第7話 モンスター闘技場
シオンが、カジノ内にある売店で、お土産用の木刀を購入している。
「よし。これで装備もばっちりだよ」
「いやいや・・・それ、戦闘用じゃないでござるよ!」
追いかけてきた忍者が、シオンと合流する。
「大丈夫。勝負で1番大事なのは、今を楽しむ気持ちだよ!」
「・・・っふ。なるほど。確かに、その通りでござるな!」
開かれた闘技場の中に、シオンが堂々と入っていく。
「・・・おおおおおーい。『その通りでござるな!』じゃねえっ!これ負けたら、帰るどころか飯も宿もないんだぞ!?」
「やれやれ。これが、今回の正念場でござるなぁ~・・・」
残りの3人が、シオンに全額を賭けて、観客席へと座る。
「まあ、シオンが負けるのは、ふざけてる時だけだから、大丈夫だよ」
「すでに、装備がふざけてるんだけど!?」
『それでは、第5回戦。モンスターの入場ですッ!』
広いリングの中に、8匹のモンスター?が登場する。
「あの。1匹、あきらかに武装でガッチガチに固めた巨大なモンスターがいるでござるよ・・・」
「公開されているデータによると、名前は、【大要塞ミノタウロス】で、倍率は1,2倍だね」
「まあ、ここまでの履歴を見ると、大体、どの試合にも明らかに強そうなモンスターが必ず1匹混じってるから、運営側が用意してるんだろ・・・」
「ぐぬぬ・・・。汚いでござる・・・」
『3,2,1。戦闘開始です!』
「全ターゲットヲ確認。ロックオン完了。フルバーストんも~~~!」
試合開始と同時に、リング内が一気に大崩壊する。
「シ、シオン殿ォ~!」
「・・・ふぅ。よかった。ほら、木刀はちゃんと、無事だよ~~~」
シオンが、守り切った木刀を見せつける。
「なんで、木刀の方をかばってるでござるか!?」
「これを、今回の旅の思い出として、サクヤちゃんに持って帰るんだ・・・。できれば、綺麗なままで!」
「いや、舞風殿は、きっと『なんだ。食べ物じゃないんですね・・・。マジ、イラネ~・・・』とか、たぶん言うでござるよ~~」
その意見に、シオンが、少しの間、考えている。
「・・・うああああ。しまった。そうかも~!」
非常に、残念そうな顔をしたシオンが、不要になった木刀を、勢いよく投げつける。
「行ってこぉーーーい。必殺・木刀ブゥゥゥゥメラン!!」
シオンの投げた木刀が、大要塞ミノタウロスに向かって、大きく弧を描いて飛んでいく。
「敵ノ攻撃ヲ確認。回避ノ必要ハ、ナシ」
「それはどうかな・・・?その木刀。燃えるよ・・・!」
投げた木刀が、回転しながら燃え始める。
「・・・!熱量ノ上昇ヲ確認。耐熱シールドヲ展開スル」
ミノタウロスの周りに、シールドが次々に展開される。
「まだまだいくよ。そこから、さらに、連・続・大・爆・発!」
燃える木刀が、爆発を繰り返しながらくるくると飛んでいく。
「・・・!!危険物体ヲ確認。防御ノ態勢ヲトル」
そして、炎を纏った木刀が、大要塞ミノタウロスへと着弾する。
「ンモ~・・。大部分ノ装甲ノ破損を確認・・・。もう、無理んも~・・・」
『5回戦の戦闘終了!魔女川シオン選手の勝利です』
観客からのブーイングの中、シオンが、焼け焦げた木刀を拾って帰ってくる。
「ねぇ、これ・・・。サクヤちゃん、喜んでくれるかな・・・?」
「自家製の木炭とか言って、適当に渡せば、良いでござるよ・・・」