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ルートヴィヒとの出会い

ペガサスに騎乗するタケルが西門近くに至ると荷馬車や乗合馬車が行き交っていた。


やり過ごすため、タケルは停止した。


西の方から騎乗した武人の一団が目に入った。

人数は7人ほどいようか。


いずれも高品質で見た目の良い武装服を纏い、サーベルを提げている。

青と白を基調としたその出で立ちは美しい。


兜は被ってはいない。

意外なのは女性が中心であった事だ。

騎乗では男性は初老の男性が1人付いているだけらしい。

よく見ると後方で荷馬車を御していたのは鹿顔をした獣人だった。

男性であろう。

見事な鹿角が二本生えている。


前方に見えるひときわ目立つ女性はセミロングの金髪で、白い肌に切れ長の目を有し、すこぶる美しくそして凛々しく見えた。


服装や馬具や持ち物からもいずれかの高位の貴族である事が推察される。

他の者の振る舞いから、彼女がリーダーのようだ。


その周りを囲む女性騎士たちも品性が高いように感じられた。

その一団は、今のホヤンスクには場違いにも感じられた。


一体どんな用件で魔獣襲来直後のこの町を訪れているのか?


タケルはその一団の美しさに目を留めていた。

彼女らが通り過ぎたら道を横切って北門の方へ行こうかと考えていた。


リーダーの女性の隣で馬を歩ませる白髪の男性とたまたま目が合う。


彼は彼女に何か話しかけるとタケルの方に馬の鼻先を向けた。


どうしたのだろう?


彼の馬が近づいてくる。

彼は温和な顔で話しかけてきた。


「馬上から失礼します。

そこもとは、何という御仁ですか?

刀剣や雰囲気から並々ならぬ剣士と拝見しました。

それがしはルートヴィヒ・フォン・シュタウフェンブルク。

ノルトラント公爵様に仕える者です」


うやうやしい態度だった。

そして、一見大らかだが、武術を身につけた者の隙のない所作が認められる。


「初めまして。恐縮いたします。

私は一乗タケルと申します。

故あってエルフィニアには、数日前に来たばかりです。

現在このホヤンスクを護る任務についています。

よろしくお見知りおきください」


「承知しました。ところで、その刀剣、見事なものと思いますが、拝見してもよろしいですか?

刀剣に目がないもので」


「はい、いいですよ」


タケルは馬上で太刀を鞘から抜いてみせた。


ぎらりと光る白刃が神々しい。


「ああ、なんという技ものか!

ミスリルの剣よりもかなり良い素材に見える。

何という刀剣ですか?」


「日本刀というものです。銘は確か…」


タケルは転移した日の佐々木宮司の説明を思い返した。

この神剣の名は確か…。


(あめ)(のぞみ)()(つるぎ)です」


「縁起の良さそうな銘ですな。

この太刀、実際に握ってもよろしいか?」


タケルは迷わず渡した。

ルートヴィヒから刀剣への愛情を感じ取ったからである。

刀を奪ったり、予期せぬ事態にはならないだろう。


彼が(つか)を両手でとって、太刀を馬上で立てる。


タケルは視線で早くも斬られていた。


それは錯覚だった。

しかし、そんな殺気が彼の心を掠めたのである。


タケルが仮想の太刀を持っていたとしてもルートヴィヒの一の太刀にはきっと届かなかっただろう。


刃を真剣な眼差しで眺めていたルートヴィヒが、突然、


「うぉっ」


とうめくとともに、その腕が震えだした。


何が起こったのか?


タケルは気を引き締めた。


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