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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
1区画目 幼少期
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屋敷での日常

いつもありがとうございます

「いやー、積もりに積もったので……あれ、これ去年も同じこと言った気がしますのです。ま、いっか!」


 冬のある日、ラタン姉が騒ぎながら庭へとでていく。外は一面白銀の世界だ。……久々に筋トレや投石という在り来たりな修行とは違うことを試してみるのもいいかもしれない。外に出る格好に着替えて部屋を出ると、防寒着に身を包んだ母さんとスズちゃんが丁度屋敷から出ようとしていたところだった。クロムは一緒にいないが、多分家の仕事をしているのだろう。


「あれ、意外です……キルヴィさまも外で遊ぶんですか?」


「ここのところ巻物に魔法陣仕込むか修行しかしてなかったから、外で遊んでくれると私も安心だよ」


 そう声をかけてくる2人。


「母さんとスズちゃんも、ラタン姉と同じように外で遊ぶんだね。僕は……遊びというかせっかくだからこんな日にしかできない修行ができないかなって」


 僕の口から修行という言葉が出て2人の顔が呆れたものになる。修行、遊びをするよりもよほど為になることだと思うんだけどな……


「あ、そうだ。母さんの雪魔法で僕めがけて雪玉を放ってよ。まえラタン姉にやってみせたみたいにさ」


「ええ……そんなことをしてまで強くなりたいのかい?キルヴィの将来が母さんは心配になってきたんだけど」


「アンジュさまはスズにかまくらを教えてくれる約束なの……キルヴィさまも一緒にやろうよ、ね?」


 この間の戦争で自分がまだまだ弱いってわかったからしたいんだけど、母さんに心配かけさせてしまってまでやることではないか。スズちゃんに誘われたし、今日のところは僕もかまくらを作ることにしよう。


 ……不謹慎だけど外に出てラタン姉が前見たく母さんに雪玉をぶつけて、母さんが雪玉砲台にならないかを少し期待してしまった。


「アンジュー!雪だるまなのです、雪だるま!おっきいの作れたのです」


 そんな期待も虚しく、ラタン姉は雪で何かを作っていた。本人曰く雪だるまとのことだが……僕の目には僕の背丈の半分程の雪玉でできた塔がそびえ立っていた。いったい何段積んでるんだろうかこれは。


「ほう、ラタンも腕を上げたね……まさか8段を崩さずに積めるとはねぇ。かまくらが終わったら久しぶりに私もやってみようかね」


 母さんが想像してた反応と違う返事をする。え?8段もあるのこれ?4メートルあるってことになるんだけど。というか母さんとの共通認識な遊びなの?修行よりも母さん、こちらも大概ではないかな?などという心の中のツッコミが追いつかなかった。スズちゃんに同意を求めるように顔を向ける。


「かまくらぁ……」


 指で地面をなじりながらスズちゃんはかまくらと呟いていた。マイペースか。


 ……いや、スズちゃんは悪くない。スズちゃんは一貫としてかまくらを作りたいと思っているだけなんだ。……クロムー!母さんがあっち側になってツッコミ役が不在になったからここに来てくれー!


 その願いがかすかに届いたのか、はたまた偶然か遠くでくしゃみの音が聞こえた。ごめんよクロム、1人だけ仕事で忙しいよね。風邪に気をつけて。


 結局、母さんはラタン姉に張り合い雪だるまと言う名の塔を建設し出しちゃうし、ラタン姉は負けじと増設しだすので僕がスズちゃんとかまくらを作ることにしたのだった。


 ……作ってて思ったけどこれって即席の塹壕作るのに応用できそう。遊びの中から学べることもあるんだなぁ。そんなことを考えていた時だった。


<キルヴィ・アースクワルドの経験と知識量が一定数を超えました。条件を満たしたためMAP機能がレベルアップし、レベル3が解放となります>



<効果:

 有効効果範囲が広がる、

 指定した媒体にリアルタイムでものの動きを写すことができる、

 自分の半径5メートル以内に障害物の設置を行うことができる、

 単体対象魔法を複数対象魔法に範囲を広げることができる、

 一度訪れた地の天気や気候を見ることができる、

 範囲内の対象を鑑定しより情報を得ることができる、

 敵、味方の力量や向きをMAP上で形や大きさを用いて表す>


 一年ぶりくらいにMAP機能がレベルアップをしたようだった。言われたことを復唱し、言われた順に整理していこう。


 まずは範囲が広がるのはいつものことだった。20キロまで有効範囲となったみたいである。一気に倍以上もある。


 次、指定した媒体にリアルタイムで動きを表せる……?おそらくは地図の印刷、を発展させたものだと思う。後で巻物相手にやってみよう。


 障害物の設置。これはありがたかった。せっかくスクロールの罠を作っても設置に時間がかかるようでは使う場面が限られてしまうと悩んでいたところだった。頭の中で設置について考えていると、町の防壁のようなものですら即座に設置ができるようだ。状況的におそらくかまくらの作成と塹壕を結びつけた考えになったことからこのレベルアップが行われたように思える。


 単体対象魔法を複数対象魔法に範囲を広げる……これはどうして入手できたかはわからない。が、おそらくは便利なものだと思う。威力が分散されるのか、魔力消費が大きくなるのかは調べないと怖いが。


 一度訪れた地の天気や気候がわかる。スフェンの町は今まさに雪が降っているらしいというのがわかった。町はMAPの有効範囲外だが、この情報に関しては管轄が違うみたいだった。


 鑑定は……まあ。言葉通り取得できる情報量が増えるのだろう。中級クラスの効果になったのだろうか。


 最後、敵の向きや力量をMAP上で視覚化できる。今まで点での表記だったが、これにより自分の中での脅威度がわかるようになった。……戦争に関わるでもなければそこまで活躍する部分ではないだろう。必要な機会が来なければいいが。


 今回手に入れたのは戦闘向きのものが多いように感じられた。アナウンスも経験と知識からレベルアップすると言っていた通り、いろんなことを知ったりやったりすることで解放されていくものらしかった。まだまだ奥が深い。

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