第5話 女性の地位、社会進出はどうなっているのか2
いわゆる「旧民法」の「家制度」の続きですが。
「旧民法」では、妻は無能力者(細かいことを言えば、現行民法でいうところの被保佐人に近い存在)でした。
従って、現代で言えばクレジットカードは夫の同意無くして持てない等の様々な制限がありました。
この理由ですが、「家制度」において夫権は絶対であり、天に二つの太陽が無いように、夫の言うことに妻は無能力者として黙って従わねばならない、という発想からだったようです。
しかし、言うまでもないことですが、これは独身の女性には適用がありません。
つまり、既婚女性だけが無能力者として夫に従わねばならないのです。
これは女性が社会進出するに伴い、様々な問題を引き起こしてしまいます。
例えば、独身未婚女性でまともに働いていても、将来、結婚したら、夫の横槍で売買契約は取り消されるというリスクがあります。
これでは安心して、女性と分割払いローンでの売買契約が出来ません。
現金決済で全て済ませればいい、と言われるでしょうが。
そんなことでは、車等の大きな買い物は女性は中々できなくなります。
また、労働契約にしても、結婚したら、夫が同意を取り消せば、問答無用ですぐ退職です。
経営者が抗議して夫に損害賠償を求めようにも、夫の権利の前に泣き寝入りせざるを得ません。
幾ら独身時代の妻との間で、継続雇用契約を結んでいてもです。
これでは女性の雇用に経営者は二の足を踏みかねません。
(なお、女性の参政権について調べた際に分かったことですが。
妻が議会選挙で当選して議員活動をしようとしても、その夫は妻が議員になることに同意しないことで、当選後でも議員にさせないことができるようにせよ、ということまで、婦人参政権運動の際には、男性側から妻の権利制限の一環としての主張があったようです。
本当に既婚女性、妻は様々に権利制限がされていたのだな、と想ってしまいます。)
そんなことを考えていくと、第二次世界大戦終結後しばらく経ったら、「家制度」に基づく旧民法を改正しないと、女性の未婚率が急上昇と言う事態が招来されそうです。
結婚したら家に入らないといけない、そして、自分は無能力者扱いされて、子どもの親権は夫に全て握られ、離婚したら子どもを連れて出ることはできない。
女性が就職して自活できるようになったら、そんな結婚は嫌だという女性が大量に出るでしょう。
史実の世界では、第二次世界大戦後に世界的に女性の社会進出が進んでいます。
「サムライー日本海兵隊史」世界でも、世界的に同様の事が起こるでしょう。
そして、日本でも同様に女性の社会進出という事態が起こると思います。
そうなると、女性の独身主義が強まり、非婚の女性が増えていくようにしか思えないのです。
また、「サムライー日本海兵隊史」世界では、第一次世界大戦、第二次世界大戦と欧州に大量の人員の派兵を行っています。
そうしたことから、欧米社会に肌で触れる人も史実より大量に増え、女性の権利制限について、欧米と比較して疑義を覚える人が大量に出ることにもなります。
だから、早ければ1940年代後半、遅くとも1960年代には、妻の無能力規定の削除や父母の共同親権規定とかの現行民法に準じる程度に女性の地位を向上させるための旧民法改正は、「サムライー日本海兵隊史」世界においても必然のように想えてくるのです。
ただ、史実と「サムライー日本海兵隊史」世界の最大の違いは、それを日本の女性自らの政治運動の成果として勝ち取ることです。
だから、21世紀の「サムライー日本海兵隊史」世界では、女性の政治運動が遥かに活発化しており、既に女性の首相が日本でも誕生しているのでは、と夢想します。
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