第4話 女性の地位、社会進出はどうなっているのか1
第3話同様、法学部の学生が居酒屋談義を交わしていると思って、熱くならずに感想等をお願いします。
いきなり、最初から言ってしまいますが。
私としては、いわゆる「旧民法」が「サムライー日本海兵隊史」世界において、21世紀まで存続できない最大の原因に、女性問題はなりかねないと踏んでいます。
本編で、岸忠子が、土方勇と篠田千恵子の結婚の際に散々な目に遭っています。
この辺り、感情的には岸忠子の方が何で非難されないといけないのだ、と思われるでしょうが、旧民法的には自業自得もいいところで、全く同情の余地のないことなのです。
何しろ篠田千恵子を岸忠子は冷遇していますが、旧民法的には断じて許されません。
それこそ、本編で書きましたが、本来的には岸忠子は篠田千恵子を夫の野村の家に入れて、夫亡き後は千恵子の親権者となり、自分の実子、総司を差し置いて、千恵子を女戸主として野村家の全財産を千恵子に相続させて、千恵子を可愛がらないといけないのです。
ですが、岸忠子は我が子可愛さと篠田千恵子を嫌う余り、篠田千恵子を野村家から追い出し、息子に野村家を相続させ、野村家の財産の多くを息子のものにするという仕打ちをしています。
何でや、愛人の娘を何で正妻が保護しないといけないのや、と袋にされそうですが。
この辺りは「旧民法」が「家制度」を基本に置いていることから考えていかねばなりません。
従って、子どもは同じ戸籍の中にいる父の単独親権に基本的にあり、父が死亡等した場合には同じ戸籍にいる母の親権に服すことになっていました。
ここでいう父、母の概念ですが、血のつながりは無関係です。
同じ戸籍にいるのが大前提です。
従って、野村雄が生きていた場合、篠田千恵子も岸総司も野村雄を戸主とする戸籍に入り、野村雄を親権者とすることになり、野村雄が死んだ場合等には、岸忠子が篠田千恵子や岸総司の親権者になります。
岸忠子と篠田千恵子は、嫡母庶子という親子関係になるからです。
なお、篠田りつは篠田千恵子の親権者でも何でもなく、基本的には家が違う以上は、実の娘である篠田千恵子の扶養義務すらありません。
逆に岸忠子は同じ家にいる親子である以上、篠田千恵子の扶養義務を負います。
また、胎児と既に生まれ育っている子では、既に生まれ育っている子が優先されるのは、「家制度」の存続や当時の出産リスク等から考えれば当然の話です。
従って、戸主が死んだ時点で正妻の胎児と愛人の娘と、どちらが家督相続をするかですが、愛人の娘が優先で家督相続することになっていました。
この辺り、細かいことを言えば、正妻が無事に出産した後、自分の産んだ子に裁判で愛人の娘から家督相続させる、家督相続回復の裁判を起こせたみたいですが。
「旧民法」では、愛人の娘と言えど、夫、旧戸主の子である以上、正妻にとっても子に違いはありません。
従って、それこそ後妻が自分の肚を痛めた子を、先妻の子を追い出して家を継がせるようなもので、継子虐めのように周囲からは否定的に見られていたみたいです。
しかし、これってどう見ても正妻からすれば堪らない話だと思うのですがいかがでしょう。
愛人は子どもを自分に押し付け、扶養義務を自分は負わされてしまいます。
また、夫死亡後は、愛人の子が夫の全財産をさらっていき、自分や自分の血を分けた子は何一つもらえないのです。
「旧民法」がそうなっている以上は仕方ない、黙って21世紀になっても従いなさい、と私にはとても言えない話です。
史実でもそういったことから、1940年代には旧民法改正案が議会で提出されるような状況になっていて、例えば、嫡出女子と非嫡出男子では嫡出女子が優先して家督相続する等の改正が行われることになっていました。
21世紀までには更なる改正が行われる気がします。
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