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襲撃者

エリナの声のおかげでタケルは反射的に屈んだ。最初の黒炎弾を交わすこととなった。


「ドシャン」


「ぼわぁ」


それは平屋の建物を直撃し破壊と熱量をもたらし、炎が上がった。

通行人たちが慌てふためきその場から逃げ去っていく。


エリナは呪文を唱え、氷の障壁を作り、エルゼと自分を守る。


再び白い巡礼服を着た者が、呪文とともに黒炎の塊を放ってきた。

フードを深く被っているため、顔は見えない。


タケルは即座に立ち上がると同時に背中の太刀を素早く抜いて、炎めがけて縦の剣戟を振るう。


黒い炎が斬り防がれる。


(この攻撃を簡単に無効にできるとは。

やはり宝具レベルの刀ね。

この刀を使いこなすこの男が、虐殺マッサーカートカゲを切り伏せたかもしれない。

アレク様の邪魔になりかねないわ)


奇襲者は三度目の黒炎弾を2発同時に放つがタケルには無駄であった。

切って消されてしまうのだ。


「森の精霊よ、御力みちからを授け給え。氷のつぶてを以ってかたきを打たん!」


エリナが反撃に転じ、白衣の者へ氷の塊を打ち出した。


謎の奇襲者はそれを避けるようにひらりと飛びあがり、二階建ての家屋の屋根に上る。

その際、風圧で深々と被っていたフードがめくられた。


白みがかった黄緑色のセミロングヘアーと横に長い耳。

黒味が見える褐色の肌。


先ほどエリナとエルゼが話題に出していた、

ダークエルフに他ならなかった。


禍々しさの中にも美しさが宿る顔立ちだった。


「なぜ襲う?」


タケルはゆっくり近づき大声で問うた。


その女は返事することもなく、持っていた杖を振るうと、


「ぼうっ」


突然黒い煙が大量に立ち込める。


すぐさま、女がいたと思われる位置にエリナが氷塊を撃ったが手応えはない。


屋根を起点に裏手の方へ飛び降りたのだろうか。

黒煙が薄まるとどこかに消えてしまったていたのである。


タケルは太刀を鞘に収めた。


何者だろう…。


タケルの疑念が思案する。


考えられるのは、魔獣討伐やボブゴブリン討伐をよく思わない勢力だろう。


マレビトである自分を討とうとした可能性もある。


あるいは可能性は薄いが、昨夜の屋台での経緯や魔獣討伐を見て、自分を警戒した誰かの差し金かもしれない。


エリナやエルゼと一緒にいるのを妬む怨恨という線はないとは思うが…。


エリナは背後の燃え始めていた木造建築の消火にあたっていた。

すぐに水系の魔法で対応したためか、軽いボヤで済んだようだった。


「タケル殿が狙われたようだが、今回の魔獣の襲撃と何か関係があるのではないだろうか?」


「僕もそう思います」


「あのダークエルフは、手ごわいよ。

(やみ)魔法を使っていた。

大きい熱量だけでなく、重い質量を持った炎弾。

しかも、私らとすれ違ったというのに、魔力の気配を全く感じさせなかった…」


エリナの表情に影がさした。


「姉さん、警備の人が来ました」


布の腕章を巻いたハーフエルフの武人がやってきた。

通行人が知らせたのだろう。


「エリナ大尉、大丈夫でしたか?」


「うん、私らは大丈夫。

あのダークエルフは、この町の敵である可能性が高い。

警戒しないといけない。検問を厳しくしたい」


エリナは襲撃者の容貌や今回の経緯について詳しく武人に語った。


「エルゼ、すまないけど、タケル殿を冒険者向けの店に案内してやってほしい。

寄るところが出来た」


「タケル殿、大事を取って兵営に戻ってくれてもいいけれども今日のうちに揃えられるものは揃えたらいいと思う」


「姉さん、分かったわ。タケルさん、予定位通り、冒険者向けの店へ行きましょう」


「そうですね!」


「タケル殿、あの襲撃者はもう近くにはいないと思うが、気をつけて。

タケル殿を狙うかもしれない。

タケル殿なら、大丈夫だとは思うが」


「分かりました。留意しておきます。

エルゼさん、じゃあ行こう」


3人はそれぞれ二手に分かれた。


タケルは去りざま、先ほどの襲撃者が立っていた屋根を見やると、エルゼの方に向き直り、目的の店を目指すのであった。

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