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剣技妖斬り

ルートヴィヒはタケルが取った構えに期待感と警戒を抱いた。


右手に木剣を持った斜め上段、しかも目を閉じている。

何か新しい戦い方をして見せるのだろう。


タケルはここまで自分の剣筋を苦労しながらも全て捌いている。


死力を尽くして打ち込んでいる訳ではないが、手加減はしていないのだから、大した腕であろう。


ただし、自分への攻撃がないのは、タケルに余裕がないからだろう。

新しい構えで何が変わるのか?

しかも目を(つむ)るとは。


ルートヴィヒはそんな事を考え、瞬時に間合いを詰め、速い剣戟をタケルの喉元に打ち込んだ。


「ガシッ、ガスッ」


タケルは打ち込みを捌くとともに返す剣先でルートヴィヒに反撃を加えてきた。

一種のカウンター攻撃だ。


そんな攻防が数度繰り返される。

ルートヴィヒが初めて防御を行った。


「ほう」


肉眼ではなく気配で太刀筋を予測し、反撃の剣を加えているわけか。

面白い。


ルートヴィヒは闘志がいっそう高まった。

彼は現役から引退してここ数年は後進の指導に専念していたが、やはり物足りなさを覚えていたのだった。


戦場では数多(あまた)の敵を斬り伏せ、討伐では(おびただ)しい魔獣を倒してきた剣聖ルートヴィヒ。


これまで浴びるような称賛を浴びてきたし、ノルトラントの国防にも寄与できたと自負しているが、やはり剣の戦いに己の命の発露を感じるのである。


現今のノルトラントでは、自分の剣の相手がまともに務まるヒューマンがいなくなって久しいが今ここでタケルという逸材に出会ったのである。


この青年は、自分の縮地法による攻撃、つまり瞬間に間合いを詰める攻撃をも防ぐことができる。

加減なしの速い剣戟を打ち込んでも勝負が終わらない。


一方的ではない、手合わせらしい手合わせができる。


それは喜ばしいことだった。

ホヤンスク行きの思わぬ幸運だった。


(タケル殿、これは防げるか!)


ルートヴィヒは、タケルに刺突を為す。


それは瞬間の三つの突き。

タケルがヴィルフェルミナに放った三本突きである。


タケルは見事に捌いてみせて、踏み込んでの反撃の胴の打ち込み。


「ガシッ」


ルートヴィヒが難なく防いで離れる。


(あの突きをやはり捌けるのか!)


タケルが先程から見せる剣技、(あやかし)斬り。

ルートヴィヒによる肉眼で捉えるのが困難な速い剣戟を防ぎまた反撃も可能にしている。


目では追えない、幻惑のような攻撃を防ぐために編み出された真刀一条流の技。


剣を利き腕一本で持ち斜め上段に構え、肉眼を閉じ心眼で相手の気配を捉えて、予測して剣を振るう。


タケルの幼少から鍛えられた心眼があってこそ可能な剣技だった。


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