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エルゼの悔しさ

エルゼは泣きながら走っていた。

必死に走っていた。


救援を呼ぶために。

自分を守るために戦っている恩人を助けるために。


なぜ戦わなかったの?


それは自分が弱いから…。


弱い自分が悔しい。

悔しい…。


強ければ、一緒にあの場所に残って戦う選択肢だってあったのに。


戦闘スキルのない自分は、あの時、足手まといでしかなかった。


いや、言い訳だ! 言い訳だ!

結果を考えず残って戦ってもよかった。


光を灯したりする簡単な魔法しかできない自分、

体術もままならない自分。


エリナ姉さんだったら、弓術であるいは攻撃魔法でゴブリンぐらいは、簡単に仕留められる。

他のみんなもそう。エルフなら誰でもでくること。

自分は一体のゴブリンさえ倒せない。


いま非力な自分ができるのは、助けを呼んで、タケルさんの元に戻ることだけ。

せめてそれだけは。


うっ、うっ、う〜


悔恨の涙が頬に筋を作って垂れ続ける。

でも、走るのはやめない。

警備役がいる詰所まで行けば、誰かいるはず。

そんな時ふいに


(エルゼ、聞こえる?)


あっ、エリナ姉さんからの交信魔法だ。

近くにいるんだ!


エルゼの暗闇に傾いていた心が俄かにバランスを取り戻し始めた。


(姉さん、聞こえるよ!)


(今までどうしてたの? 心配したわよ。結界の外へ行って帰ってこないんだから)


エリゼは立ち止まり、脳中での姉との交信に集中する。


(姉さん、助けて! お願い、助けて!)


甚だしい涙声。

妹のただならぬ願いにエリナは気持ちが張り詰めた。


(私を助けてくれた人が殺されそうなの! ゴブリンたちに。お願い、姉さん、助けに来て)


エリナは妹の必死の願いにすぐに応える決断をした。

詳しい話は後だ。


(分かった、エルゼ、動かず、その場にいて。交信出来るっていうことは、あなたは結界の中ね?)


(そう、第4の石柱からちょっと離れた場所。)


(すぐ向かうわ)


(うん、待ってる)


馬に乗っていたエリナは、見回りに出ているであろう、ガルフを交信魔法で呼ぶ。


(ガルフ、聞こえる?)


(聞こえるぜ〜。どしたエリナ殿?)


馬をゆっくり歩ませていたガルフが応答した。


(妹がゴブリンの群れに襲われたみたい。妹は助かったみたいだけど、妹を助けてくれた者が危ない。来てくれる?)


(イエッサー! 場所を指示してくれ、エリナ殿)


ガルフは、エリナと落ち合う場所を決めて、馬の進路を変える。


ゴブリンが襲ってくるなんて、こりゃ何か大変なことにならなきゃいいが…。


狼面人身のガルフは、腰のサーベルを一度握りしめた。

そして、鋭い耳を立てて、エリナと落ち合うべく、馬に鞭打った。





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