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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
1区画目 幼少期
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2回目の本屋

前日アクセス最多の1600超え…本当にありがとうございます。引き続き頑張らせていただきます。

「じゃ後は魔力インクか……この辺の店で扱っているところあったかな」


 ツムジさんは顎に手を当て考えを巡らせていた。どうやらあまり市井には並ばないようなものらしい。


「魔道具を扱っていたくらいですし、例の本屋さんにあるかもしれないから顔だして見ませんか?」


 あのお姉さんのいる本屋のことだ。……先日の様子からちゃんと店をやっているかは不安であったが。そういえばと気になることをツムジさんに聞いてみよう。


「さっき武器屋さんで魔法石とか、魔晶石とか言っていたけど……時々聞くけどそれってどう言ったものなの?」


「あー、キルヴィ君は知らなかったか。魔法石はその名の通り魔力がこもっている石で、持っている属性によって色が違うんだ。スズの持っている杖なんかにも赤い石が使われていただろう?」


 そういえば、この間買った時に石が付いていたのを見ていた。あれが魔法石か。


「魔法石は少し魔力を通すとその属性に応じた効果が出たり、その属性を扱いやすくなるんだ。魔晶石は魔法石よりも上、というよりは魔力そのものが結晶化したものだね。見た目が宝石みたいで装飾品としても価値のあるものだね」


「でもそれって、魔力を使い続けていくと消えたりしないですか?」


「いや、どういうわけか消えはしないんだ。確かに使い続けると魔力は抜けて言ってしまうんだけど、結晶は残る。強いていうなら色が落ちていくくらいかな。不思議だろう?」


 魔力の結晶だというのに魔力が抜けても結晶は残るのか。本当に不思議な話だ。シャランと音がしたのでそちらを見てみると話を横で聞いていたクロムが鞘から刀身を少し抜いてその色の具合を確かめていた。相変わらず薄い綺麗な緑色をしている刃だった。


「これは、魔力は後どれくらい持つんでしょうか……」


 心底心配そうにそう尋ねてみせる。よほどその剣が気に入ったのだろう。できれば長く使いたいと考えているようだ。ツムジさんはそんな不安を消し飛ばすようにパンパンと背中を叩く。


「心配いらないさ。そんだけ色が残っているなら大人になるまで休まず使い続けても大丈夫なくらいの魔力は残ってるよ」


「そうなんですね……よかった」


 ふうとため息をついてみせる。薄い色に見えたがそれでも結構持つものなのか。……僕も欲しくなった。いつか色の濃いものを手に入れることができたらいいな。


 本屋に着くと、そこにはお姉さんがいた。服装は清楚な印象のものだった。初日以外あの露出の多い服を見てない気がする。


「あら、なんだかよくお会いしますね……ソヨカゼ商会長さんまで!こんな店で申し訳ないです」


「いや、すまないね……探しているものがあって。それにしてもちゃんと仕事をしているようでよかったよ」


「あの後ラドン兵士長さんにあの人が怒られちゃって……なくなく仕事中はそれぞれちゃんと仕事しようって。一緒にいたいのに……くすん」


 お姉さんはそういうと半べそをかいていた。いや、ラドンさんが正しいと思うんだけど……いっそどちらかの仕事に従事するようにすればいいのに。言うと本当にそうしそうだから言わないけど。


「そ、そうか。それは災難だったね。ところで買い物をしたいんだがいいかな?」


 若干引き気味にツムジさんはそう尋ねると、ぐしぐしと涙を拭うお姉さん。そして作り笑いをする。


「あ、はい……どうぞ」


「魔力インクを探しているのだが、この店は取り扱いしているだろうか?」


「ありますよ。でも今時魔法陣を書く人なんか滅多にいないので数はそんなにないですが……あった。在庫は小瓶2本だけですね」


 そういって青い瓶を2つ取り出す。魔法陣は廃れているのか。確かに念じるだけで魔法が使えるならわざわざ描く人もいないのか。


「買う人もいないので……銀貨10枚でどうでしょう?」


 その値段にツムジさんは驚いた。


「ずいぶん安いが、いいのかい?」


「はい。使い道があるならそれが1番だと思いますし、何よりこれを使うのってそちらの英雄さんでしょう?……実はあのナイフのおかげでこの間の戦争、死ななくて済んだところもあるんです。敵兵に襲われそうになった時に咄嗟に振ったら相手の腕をスパンと……すごい切れ味でした」


 あのナイフ、役にたったのか。それはよかった。硬い筋肉の多いランスボアをも簡単に解体できるのだ、切れ味の良さは知っていた。


「それでは、いただこう。ありがとう」


「いえいえ、こちらこそ先日はありがとうございました。またご贔屓にして下さいね?」


 こうして本屋さんを出る。今日1日で欲しいものは大体揃った。……つまり、屋敷に帰るためスフェンの町を離れるのが近くなったということだった。

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