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蝶形魔虫の接近

タケルとゴルビーが邂逅したちょうどその頃、ホヤンスクの北の門では、早駆けの馬が飛び込んできた。


調査の先遣隊として北方に派遣されていたエルフ軍人であった。


異様だったのは、男の衣服はボロボロになっており、彼自身もそして馬も所々が(ただ)れていた。


馬は門前で唐突に倒れこみ、巻き添えで地に伏した。


「大丈夫ですか?」


その男は、辛うじて顔だけを上げて、心配する衛兵に告げる。


「北方から魔虫モスラスが大量にこちらに向かっている。

毒を撒き散らして、飛来地は壊滅している状況だ…」


彼はそのまま息絶えた。

衛兵はすぐに上層部に報告した。


すぐにこの町の防衛本部にいた、臨時司令官のグスタフの耳に入った。


「モスラスか。厄介だな」


「そうですね。東部国境そばで出現するとは聞いていましたが、北部に現れるなんて」


「すぐに対策を指示せねばなるまい」


「大佐はモスラスを見たことがあるんですか?」


「ああ、一度東部で戦っているよ。基本的に弓矢と遠隔魔法で叩く。

解毒の準備も必要だ。

気がかりなのは…」


エリナはグスタフが顔を少し(しか)めたのを見逃さなかった。


「魔虫女王ですね?」


「その通りだ。魔虫は群れで行動するが、モスラスの大きな群れには女王がいるはずだ。

あれを倒せる魔法師は宝嶺島でも一握りだろう。

ゴルビー参謀長が早く着いてくれればいいが」


「明日の夜には到着すると伺っています」


「大魔法師が来られたら憂いはずっと減るが。

今はできる準備を行おう」


グスタフはそばの武人たちにホヤンスク防衛と魔虫討伐の指示を伝えた。


程なくして、ホヤンスク各地の鐘楼で警鐘が鳴らされた。


カランカランカラン

カランカランカラン

カランカランカラン


3度ずつの鐘が響く時、それは敵の襲来が近いことを告げ、この町は最高警戒の体制に移る。


城門からの出入りは、防衛関係者のみが許可され、商人の馬車はホヤンスクへの逗留を余儀なくされた。


軍人や冒険者たちは武具を持ってそれぞれの兵団や小隊の終結場所に急ぐ。


一般人も防衛や避難のために所定の場所に集まったり、自宅での防備を固める。


町の各所に防衛司令部から情報と指示が伝えられ始めた。


大量の蝶形魔虫のモスラスがホヤンスクに向かっている。

毒の鱗粉を撒き散らし、生き物の肉を鋭い牙で漁る。


遠隔魔法攻撃と弓術に秀でた者は率先して城壁の外で待ち、魔虫を撃ち落とせ。


障壁を張れる者は、攻撃チームの防御や町の防御を担当せよ。


解毒できる者は鱗粉による汚染の解毒の準備をせよ。


手の空いた者は、輸送や防御の助力をせよ。


気持ちを落ち着け各自が冷静にすべきことをせよ。


指示に接した人々は最初は恐怖と緊張感に包まれた。


噂でのみ聞いていたモスラス。

エルフィニア東部ではたまに出現するらしいが北部では現れなかった魔虫。


通常の成虫は蝶のように見え大きな枕ぐらいの大きさだが恐るベキ存在だ。


触れると皮膚が爛れる鱗粉を撒き散らし、生きた獲物に集団で食らいついてくる。


話によれば、群れを率いる女王虫はかなり大きいらしい。

ホヤンスクの戦力で討伐はできるのか?


とはいえ、東部では、モスラスはきっちり討伐されている。

エルフィニアの軍人たちは対処法に通じているはずだ。


しかも数日前の魔獣の襲来に際しても武人たちは魔獣を討滅したではないか。


今回もきっと町を守れるはずだ。


人々は不安を振り払うように武人たちに期待するのであった。

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