第4話 爆発の洞窟 前編
「見てみて~」
シオンが路地裏で、バイト募集中の張り紙を見つける。
そこには、『爆発の洞窟でアルバイトを募集』と書かれていた。
「何か、危なそうだけど、行ってみるしかないでござるな・・・」
4人は、町はずれにある、洞窟へと向かう。
「よく来たな・・・。ケケ~・・・。」
大きな扉の前で、モンスターの商人が待っている。
「この扉の奥にある鉱石を拾ってきたら、バイト代を出すぜ~」
「おお。それなら、できそうでござるよ!?」
「ただし、この洞窟は大きな音を出すと、爆発が起きて、この入り口辺りまで吹き飛ばされるから、注意しろよ・・・。あと、この扉は、1度開けると、しばらくは開けられないから、慎重に頼むぜ・・・」
大きな扉が、ゆっくりと開き、4人が静かに入っていく・・・。
「でもさ、何か、しちゃダメって言われると、逆にしてみたくならない・・・?」
「シオン殿。気持ちは分かるけど、今は静かにするでござるよ・・・」
細い道を、しばらく進むと、せまい採掘所のような場所へと出る。
「とりあえず、この辺の、色の違う鉱石を拾えばいいのか?」
「たぶん、そうだと思うでござるよ~」
4人が、持ってきた缶に、鉱石を入れ始める。
「・・・?」
しかし、作業を始めたダイチが、石を見て不思議そうな顔をする。
「この石って、そんなに価値あるのか・・・?」
「ん~。モンスターには価値があるんじゃないでござるか?」
大きな缶に、石が半分ほど貯まる。
「・・・むふ。・・・むふふ!」
洞窟内に、シオンの声が響く。
「シオン。今は、面白いやつやっちゃダメだって・・・」
「だって赤羽君・・・。くすぐったい・・・」
「・・・?」
一匹の、金色の妖精が、シオンの体を、くすぐっている。
「・・・!?」
さらに、洞窟の奥から、きらきらと無数の妖精が飛んでくるのが見える。
「なん・・だと~・・・」
大量の妖精が、4人の脇腹をめがけて、襲い掛かる。
「むふ~・・・。むふふ~・・・。超絶くすぐったいよ・・・。」
「シ、シオン殿。あともう少し耐えるでござるよ。・・・!?」
シオンの周りに、大量の妖精が群がり、一体の、光り輝く怪物のようになっている。
「あはは。もう無理~!」
洞窟内に大きな爆発が起こり、強引に入り口付近まで吹き飛ばされる。
大きな扉は、重く、がしゃりと閉じた。
「ダイチ殿~!缶と石は、無事でござるか?」
「・・・おう。少し落ちたけど、ほとんど持って帰ってこれたぞ」
ダイチが、鉱石の入った缶を商人へと渡す。
商人が、古びた秤で重さを量っている。
「お~、なかなかだな。全部で大体5kgだから、1万円ってとこだな~。ケケ」
「意外と、そこそこの値段になったでござるよ~!」
商人から、バイト代の1万円を受け取る。
「おい。そういえば、シオンはどこに行った・・・?」
「さっき、町の方まで勢いよく吹き飛んでいったよ・・・」