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臨時司令部へ

東門からホヤンスクの町に入ると


「タケル〜」


と知った声を聞いた。

城壁を見ると、アスカ、フォクラ、ドゼルが立っていた。


「ありがとう!」


フォクラとアスカの声が重なっていた。


タケルが右手を挙げると彼女たちも手を振った。


城内は警戒が緩められ、安堵感が漂っていた。


道に落ちているモスラスの死骸には注意を払いながらも住民は街路に出て、お互いの無事を喜んでいた。


エリナを先頭に、ゴルビー、ミーシャとラビーネ、タケルとリズの順で、中央部に設置されているホヤンスク防衛臨時司令部に馬を進めていく。


町のあちこちから声がかかった。


「ゴルビー様、ありがとう!」


「タケル、ありがとうなぁ」


「タケルさん〜」


「乙女の魔法師さんもありがとう!」



老若男女の歓声が混じり合っていた。


タケルは面映ゆい気がした。

モスラスクイーンを倒せたのは、ゴルビーたちのお陰だ。


防御結界をまとい空中へ飛び上がらなければ、モスラスクイーンに近づくことさえ出来なかった。


モスラスの群れに対する大規模攻撃を行わず、モスラスクイーンへの攻撃のみに集中できたら、ゴルビーはクイーンを倒さぬまでも地上に落とすことはできたことだろう。


それは歓声を送ってくれる人たちにも知っておいてほしい。


自分が倒したわけではない。

自分は魔法も使えないまだ未熟な剣士なのだ。


そんな思いを抱きながら、馬を進ませていると、背後に乗るリズが、


「タケルはんも素直に喜んだらいいなるよ」


とタケルの背中にいっぱいくっついてきた。


タケルはいわゆるシンデレラバストをその背に感じた。

不思議と安らぎも覚える柔らかく控えめな感覚。


「よく頑張ったなり。一撃で仕留めたるよ〜」


いっそうタケルをぎゅっとした。


そんな姿を見た男性冒険者からは、


「タケルー、羨ましいぜ!」


という声も上がった。


確かに「新派」の男性には憧憬されるかもすれない。


「ゴルビーさんが見たら悲しむよ」


とタケルが小声でリズに告げると、


「ゴルビー様はそんな狭い度量にあらざるよ。

いっぱいタケルはんに甘えときとさっきも言っていたなり」


とのこと。


ゴルビーの大らかな人柄が察せられるのであった。


町の中央部に位置するホヤンスク防衛臨時司令部は、町役場に隣接していた。


普段の業務を行う警備局が防衛司令部としては、手狭なため、余り使っていなかった町役場の別館を司令部に当てたのであった。


木造の白塗りの二階建てだった。


エリナの先導に従って、司令部に入った。


司令官グスタフの傍には、ルートヴィヒとフェルト親衛隊の面々、そしてノルトラント公女フェルト侯爵の姿があった。

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