしの家ですよ」
真上に視線を凝らすと薄板を組み合わせたような天井が見える。
「あれから、そうゴブリンを倒してから、どうなったのでしょうか?」
タケルが訊く。
「タケルさんはあそこで倒れたんです。それで、ガルフさんの馬で集落まで運びました。
一応、治癒師にタケルさんを治療してもらって、それからうちへ」
「そうだったのですね。お手数かけました。ありがとう!」
タケルは毛布のようなものを掴んで、上半身を起こしてみた。
力を入れる際に槍で傷ついた右の太腿に少しだけ痛みを覚えたが、それ以外は調子は悪くない。
「タケルさんは、まる3日間、ずっと寝ていたんですよ。
治癒師は、
大丈夫眠っているのは身体を回復させるためだから心配ないって
言ってくれてはいたんですが、でも…。
目が覚めて本当によかった!」
「エルゼさんには、心配をかけてしまいましたね」
タケルは上半身を起こしたまま頭を下げた。
その時、ふと自分が薄緑色の寝間着のようなものを着ていることに気づいた。触れてみるとサテン生地のようなすべすべした肌触りだ。
「服を取り替えてくれたのですね」
「はい、寝るための服に。タケルさんの服は、ちゃんと洗って置いてありますよ」
そして、タケルはトランクつまり男の下着を履いていないことにも気づく。
下半身はパジャマのズボンのようなものを一枚履いてるだけなのだ。
「全部、着替えさせてくれた?」
「え、あっ、そうです。
わたしが、したわけじゃなくて、あの、その、お母さんが…」
ちょっと赤面するエルゼ。
タケルもつられて頬に赤みがさした。
とは言え、看病なのだから着替えぐらい当たり前だろう。
エルゼに生まれたままの姿を見られなかっただけでも可しとしよう。
こう思い直すタケルの耳に
「タケルさん、目が覚めたようね。良かったわ〜」
という優しい声が入ってくる。
部屋に現れたのは、緑色のロングヘアーをそのまま下ろした、とんがった長い耳を有する、美しい女性だった。
「あっ、お母さん!」
そう呼ばれたエルフの女性は、スラリとした肢体で、肌は雪のように白く、容貌には品格があった。
切れ長の目に高めの鼻。
額に見える宝玉を散らした細い鎖のアクセサリーがとてもよく似合う。
また、タケルの目を引いてしまうのは、白地の布に包まれている存在感のある胸の膨らみだった。
タケルがいた現代日本でもここまで大きい人はあまり見掛けないのではないか。
タケルは女性の胸元はあまり見ないようにしてきた方だが、バストに執着してこなかったはずだが、つい意識して、動揺を覚えているのは何故だろう。
異世界もののマンガやアニメを通じて、エルフの女性の胸の双丘は大きめというイメージを持っていたけれども、こう目の当たりにすると、やはり事実を反映していたのかと、タケルは動揺している己の未熟を恥じながらも、思ったのであった。




