第1話 「新幹線」が無い
このエッセイを書こうと思ったそもそもの発端ですが。
活動報告にも書きましたが、「サムライー日本海兵隊史」世界から、こちらの世界に来た人がいたら、こちらの世界をどう思うか、ということからでした。
色々と可能性があり、私としては基本的に本編を第二次世界大戦終結時で終わらせるつもりで、それからだと現代に至るまでに更に70年以上が経ちます。
(だから、「サムライー日本海兵隊史」(本編)の「四姉弟」の曾孫世代が、現代を舞台にした外伝小説では主役を務める事態になっている訳ですが。)
だから、想像の翼が飛び過ぎてしまい、作者の私では、とても予想がつかないことも多々あります。
そうは言っても、現代では「サムライー日本海兵隊史」世界は、どうなっているのか。
外伝でも幾らか既に触れていますが、エッセイという形で気儘に描いてみます。
いきなり政治経済の話等をやると重いので、鉄道を中心とする交通について、まずは描こうと思います。
「サムライー日本海兵隊史」世界では、いわゆる「新幹線」は存在しないと思われます。
何故かというと、本編第5部で書きましたが、第一次世界大戦後から1930年代半ばまで掛けて、日本では国鉄の狭軌からいわゆる標準軌への改軌をやったからです。
当然、「サムライー日本海兵隊史」世界でも鉄道輸送力を増強する必要には何れは迫られるので、東海道新幹線建設の代わりに東海道本線を複々線化すること等はあると思われますが、わざわざ標準軌と軌間が違う広軌を「新幹線」という形で作ることは考えにくい話です。
それに「サムライー日本海兵隊史」世界では、他にも更なる広軌化に消極的になる理由があります。
理由は幾つかありますが。
まず、標準軌より更に広軌を採用しようという人が現れるのだろうか、というのが一点です。
日本では本編でも何人か登場させましたが、史実でも改軌論者は確かにおられましたし、「サムライー日本海兵隊史」世界では、そういった方の主張や第一次世界大戦で日本が欧州に派兵した事等から、日本では改軌がなさました。
(なお、史実では言うまでもなく改軌論は敗れており、私なりに理由はつけたのですが、転生者等がいないのに歴史が変わるなどありえない、史実でできなかった改軌ができる訳が無い、火葬にも程がある等々と感想欄からメッセージ等で当時、私は散々に叩かれました。)
その理屈なら、更なる改軌論者がいたことにすればいいのでは、と言われそうです。
でも、そう言った方も標準軌までの改軌は考えられておられたようですが、それ以上の広軌化を考えておられたようには、私の調査からは思われませんでした。
そう言ったことから考えると日本で標準軌から更なる広軌の「新幹線」採用と言うのは考えにくいです。
そして、「サムライー日本海兵隊史」世界における韓国等との(史実でいうところの)関釜連絡船の存在があります。
鉄道連絡船で日本から韓国等へ鉄道に乗って、そのまま渡れる状態なのに、それをわざわざ渡れなくする新型線を造るというのは、ちょっと考えにくい話です。
そうしたことを考え合わせていくと、こちらの世界における「新幹線」に相当する鉄道車両は、「サムライー日本海兵隊史」世界でも製造されることはあるでしょうが、そのための「新幹線」建設と言うのは無いな、と思う訳です。
後、完全な余談になりますが、日本の鉄道車両メーカーも、かなり変わることになりそうです。
何しろ日本の国鉄の改軌の結果、大正時代から標準軌間の鉄道車両製造に、日本の鉄道車両メーカーは勤しむことになります。
(日本の私鉄の多くも国鉄に合わせて、762ミリの軽便鉄道はともかくとして、それ以外のそれまで狭軌だった鉄道では改軌を行って標準軌を採用することになるのではないでしょうか。)
当然のことながら、欧米の鉄道車両メーカーから、日本の国鉄や私鉄に対して標準軌間の鉄道車両の売り込みがあるでしょうし、逆に日本の鉄道車両メーカーが、欧米諸国の鉄道会社に対して、売り込みを積極的に図る事態も起こるでしょう。
それによる競争から、国際的な企業の合弁等もあるでしょうし。
私にはそういったことの知識が薄いので、とても描写はできませんが、日本の国内外において、どんな鉄道車両メーカーが「サムライー日本海兵隊史」世界では、現代まで生き残っているのか、ちょっと気になります。
それから、国鉄は存続しているのかとか、私鉄がどうなっているのか、とか、鉄道の経営主体についても変わっている公算が大ですし。
(何しろ「サムライー日本海兵隊史」世界では、第二次世界大戦で日本は勝っており、日本の国土は戦災被害が史実とは比べ物にならない位、低くて済んでいるという事情もあります。)
また、「サムライー日本海兵隊史」世界では改軌の為に地方ローカル線も多くが建設されずじまいです。
そういったことは改めて考えがまとまったら、書くことにします。
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