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エリナの部隊

2019年1月29日 長さの単位を修正しました。

エルフの魔法士たちによって放たれたいくつもの火球は100エペ、つまり約100メートル以上先の魔虫の群れに炸裂したようだった。


おそらく燃え尽きたモスラスは少なくなかったであろう。


しかし、大群にはさほど影響はなかった。


詠唱とともに次々と火球が夕闇に包まれつつある前方へ放出された。


エリナの見たところ、モスラスの群れは北門から東門、そして、街道を飲み込むように広がっている。


ホヤンスク城外の北東、つまり今自分たちが立つ場所こそが、群れの中枢であると察せられた。


北へ離れたところでは、ゴーリキー少佐の部隊が、やはり遠隔魔法による攻撃を繰り広げている。


接近する毒虫をできるだけ減らすことにやはり必死なのだ。


魔法師の中には、魔緑石を使って、火の玉を大きくして、魔虫の群れの中で破裂させる方法を取る者もいた。

いいやり方だ。


風は止んでいる。

毒虫燃焼による煙害はまだ気にしなくて良い。

エリナは指示を更新する。


「火球の攻撃は70エペまでよし。

石や土による魔法攻撃を開始せよ。

氷結は火球がある間は、氷による物理攻撃に止めて実施せよ」


この指示をきっかけに、土系や水系が得意な魔法師が詠唱を開始。


「森の精霊よ。森の妖精に連なる我らを助けたまえ。

石つぶてを以って(かたき)を討つ御業(みわざ)を授けたまえ」


ある者は多数の石つぶてを速い速度で放つ。


「森の精霊よ。森の妖精に連なる我らを助けたまえ。

氷れる地より氷柱を持ちきて(かたき)を討たん。

氷柱を操る御業(みわざ)を授けたまえ」


ある者は氷柱を槍のように打ち出し、モスラスを串刺しする。


エリナの部隊の正面は魔虫の群れは薄まっていた。

しかし、正面から離れると魔虫の勢いはそのままである。


このままではホヤンスクの城壁に到達することだろう。

全部は討滅できないまでもできるだけ城内を襲いかねない毒虫は減らしたい。


右手側の東門方面と左側の北門方面、どちらの防御を優先すべきか?


それは東門だろう。

北門はゴーリキー部隊が万一の場合駆けつけるだろう。


エリナは、


「右手方面の魔虫も攻撃せよ」


と号し、自らも詠唱とともに大きめの氷解を作り、遠方へ放った。

魔獣の群れの中で破裂したはずである。


時間が経つにつれて、魔法攻撃をすり抜けたモスラスがエリナたちに接近してくる。


遠目に見ると枕ほどの大きさに4枚の黄色い羽と少しずんぐりした頭・胸・腹。


夕闇に光る黄色い鱗粉を撒き散らしていく。

口元には長い2本の牙が認められる。

この牙が生き物を貪り食う。


しかし、近づく魔虫は弓矢で討ち取られる。


連携した戦闘のおかげで、まだモスラスの攻撃で倒れた隊員も黄色い毒粉が頭上に降り注ぐこともない。


ただし、エリナの部隊は大群の一部を切り取ったに過ぎなかった。


ゴーリキーとエリナの部隊の遠隔攻撃が届いていない群れは、北門や東門付近に到達しているだろう。


あるいは南門や大門を目指しているかもしれない。


今出来ることを自分たちはやるだけだと思いながらも、エリナはホヤンスクの城壁で魔虫を食い止める武人たちの無事をも祈るのであった。

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