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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
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喧騒

〜少しのテンプレを添えて〜

 食事を終えて、何をしようか、そもそもどうすればこの状態から立て直せるのかと皆で町の中を歩きながら考えていたら女性の大きな声が聞こえてきた。


「魔物が出たぞ!市民は逃げるのだ!」


 町中に魔物?生体反応には反応していなかったのでどんな感じなのかと覗いてみたら、豚と人との合いの子のような容姿の男性と、雪のような白い髪と長い耳が特徴的な女剣士が騒ぎの中心にいた。


「町中にお前のようなオークがとはな……成敗してやる!」


 女剣士がナイフをいきなり取り出し、豚の人に向かって突きつける。豚の人はそれを軽くいなし、ナイフを取り上げる。


「おっと、危ないじゃないですかエルフのお嬢さん。そもそも私はライカンスであって、オークのような、おとぎ話や物語の中に出てくる存在ではないのですが……」


 自らを豚のライカンスといった男性が自らのステータスカードを見せながら、諭すようにその人、エルフの女剣士に話しかける。尊敬できる慈愛精神だ。僕だったら手を出された時点で衛兵に突き出す所だ。きっとこの人も見慣れていない存在に驚いたからやってしまっただけ……


「敵いそうもないな……我が力及ばず。くっ殺せ!でも痛いのは嫌だからやっぱり私の身体を好きにしろ!……激しくはしないでね」


 ダメだ、話が通じない頭のネジが外れている人のようだ。殺せといったかと思うと頬を染めてそんなことを言い出した。他人事ながら頭を抱えたくなる。


「ちょっ、人様の目の前に突然おどりでてきて襲ってきたかと思えばいきなり何を言ってるんですかこの人は!?」


 豚の人もドン引きだった。というかみていた野次馬のほとんどがえぇ……?って感じになっていた。


「何を躊躇う、さあ、さあ!」


「いきなり人の手を掴んだかと思ったら胸元に手を引くんじゃありません!恥じらいを知らないんですか貴方は!?誰か、誰か助けてください!痴女が出た!」


 助けを求める豚の人から目をさっとそらし、巻き込まれたくないといった感じに野次馬は解散し始める……僕も申し訳ないけど見なかったことにして立ち去ろうかなと考えた時、豚の人と丁度目が合う。


「あっ、キルヴィさん方じゃないか!助けてください!覚えてくれていますか?私、昔たちよった村で会ったことのある!セラーノです、キルヴィさん!」


 絡まれていたのは知り合いでした。


 いや、騒動始めの時から名前が出ていておや?とは思ったんです。でもちょっと巻き込まれたくなかったんです。他意はありません。


「む、なんだ少年。これから私は大人の事情により、子供には見せられない聞かせられないようなことをされてしまう予定なのだが……」


「しませんから!自警団の方々ー!早く来てください!無差別テロですよこれは!」


「無差別ではない……くっ、卑怯だぞ仲間を呼ぶとはな!この辺で見逃してやろう!さらばだ!」


 流石に自警団はまずいと思ったのか女剣士が撤退を選び人の少ない路地に消えていく。なんとなくMAPで追尾しておこう、ちょっと怖いし。


「イブキさんの仲間ですかね?ライカンス好きな亜種……いや、突然変異種か……」


 ぼそりと呟く。


「ちょっと酷くない!?人をあんな変人と同じ扱いにしないでよキルヴィ君。ねぇ、皆?……あれ、みんなー?なんで目を合わせてくれないのー?」


 憤慨したようにイブキさんがそういうが、僕達はさっと目を合わせないように斜め下に視線を逸らしたのであった。


「ふぅ、すみませんキルヴィさん方。巻き込んでしまいました」


 おっといけない、セラーノさんが話しかけてきた。お久しぶりですセラーノさん、と返事をしてガッチリと握手を交わした。


 彼はセラーノさん。旅の冒険者であり、先程自分で言っていた通り豚のライカンスだ。豚のライカンスは数が少なく、珍しい存在である。言っては悪いが見た目もあまりよろしくない故に魔物と間違えられることもよくあるそうだ。だが温厚で、慈愛の心が強い人が多いという。


 セラーノさんも例に漏れず、魔物に間違えられたくらいでは怒りもしない。……今回は特殊な相手であったが。災難でしたねと声をかけると本当ですよと苦笑した。ごめんなさい見捨てようとしました。


「この町にいる知人を訪ねるために、アムストルには今しがた到着したのですが皆様方はいつこちらに?

 」


「僕達は昨日の昼過ぎくらいには。明後日くらいにはもうここを出ようかなって思っています」


「それは、すれ違いにならずに会えてよかったですね。そうだ、良ければ私と共に友人のところに行きませんか?友人はここの町で有名人でして……きっと歓迎してくれると思いますよ」


 セラーノさんの言葉にどうしようかと仲間を見渡す。ちょっと考えた後に皆で頷いた。


「ありがとうございます、迷惑にならないのであれば、同伴させていただきます」


 では、参りましょうかとセラーノさんに連れられて僕達は進むのであった。

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