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魔虫の女王

タケルには素振りのようなもので魔虫を切ったことに実感がなかった。

地に転がったのは偶然ではないか。

他の戦士も群れを攻撃している。


そんなことを思いながら、離れた魔虫に向かってもう一度、剣を振るってみる。


「びゅっ」


先ほどは見えなかったが、何か白い波のようなものがうっすらと放たれたようにも見えた。


狙いをつけた1匹のモスラスが地面に墜ちた。


「やっぱり!

タケル殿は風刃(ふうじん)ができるな〜。

もちろん、宝剣のお蔭もありま〜すが、タケル殿自身に素質がなければ発動できないよ」


ゴルビーに続けて、


「タケルはん、風刃って高度な技なるよ。無詠唱は魔法師にも脅威リス~」


栗鼠型獣人のリズがいう。


確かにモスラスが二度続いて墜落したところを見ると、太刀からの風圧は(やいば)のように前方を切りつけたのであろう。


(風刃か…)


これは今後の魔物との戦闘において頼もしい武器となるだろう。

昨日攻撃してきた闇の魔法師に対しても有効だ。


タケルは先ほどのようにイメージして刀を振り下ろし、次々飛来する魔虫を屠った、

新しい技を磨くかのように。


「森の精霊よ。我らが御祖(みおや)よ。

(かたき)を探すべき御力みちからを我に授けたまえ。

それは網のごとく広がり、疾風のごとく教うる御業(みわざ)なり」


ゴルビーが再度探知魔法を発動した。


ややあって、


「おっ、クイーンが飛んでいるようだ〜」


ついに見つけたらしい、

群れを統べる巨魁を。


「確かに大きな羽ばたきの音もし始めましたね。

他のモスラスと音が断然違います。

どこかで休んでいたんでしょうか?」


長い兎耳で音を拾ったラビーネが尋ねると、


「地に伏せて、餌を貰っていたのかもしれないね〜。

女王は自分で餌を取ったりはしないから」


「それは驚クマ!」


と言ったのは、熊系少女のミーシャだった。


ゴルビーがミーシャに向かってモスラスクイーンの生態について説明した。


モスラスクイーンのそばには親衛モスラスが侍り、餌を噛み砕いて肉だんご状にして、クイーンに食べさせるのだとういう。

クイーンはそれを食べて大きく育って行く。


「普通のより羽ばたきの音がやや大きいものが増えています。これ親衛モスラス?」


「おそらくそうだろうね〜。クイーンのそばにいるから」


タケルはそばで聞いていて、アシナガバチのような肉食の蜂のようだと思った。


しかし、遠くでひらひら飛んでいるモスラスの外見は一見蝶にも似ている。


肉食の蝶を聞いたことがないが、魔虫の分類は地球の生き物の分類とはやはりことなるということなのだろう。


ゴルビーが言うには、モスラスが群れとともに移動するのは巣が手狭になったり、餌が不足するようになったりして、巣を新しく作る時が多いという。


ホヤンスクを次の営巣の候補地に望んでいるのであろうか。


周囲に大木こそ少ないが、住人を餌に見立てたら巣、を作れないこともない。


それはおぞましい事態だ。


モスラスの群れを、モスラスクイーンを必ずや討たねばならぬ。


「きゃつは、あと二刻(約30分)ほどで東門あたりに飛来するだろう。

今回のモスラスクイーンはかなり大きいなぁ。

東部でも出会ったことが無いかもしれない…」


ゴルビーの声には険しさがあった。

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