様々な思い
「あれは?」
城壁の上にいたフォクラが見つけた。
「きっとモスラスクイーンね」
アスカが言う。
「ここからあの大きさなら100エペぐらいあるかもしれぬ。魔虫でかくも大きいのは拙僧も初めてじゃよ」
城壁で守る者たちは、城外の部隊や冒険者たちの攻撃の甲斐があって、モスラス群れの襲来も少なくなり余裕も出ていたが、モスラスの女王の出現で悲観的な空気が流れ出した。
「大きすぎる」
「あれを撃てるのか?」
「いや、いま大魔法師ゴルビー様が来てるって言うぜ。大丈夫だ」
「ゴルビー様でもあれはちょっと」
そんな声も聞こえる中、リザードマンの僧侶ドゼルがいう。
「大丈夫だ。タケル殿がいる」
「そうよ!」
アスカもすぐに呼応した。
フォクラには、不思議とその言葉がが気休めには思えなかった。
「うん、うちもそう思う」
3人は遠目に姿を現した魔虫の女王を見やっていた。
***
東門の北側の城壁では、ガルフとミーニャとヒューマンのチームが魔虫の侵入を防いでいた。
「あれもしかしたら、モスラスクイーンかにゃ?」
ミーニャが指をさして言った。
東門あたりからはまだ小さめに見えるが、それでも大きな魔虫であることは、把握された。
「町に近づいて来とるな」
ガルフがつぶやく。
「城外で戦うエリナにゃんが心配にゃ〜」
「そうやなぁ」
と言ってガルフはたまに姿を見せるモスラスを矢で射ちぬいた。
***
タケルは馬上からモスラスを認めていた。
近づくうちにだんだん姿が大きくなっている。
タケルとゴルビーたちは、エリナの部隊が布陣する場所に向かっていた。
ホヤンスク城外の北東のやや南に当たる。
エリナたちの部隊は遠距離攻撃を果敢に行なっているのが見えた。
数人の魔法師で大きな火球を放っているのが見えた。
しかし、モスラスクイーンには、効いていない。
攻撃を受ける寸前に魔法を無効化しているのだろう。
その内にモスラスクイーンが口から黄色い息吹を吐き出した。
鱗粉と同じ成分からなる猛毒ガスと言える。
エリナたちの部隊は、防御壁を作り、黄色いガスを必死に遮っている。
「ぼ〜くたちもモスラスクイーンを攻撃しよう」
ゴルビーは一旦馬を止める。同じようにリズ、ミーシャ、ラビーネも停まった。
ゴルビーが詠唱する。
「森の精霊よ。我らが御祖みおやよ。
敵を討つべき御力を我に授けたまえ。
それは北方の氷のごとく、敵を閉じ込めては散り散りにする御業なり」
ゴルビーの魔杖に青白い光が大きく膨らみ始めた。




