東への道
ヨハンとアマデウスは全速力で馬を駆けさせていた。
シュワルツの命で購った10分弱の時間が追っ手からの距離を稼いだ。
2人は無言だった。
シュワルツの思いを無駄にしてはならない、その気持ちを共有していた。
彼らは村から出ると東に進路を取っていた。
騒乱に見舞われているエルフィニアに敢えて向かうのである。
追っ手は北に向かうと読むはずだ。
というのも北には小領地を挟んで、アイマール公国の友好国であるノルトラントの飛び地イエーナが存在する。
イエーナ侯爵フェルトは、アイマール公を殺めたというヨハンへの嫌疑はクロイツ教新派とブリツェン王国が描いた陰謀だとみなし、ヨハンを保護するに違いない。
ヨハンが亡命するならイエーナが最適である。
実際にそうあらかじめ考えた陰謀の主導者たちは、北の国境を早々に封鎖し厳重に警備していた。
もちろん違うルートもありうるだろうから、領外への出入り口はことごとく封鎖の形を取っていた。
とは言え、避ける人員は公主暗殺の混乱で限られていたので、北部国境に傾斜配分している。
北方に比べ他の三方は手薄になっており、特に大量の魔獣が襲撃したというエルフィニア北部への道は、敵対者たちはヨハンの逃走路として余り考えてはいなかったのであった。
追っ手は北に向かっていったがいっこうに目撃情報がなかった。
北国境は警備も厳重なので、それに委ね、自分たちは二手に分かれ、別の方角へ赴くことにした。
ブリツェンから来たギュントを含む3人は東へのルートを取った。
他の3人は西へ向かった。
ギュントたちが街道に出ると早速東からアイマールに戻る隊商に出会った。
隊長の話によると街道を早駆けする二頭の馬に出会ったという。
乗り手の身なりは粗末にも見えたということだった。
この時期に商人以外で騒乱が起きている東のエルフィニア方面に向かうのは珍しい。
ギュントたちは、ヨハンだと即断した。
ギュントたちは、公爵の血を引くヨハンを追って、街道を急いで駆け上がった。
今回所用が立て込み更新が遅れましたこと、申し訳ありません。




