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服装と防備

店員がコーディネートしたタケル出で立ちは次のようなものだった。


革のジャケットというよりもチャックのない革ジャンのような上着の中には赤い厚手のシャツ。

ズボンは薄い茶色、ブーツも茶色い。


黒いフード付きマントは裏地が赤い。


全体的に茶色系でまとめた服装だが、シャツやマントの裏地の赤色が良い対照をなしていた。


赤い色を入れたのは、タケルの好みの色と伝えていたからだった。


マントの上から太刀をつけたホルダーを背負うのは動きづらいのではないかと思ったが、斜めがけに背負えばそうでもない。


むしろ斜めがけの方が慣れたら長い太刀が抜きやすいと感じた。


「エルゼさん、どうでしょうか?」


「とっても似合いますよ!色の合わせ方も素敵」


タケルはホッとした。


もっと良い服装の組み合わせがあるかもしれないが、エルゼの反応も良いし、今はこれで十分。


そう判断したタケルは、


「では、この取り合わせを購入したいと思います。

今日は予算のこともあり、これだけ買い求めますが、他にどんなものがあると良いでしょうか?」


「そうですね。私も冒険者の経験が有りますが、突然の戦いにも備えるなら、頭部を守る丈夫な帽子、不意打ちに備えた金網状の着込み帷子(かたびら)、剣士なら籠手(こて)でしょうか」


なるほどとタケルは思う。


頭部を守るのは非常に大切なことだと。

ここの怪我は致命傷に結びつく。

金属製の帷子を着込むのも有効だ。

剣士は特に籠手(こて)手甲(てこう)で腕や指を護る必要がある。


新撰組が強かった理由の一つに、しっかり防具をつけて戦ったということも実は挙げられる。


隊士たちは、頭を護る鉢金(はちがね)、胸部や胴部を護る鉄鎖の帷子、金属が入った手甲(てこう)脚絆(きゃはん)で防備していたのだ。


新撰組が倍以上の人数と戦った池田屋事件で隊士たちは1人も命を落とさなかったが、実は指一本飛ばなかったが、腕前とともに堅固な防具もきっと寄与しているだろう。


これを強調すると新撰組の隊員の強さに水を差してしまう可能性もあるから、小説やドラマではさほど強調はしないが、タケルは剣道と剣術を身につけていることから防具の大切さも理解していた。


新撰組は剣の技量と闘志とそして現実的な防備をちゃんと兼ね合わせて、敵を討ち取ったのである。


それこそが強さだったのだ。



しかし、タケルは矛盾するようだが、この異世界では自分自身は余り防具を使う気がないことも自覚していた。


というのも命を失うかもしれないという緊張感の中でしかこの世界では勝てないと直感していたからである。


魔獣や魔法攻撃という現代日本ではありえないものに剣で伍していかねばならないのだ。


尋常な覚悟では生き残れないだろう。


防具に頼らぬ緊張感の中で、命を削って飛躍する、それがタケルの直感から来る方針と言えた。


仮想現実のゲームプレイ中にバーチャル空間に閉じ込められ、デスゲームが展開する人気コンテンツがあるが、そこに登場するキャラクター達の出で立ちはどうだろう。


魔法抜きの剣の戦いばかりだというのに、主要なキャラクターたちは、兜も鎧も身につけず、素顔を晒して剣戟を戦わすのである。


手袋はしていてもちゃんとした籠手はつけもしない。


それで良いとタケルは思った。


剣技(ソードアート)のみが許される空間ならば、斬られたらすぐに痛みを伴う緊張感の中で戦うのが良いのだ。

何よりも素顔の戦いは花がある。


フィクションながら、主人公たちの兜や鎧を纏わぬ設定に共感を覚えていた。


メインヒロインの白と赤からなる気品溢れる服装に兜のない長い金髪は素晴らしいほどに似合う。


沈黙しているかのように見えるタケルに店員が言葉をかけた。


「私は射手(アーチャー)でしたから、短剣も携帯していましたが、お客さんもサブの武器があるといいですね。

短剣がお勧めですよ!」


タケルも同感だった。


太刀が使えない時や接近戦の際に短剣はかなり有効だ。


バーチャルリアリティー空間の銃撃の戦いをテーマにする作品があったが、あるシリーズでは、女性の主人公が最後に勝利をもぎ取ったのは、銃撃ではなく、短剣による攻撃だった。


彼女はリアルではかなり大柄であるがバーチャル空間ではすこぶる小柄な設定だった。

そのヒロインが見事に敵を短刀で討ち取るのである。


その折、タケルは短刀の可能性を思い知らされたのであった。


「そうですね。参考になります。特に短剣は必要かもしれません。

資金ができたら、またの機会に」


「それがいいですね。

それでは、お包みしましょうか?」


「いえ、このまま着て行きます。支払いはどれくらいですか?」


「銀貨2枚に銅貨30枚です」


タケルが支払いをしていると離れたところに見た顔が二つあった。


「あっ、ガルフさんにミーニャさん!」


ガルフはちょっとバツの悪い表情を見せた。





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