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シュタインハルク伯爵領

お待たせいたしました。一か月ぶりの投稿です。

灌木は数十メートル続いていた。

既にシュタインハルク伯爵領に入っていることだろう。

しかし、先ほどの警備兵は国ざかいを超えて追ってくる。


伯爵領内に見とがめる者はいなかったことに加え、何か問題が生じても、単純な力関係では、アイマール公国が上であるので、警備兵にはためらいはなかった。


ビュッ


警備兵の弓から放たれる矢がヨハンのそばをかすめる。

弓術の腕前は悪くないようだと彼が思うと、

すぐ後ろにいるアマデウスが文言を唱える。


「世界を作り給いし偉大なる神よ。

この世を統すべる慈悲深き神よ。

しびれる煙を以って我らが危機を救い給え」


一個の魔緑石がアマデウスの手によって追手の方向に投げつけられた。


突如、白い煙がもうもうと立ち込める。

アマデウスは、公爵の令息の従者騎士たる者、ある程度の防衛用の魔法は身につけていた。


「うわー、体がしびれる。魔法攻撃か」


回復薬ポーションを出せ、回復薬ポーションを!」


警備兵は混乱しているようだった。


その間にヨハンとアマデウスは木造の倉庫のようなものがある方へ駆けた。

追手がまだ来ないのを知ると走る速度を緩めて、


「伯爵領の警備兵はここら辺にはいないのか?」


「いないと思います。この地域は我が国と伯爵領の間でさしたる問題もなく、ただ藪と農地があるだけです。

獣や野菜・果物泥棒を警戒するぐらいではないでしょうか」


「そうか…」


アマデウスの返答にヨハンが呟いた。


伯爵領には自分のことはどう伝わっているのだろう。

公爵と長兄を殺害した謀反人としてすでに虚偽の知らせが届いていることだろう。

追補と送還が要請されているのではないか。


そう考えるとヨハンは暗い気持ちになる。

しかし、こうも思う。


自分が実際に知る伯爵は公正な領主だ。

クロイツ教新派に属するとはいえ、旧派との友好関係を大事にしている御仁だ。

少なくともヨハン自身が語る言葉に耳を傾けた上で送還するかどうかを判断してくれるのではないだろうか。


木造の小さな倉庫に辿り着くと、ヨハンはアマデウスの方に振り向いて尋ねた。


「アマデウス、これからのことだが、伯爵に会いに行くのはどうだろうか?

他に良い策はあるか?」

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