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エルフィニアの風呂事情

「タケル殿も湯屋に関心があるのか?

俺も結婚前は行ったものだが」


「風呂に入りたいんですよ。湯浴みをしたいというか。

私が元いた世界では、風呂に入るのが日課のようなものでした」


「そうなのか?ヘルブスの民みたいだな」


「ヘルブスの民というのはなんでしょうか?」


「ヘルブス教を信じるヒューマンたちだ。各地に散らばっていて、風呂や湯浴みを欠かさない。

信仰上、それが大切な行為だからだ。

そういやぁ、大概の湯屋はヘルブスの民がやってるともいうしなぁ」


「エルフィニアには、ヘルブスの民は住んでるのですか?」


「あまり聞かないな。基本的に森の結界の中に特別な事情がないとヒューマンは住めないんだよ。

ホヤンスクのような結界の外の町でヒューマンは暮らしているが、ヘルブスの民はあまり見かけないか…」


「ヘルブスの民は服装などに特徴があるのですか?」


「ああ、ある。外出時は上下黒い出で立ちだ。

男女ともに独特の丸い帽子をかぶっている」


タケルにはそんな姿のヒューマンを見た記憶がなかった。


ホヤンスクには、あまり住んでいないのだろう。


ヘルブスの民が多い土地には、蒸し風呂だけではなく、湯船のある銭湯なども存在するのだろうか?

それなら入ってみたいところだ。


「話はそれましたが、風呂に入りたいと思っていたところ、西門から中央広場に行く途中で湯屋を見つけたわけなんです。

それで明日にでも行こうかと。

ホヤンスクでは、風呂や湯浴みはどうしてるのでしょうか?」


「ホヤンスクでは、蒸し風呂が一般的だな。

上流の家にはたいてい蒸し風呂がある。

湯船があるならかなり裕福な家だ。


庶民は普段は桶に湯を張って湯浴みする。

時々蒸し風呂へ行く。

小さい蒸し風呂場が宿屋などにあって、水を浴びたりできる。


湯屋と呼ばれるところには、大きな蒸し風呂や水風呂がある。

湯屋(ミシタ)は、建物の中は大きくて広々としてる。

確かに快適な場所だ。

俺も行ってたことがあるよ。

あそこなら、風呂の利用だけでも可能だった。

まあ俺が独身ならマッサージも頼むがな」


タケルは黙して微笑をみせた。


「エルフの人たちは、魔法で自分を洗浄したりはしないのでしょうか?」


「そうする者もいる。

水魔法で体を洗浄したり乾かしたりする事は可能だ。

魔法で湯も沸かせる。

とは言え、やはり快適なのは蒸し風呂だな。


エルフィニアでは、風呂といえば、蒸し風呂と水風呂を合わせたものだ。

森の結界内では、ある程度の家にはまずある」


(蒸し風呂というのは北欧のサウナ風呂みたいなものだろうか?

体験してみたい)


「ここら辺で朝に蒸し風呂を利用できるところはありますか?」


「ああ、あるぞ。宿屋のストロイカは、朝の蒸し風呂サービスをしてたと思う。宿泊客以外も大丈夫だ。俺も利用したことがある。

屋台街の向こうだ」


「その場所を教えてください。夜勤明けに寄りたいです」


グスタフは薄い竹簡に短い矢立のような筆で地図と看板の文字を書いて、


(ミシタ)もいいが、蒸し風呂だけならストロイカは無難な選択だ」


といって、タケルに渡した。


その時ちょうど集合場所にミーニャが現れた。


「タケルニャン、こんばんは。今日、二度めニャン〜」


タケルとグスタフは、湯屋や風呂の話はやめ、警備の準備に気持ちを切り替えたのだあった。

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