虐殺トカゲの斬り伏せ方
20分ほどイメージトレーニングをしていただろうか。
ルートヴィヒの指示が出る。
「木剣、防具を用意。2人組で打ち合いの練習をする」
騎士たちは剣や防具が集めて置かれていた場所に行き、手に取り革の防具をつけ始めた。
タケルも同じようにした。
「タケル殿は私と組む。他のものは組手乙のペアで組むこと」
革の防具をつけ終えたタケルは、ルートヴィヒの前に来て、
「よろしくお願いします」
と一礼した。
「こちらこそ。
タケル殿、好きな場所にうち込んでくれたらいいです。
その時、それがしの剣の動きをよく見ていて欲しい」
「分かりました」
そう言って、タケルは肩の力を抜いて、ルートヴィヒに打ち込みをかけた。
早い連打をいくつも打つが、ルートヴィヒは難なく剣先を受け流した。
時折ルートヴィヒの剣戟も来るがタケルもうまく捌く。
だんだん2人の剣速が早まっていく。
それは無駄な動きのない美しい打ち合いにも見えた。
(ルートヴィヒさんは、最小限の力で剣を捌いている。
それでいて、カウンターの反撃の剣は威力がある)
騎士たちも時折剣を止めて、ルートヴィヒとタケルの打ち合いに眼差しを与えた。
タケルは突きも交えながら、ルートヴィヒの力の配分を掴みとろうと努めた。
「よし、やめ!」
ルートヴィヒの指示で、騎士たちの剣は止まった。
「これから、丙の組み合わせになって、対魔獣の戦闘訓練を行う。
現実的には今回の魔獣は単独ではなく、組んで討つ方が確実だ。
クララはタケル殿と組め。
代わりにそれがしが、ヴァレンティーネと組む」
「タケル殿はクララと組んで、風魔法で上空から魔獣を切る訓練をする。
虐殺トカゲとの戦闘を考えて」
「クララは逆に剣士や槍使いを風魔法で上空へ上げる訓練となる。
実際の戦闘ではヴィルフェルミナやゾフィーを宙へ持ち上げることになろう」
「タケル殿、虐殺トカゲは知っての通り、普通の斬撃では皮一枚切れない。
普通の刀では歯が立たぬ。
しかし、タケル殿の宝剣なら、一撃で斬りふせる方法がある。
上空から加速して斬るという手だ。
そのやり方を今お見せする」
ルートヴィヒはサーベルを再び抜くと、前方へ駆けて行き、跳躍を見せた。
5メートル以上は飛んだであろう。
宙で一回転して、体重も載せて、地面につく寸前まで剣を振り下ろす。
着地も見事だった。
タケルは目を見張った。
ぜひ修得したい技だと思う。
「これなら、虐殺トカゲのような魔獣にも致命傷を与えられよう。
タケル殿だけでなく、親衛隊隊員も身につけておきたい」
クララはタケル殿を風魔法で上空へ上げてみてほしい。
タケル殿が慣れたら、今度はヴィルフェルミナにもおこなってみてほしい」
「ルートヴィヒ様、分かりました。
タケル殿、こちらへ」
タケルはクララの方へ歩み寄った。
タケルと同じくらいの背丈。
サーベルと魔杖を帯びたハーフエルフ。
緑色のセミロングの髪が白い肌に似合う。
胸はやや大きめと言える。
「タケル殿、詠唱の後すぐに上空に持ち上げます。
お気をつけて」
「分かりました」
と言って、タケルは鞘から太刀を抜いた。
クララの優しみを含んだ声が響く。
「世界を作り給いし偉大なる神よ。
この世を統すべる慈悲深き神よ。
風を以って我ら子羊を嘉よみしたまえ。
風を以って迷える我らを導きたまえ」




