私のある一日
私は森を出て街にある冒険者のギルドへ向かっている。正直、家に居た方が楽なんだけど両親に少しは人間らしく生活しろと言われ、仕方なくギルドで金を稼いでいる。家に居ればこんな事しなくても良いのだが・・・。
少し歩くと街に着いた。何だかいつもより騒がしい。嫌でも会話が聞こえてくる。
「おい、聞いたか?ドラゴンがこの街に向かってくるらしいぞ!」
「おいおい、マジかよ?!俺たちはどうなるんだよ!」
「とにかく、早く逃げないと危険だ!避難するぞ!」
・・・それは良い事を聞いた!早く向かおう!ギルドに!
駆け足でギルドに向かうと、やはりギルドも騒がしい。まあ、仕方ないか。だってあのドラゴンさんだからね。緊張するよね。早く会いたいなー。
「おい、お前!ちっEランクかよ!・・・まあいい。肉壁程度になるかも分からんが、とにかく協力しろ!」
「・・・嫌。誰よりも早く行く」
「・・・そんなに早く逝きたいなら、ドラゴンが来る方角を教えてやる!そっちの方だ!」
「うん。分かった」
教えてもらったし、早く行こう!ギルドを出てその方向に向かって街を出た。
あれ?見当たらない。どこに居るんだろう?・・・もしかして早く着き過ぎた?
『・・・そんな事はない』
と飛びながら出てきたのは、体長20㎝位の小さめの全身真っ赤なドラゴンさん。なんでそんなに小さめなのかが気になるけど、それよりも早く挨拶しないとね!
「初めましてドラゴンさん!」
『こちらこそ初めましてだ』
「良かったら、これどうぞ!みんな美味しいって言ってくれるお菓子なんだ」
カバンから金平糖みたいなお菓子が入った袋を出してドラゴンさんに渡す。
『これは・・・凄いな』
「うん!最初は白色しかできなかったんだけど、作ってるうちに赤とか青とか色んな綺麗なのが出来るようになったんだ!」
『・・・これは食べていいのか?』
「うん。食べていいけど・・・。あっ!もしかして気に入らなかった?なら、返してくれればいいよ?その時はドラゴンさん用に頑張って作るから」
『そういう事ではない。凄く美味しそうだ。だが、こういうのは人間が好む物だろう?人間に渡した方が私に渡すよりも何倍も良いのではないか?』
「ううん。人間達なんかよりもドラゴンさんに渡す方が何千倍も、何万倍も良いから!そもそもあいつらにあげるお菓子なんて一切ない!だから、ドラゴンさんは心配しなくて大丈夫だよ!」
『・・・ふむ、そこまで言うのならば心配する必要はないな。ではいただくとするか』
ドラゴンさんが地面に着いて降りて器用に袋のひもをほどいて一つずつ取って食べ始める。・・・凄くかわいいです!
ドラゴンさんを眺めていたらいつの間にか、食べ終わっていたみたい。
『凄く美味しかった。・・・やっぱり、アイツの言っていた事は合っていたみたいだな』
「うん?・・・誰の事?私にそんな友達いたっけ?うーん・・・?」
『・・・アイツの事だ、私の事は話したくはなかったんだろう。雷狼のライだ』
「そうなんだ。ライがまさかドラゴンさんと知り合いなんて・・・。意外だった」
『私もびっくりだ。たまに会っていたのだが、凄くはしゃぎながらで来て、「友達が出来たんだー!リーフって言うんだけどなー。名前を付けてもらったんだよー!それに、リーフが作るお菓子が最高に美味しくてなー!お前も、友達にしてもらったほうがいいぞー!」とリーフ、お前の事を自慢気に話していたんだ。』
「そっかー。だけど、なんだか恥ずかしいかも。だってそこまで凄い事はしていないのに・・・」
『・・・お前の場合は、気付いていないだけだがな。まあそれはともかく、私はライがそこまで言う奴が気になったんだ。だから、それでここに来た。後、体が小さくしてあまり騒ぎにならないようにしたつもりなのだが』
「・・・。かなり騒ぎになってるよ。ドラゴンが来るぞー!逃げろー!って」
『・・・そうか、迷惑掛けたな。済まない』
「大丈夫だよ!むしろ、楽しかったから問題なし!」
『それならば良かったと思うようにしておこう』
「あっ。あんまり長くここにいると、そろそろあいつら来ると思うけどドラゴンさんはどうするの?」
『ふむ・・・。いきなりお前の森に行くのは迷惑だろうから止めておこう。準備が出来たら、これで呼んでくれ』
ドラゴンさんは手の甲の鱗を一つ取ると私に渡した。
「えっ?これ貰っちゃって良いの?」
『勿論だ。さっきのお菓子のお礼とでも言っておこう。それを持って呼びかけてくれ。では、またな』
「うん!じゃあねー!」
ドラゴンさんはどこかに飛び立っていった。・・・そういえば、ドラゴンさんの名前を聞くの忘れてた。家に帰ったらライに聞いてみよう。よし、そうと決まったら家に帰ろう!ライ、近くにいるかな?
「ライー!いるー!?」
『おー?どうしたー?なんかあったかー?』
ライが意外と近くから出てきた!よし、送ってもらおう。
「おっ!ライいた!家まで送って!お菓子あげるから!」
『良いけど、依頼ってやつだっけー?それ終わったのかー?』
「あっ・・・やってない。忘れてた。」
『アイツに会うのは良いけどよー?ちゃんとしないと怒られるぞー?ちゃんと送ってやるからー。早く行ってこいー』
「うん!分かった。行ってくる」
街に戻るとまだ騒いでいるみたいでうるさい。早くしよう。ギルドに入って依頼の提示版を見る。簡単そうな依頼がない・・・。どうしよう?うーん・・・。
「おお、さっきのEランクの奴じゃないか。ドラゴンに会いに逝ったんじゃなかったか?どうしたんだよ?もしかしてドラゴンにビビって帰ってきたんじゃないだろうな?!」
「・・・」
あんまりしたくはないけど、討伐系をやるしかないのかな・・・?いや、やっぱり採取系にしたい。ある程度の物なら家にあるはず。もう一回来ないといけないけど・・・。
「おい!ちゃんと聞いているか!?・・・お前、俺様を無視するとはいい度胸してんな!!俺様を舐めてんのか?!おい!!」
・・・よし、これにしよう。早く受付に行こう!さっさと終わらせて家に帰ろう!振り向くと、何故か怒っている男がいた。うん?何したいんだろう?提示版を見たいんだったら横に並べば問題なしだと思うんだけど?・・・よく分からないけど、逃げよう。
走って受付の所に行き、依頼を受ける扱いになると急いでギルドから走って出た。何かが追いかけてくる!とりあえずよく分からないから、街から出て何とかしよう・・・!
追いつかれそうになるギリギリで街の外に出られた・・・。でも、体力的に辛いからこれ以上は走れない。もう無理・・・。
・・・。なんか嫌な予感がするなー。一応あそこで待機していようかなー。・・・やっぱり、面倒くさい事になっている。早く行こう。
「ふん!やっと捕まえたぞ!Eランクのくせに生意気なんだよ!Aランクの俺様を無視しやがって!後で指導してやる・・・!」
『指導か・・・。具体的に何するつもりだ?』
「あぁ?そんなの決まってるだろ?!動けない様に縛り付けて思い切りぶん殴ってやるんだよ。顔がボコボコになる位にな!って・・・。お前・・・まさか・・・あのSランク級の雷狼・・・」
『Sランクだか何だか知らないが、その通りだ。お前が持っているそいつを返せ。俺の主人なのだ』
「へっ?こいつが雷狼の主人だと・・・?こんな奴が?・・・マジかよ!(笑)ククク・・・・よりにもよってこんな奴を主人にしているのかよ!(笑)なあ雷狼、こんな奴より俺様を主人にした方が良いぞ?あいつより俺様の方が」
『うるさい・・・!人間達にリーフの何が分かるというんだ?!』
「ひぃ!」
『お前らのせいで何度もリーフが傷つく事になるか分かっているのか?・・・分からないだろうな。だがな、もう少し身の程をわきまえた方がいいぞ?俺に消し炭にされたくなかったらな?じゃあな』
リーフを背中に乗せて落とさないように気を付けながら、少し進んだところでリーフが起きるのを待った。
「うん・・・?ここどこ・・・?」
『やっと起きたか。リーフ。ここは家の玄関だ』
「ああ、そうなんだ。ライ送ってくれてありがとう。・・・あれ?でも、追っかけてきた奴はどうしたの?」
『その事なんだがリーフ、お前。・・・俺が何度も繰り返し言ったよな?!お前は街の中の方が危険だって!俺じゃ街の中に入れないから対処出来ないから、警戒しておけって言ったよな?!それなのに何お前!他の奴の話聞かないで、面倒くさい事を起こしてるんだよ!まだ、あの程度だから良かったものの下手すると殺されていたかもしれないんだぞ?!』
「うん・・・。だけど、まさか私に言っていると思わなかったし・・・」
『とりあえず、何かされるかもしれないから聞き耳立てておけって言ったよな?!・・・二度とこんなミスするなよ?』
「うん!大丈夫!今度からそうする!」
『・・・・・・本当に頼むぞ。それで、何の依頼受けてきたんだ?』
「えーっと、この草採ってくれば良いって。あ!そこにあるじゃん。えーっと?10本か、ちょうどいい感じだね!・・・・・・これで良しっと。ライお願いします」
『ほら、さっさと行くぞー!』
「うん!それじゃあ、出発ー!」
この後も、ちょっと色々あったけど大体こんな感じだよ!ここまで読んでくれてありがとう!
後、作者が色々設定などをいってくれるらしいけど、見たいと思う人だけ見ればいいと思うよ!見なくても損する事はないからスルーしても問題なし!だけど、気になる人は見てみて!
~軽く説明(色々バラしちゃうよ)~
1、リーフは動物達に好かれる体質だけど、逆に人間には好かれにくいよ。
2、ライは途中から出てたけど、元々は出す予定はなかったよ。だから少し変な風になっているかも?
3、Aランクの人は始めに少しだけ出す予定だったけど、いつの間にか暴走してたよ!びっくりだね!
4、ランクの設定は細かく決めてないから、なんとなくの雰囲気で察して欲しい・・・。一応上からS、A、B、C、D、E、の順番だよ。
5、本当はドラゴンさんとバイバイするところで終わる予定だったよ。ライが「依頼は?」って言ったせいだね!
6、本当はリーフの名前は出す予定はなかったよ。これもライが出てきちゃったからこうなっちゃったね。いやー、キャラの暴走は凄いね!こうなるとは思わなかったよ! by作者