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リザードマン

「こちらこそ、初めまして。一乗タケルです。ドゼルさん、よろしくお願いします」


ドゼルは、爬虫類独特の灰色の肌にトカゲのような顔立ち、手と指と爪。

長くて太い尾を地面に()いている。


タケルにとってこの世界ではじめて出会うリザードマンであった。


魔獣討伐の冒険者の中にも昨夜の屋台でも見かけなかったので、エルフィニア北部では珍しいのだろうか?


ガルフやフォクラのような獣人にはさほど驚かなかったタケルであるが、爬虫類型で直立歩行するリザードマンには、やはり異世界に来たという思いを強くするのである。


白と紫からなる、民族宗教の僧侶のような服装に身を包んでいる。

じゃらりと鳴る錫杖を持っているのは、魔法師なのだろうか。


「タケル殿は、虐殺(マッサーカー)トカゲを斬り伏せたそうじゃなぁ。拙者も恐れ入った」


「いえいえ、チームだから倒せたんですよ。アスカさんも槍で結構突いてましたよ〜」


「さなりや。アスカは自分のことならで、タケル殿の活躍ばかり聞かせてくれたのでの」


「ドゼル、自分の活躍ばかり言ってたら、自慢みたいじゃない。

だからこいつの事、言ってたのよ!」


「僕は身の回りの品をいろいろ買いに来たのですが、ドゼルさんは何を買いにこちらへ」


「拙者の好物じゃよ」


ドゼルが懐から丸く白い塊を取り出した。


「それ何ですか?」


「乾乳じゃよ!エルフィニアは、干し肉の種類が少なくて物足りない。じゃが、乾乳はいいものがある。

エルフィニアの(ヴェーチェ)牛の乾乳はすこぶる美味なり!」


「それは牛乳から作るものですね。僕のいたところではチーズと呼んでいます。

エリナさん、さっき食堂で食べた、どんぐり料理にかかってた、とろけていたのと同じものですか」


「そうだよ。森牛の乾乳だよ」


「あれは美味しかったです、確かに。

ドゼルさん、僕もその乾乳、味わいましたよ」


「ほう、タケル殿も美味しさがわかるのか。

アスカは乾乳はあまりお気に召さぬようじゃがタケル殿は違うのじゃなぁ〜」


「あたしも嫌いじゃないわよ。

でも、ドゼルほどの拘りはないだけ!

ドゼルは乾乳をほんと食べたがるから。

特にエルフィニアに来てからはいっそう。ねえフォクラ」


「そうそう。ドゼルは乾牛さえあれば幸せそうです」


「そうなのですね。

あっ、ところでフォクラさんドゼルさん、後ろの2人は、エリナさんとエルゼさんです」


「ドゼル殿、フォクラ殿、初めまして。

エリナ・マグノーリア・インナ・ウートロです。エルフィニア国防軍に所属しています。」


「ドゼルさん、フォクラさん、初めまして。

妹のエルゼです」


「こちらこそ、お初にお目にかかります。

拙者、僧侶の身でありますが、冒険者として旅をしているドゼル・パンタノです」


「初めまして。同じく冒険者のフォクラです。

ここにいる2人も属するパーティーで旅を続けています」


そんな挨拶が交わされていた時だった。


「誰か。泥棒!」


という叫び声が上がった。

灰色のフードを被った者が逃げ去ろうとしていた。


「私に任せてください」


フォクラが何かを素早く呟き魔杖を掲げた。

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