第5話 爆発の洞窟 後編
町に戻ると、シオンが巨大なアイスを食べながら、3人を待っていた。
「おい。なんで、そんな、デカいアイス食ってるんだ!?」
「・・・ん?美味しそうだから?」
「いや、そうじゃない・・・。300円で、その量のアイスが買えたのか?」
「違うよ~。何か、体に付いてた粉の一部と交換してもらったんだ~♪」
「やはり、何か怪しいな・・・?ちょっと、行ってくる」
ダイチが、再び、爆発の洞窟へと戻る。
すると、先ほど閉じた扉は開いており、商人の姿はない。
「この中にいるのか?」
ダイチが、再び、爆発の洞窟へと入っていく。
「ケケ、今回は、なかなか、大量に落ちてるじゃねえか~♪」
洞窟の奥で、商人が、地面に落ちた金色の粉を拾っている。
「・・・おい。何してるんだ?」
「うげげ!なんで、お前、戻ってきてるの!?」
「普通に怪しいからに決まってるだろ・・・」
ダイチが、地面に落ちた金色の粉を手に取る。
「これは、さっきの、妖精の鱗粉か・・・?」
「ピーンポーン、大正解だ。・・・ケケ」
「じゃあ、さっき拾ってきた石は?」
「特に、何の価値もない石だぜー。ケケ~!」
採掘した場所に、先ほど拾ってきた鉱石を、元に戻した形跡がある。
「何で、わざわざ、そんな回りくどいやり方をしている?」
「ん~?そんなに、知りたいか?・・・オレはよぉ、以前、別の地方で、同じような洞窟を発見したことがあるんだ」
商人が、静かに昔話を始めた。
「そして、その洞窟の権利をすぐに、全力で買って、鱗粉集めを始めたらよォ・・・」
商人が、やけくそ気味に泣いている。
「雇ったやつが、みんな勝手に鱗粉を持ち帰りやがる!バイトに至っては、妖精ごと連れて帰ろうとするしで、あっという間に、妖精が全滅したんだよ!」
「バイトもお前も、バカなのか・・・?」
「だから、オレは閃いたんだ・・・。バイトには、石をもって来てもらおうと!」
「微妙に賢いな・・・」
商人が、再び落ちた鱗粉を拾い始める。
「でも、バレたからと言って、バイト代はアップできないぜ~?」
「分かってる。むしろ、そこを聞くために戻ってきた」
「・・・ケケ?」
「さっきの缶を計量したときに、大体5kgと言ってたが、石は間違いなく、もっと少なかったはずだ」
「あ~?普通、そんなとこ気にするか~?」
「軽く見積もるなら分かるが、重く見積もるのは、どう考えても不自然だ」
息吹ダイチは、几帳面なバカだった・・・。
「あれは、単純に、大体4人で手に入る鱗粉とかの利益を半分渡しただけだよ。ケケ!」
「無駄に良い奴かよ・・・!じゃあ、もし石を持って帰れなかったら、どうなるんだ?」
「そんときは、可哀そうだから、とか言って、適当に理由つけて、4分の1ずつ渡してるよ」
「それ、お前の取り分増えてるのに、評価は上がってるみたいじゃねえか・・・」
「これ、みんなには、内緒だぜ?ケケ」
商人が、落ちていた鱗粉を拾い集め終わる。
「ところで、さっき、俺たちの中にも、粉を持ち帰ったやつがいるんだが、それはどうすればいい?」
「ああ、別に構わないよ。ある程度、服とかにも付いちゃうしな。ケケ」
すると、入り口の方から、さっさとシオンが走ってくる。
「え~。そうなの~?じゃあ、残りのこの粉、僕が全部もらっていくね!」
シオンが服のポケットから、大量の金色の粉を取り出し、すぐに逃げていく。
「さすがに、それは返せよ~・・・。ケケ~~・・・」