第1話 異世界旅行
ーある日の動画研究部の部室にてー
『・・・ついに、完成しました』
どうやら、舞風サクヤが、部室に転送装置を作成したらしい。
そして、手始めに、その辺りにいた俺太刀忍者を、無理やり乗せようとする。
「ええ・・・?何で、自分が乗るでござるか・・・!?」
その問いに対して、舞風が深く理由を考えている。
その結果、ある1つの、答えを出す。
「・・・何となく?」
「何となくゥ!?そんな適当な理由で、自分が、どこかに飛ばされるでござるか!?」
忍者が、ささっと転送装置から離れる。
「ダイジョウブデース。ちゃんと、隣町にある空き地に、飛んでくようになってるので・・・」
「なんだ。それならよかったでござるよ~」
それを聞いた忍者が、安心して装置に向かっていく。
「・・・たぶん」
「んんん?今、小声でたぶんって言わなかったでござるか!?」
舞風が、すかさずドロップキックで、強引に押し込む。
「転送装置を、起動します!!」
「わあああぁああぁぁぁ~・・・」
バリバリとした激しい音と共に、忍者の姿が、どこかに消える。
「ふぅ・・・。実験大成功ですね。この調子で、他の人も送ってみましょう」
続いて、舞風が、次のターゲットへと狙いをつける。
「サクヤちゃん。おはよ~」
朝から上機嫌な、赤羽スザクが部室にやって来る。
「赤羽さん。見てください。部室に転送装置を作りました」
「へぇ~。さすが、サクヤちゃん。天才だね~♪」
「しかも、可愛い女の子を、自動検索して、その近くに転送してくれる機能付きですよ」
「ええええ!?マジで?オレ的には、可愛い子の自動検索の方に興味あるんだけど!?」
しかし、もちろん、そのような機能は搭載されていない・・・。
「じゃあ、とりあえず、乗ってみてもらえますか?」
「いいよ、いいよー。全然いいよー♪」
赤羽が、ウキウキ気分で転送装置へと乗る。
「あれ・・・?でも、それだと、サクヤちゃんの所に転送されちゃうんじゃないかな~?なんて」
「はい。転送しまーす・・・」
渾身の決め台詞と共に、赤羽の姿が消える。
「・・・ねえねえ。今の音、何~?」
次に3人目の犠牲者。魔女川シオンがやってくる。
「転送装置の音ですよ」
「えええ。僕も乗っていい?」
・・・と言いつつ、シオンが、すでに乗っている。
「ですが、もしかしたら、知らない場所に出てしまうかもしれませんよ?」
「いいね・・・。そういうの、最高だね・・・!」
シオンが、自称、カッコいいポーズを構える。
「では、装置を起動させます!」
「何か、お土産、買ってくるね~☆」
シオンが、どひゅんと部室から消える。
「おい。さっきから、部室の中から、ドカドカうるせえぞ・・・」
外で農業をしていた息吹ダイチが、部室にやってくる。
「ダイチさん。転送装置を作りました」
「転送装置・・・?」
舞風が、これまでの様子を説明する。
「ということで、ダイチさんも行ってください」
「いや、普通、その説明を聞いたら、絶対行かないだろ・・・」
舞風が、それを聞いて、悲しそうな顔をしている。
「じゃあ、代わりに、りんごちゃんに行ってもらいますね・・・」
「よし。分かった!今すぐ、俺が行こう!」
息吹ダイチが、ものすごい勢いで、時空の狭間に消えていく。
「・・・ふふ。今日も実験は、大成功ですね。それじゃあ、完成祝いに、お菓子でも食べましょうか~♪」
舞風が、朝の優雅なひと時を、紅茶とクッキーでくつろいでいる。