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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
1区画目 幼少期
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閑話 銃器の登場とスフェンの戦い

今回はなんかそれらしく書こうとしてみました。いつもと作風が異なったり、伝聞が多い感じになってますがよろしくお願いします。

 ベルスト歴540年ごろから590年ごろまで、このベルストの地に当時存在したとされる5つの国は長きに渡り小競り合いを繰り返していた。ベルスト暗黒期、50年戦争の時代である。


 中でも中央に位置していたとされるルベスト人民共和国はその位置関係もあり、また王を持たないといった当時としては特殊な形態であったため責められる頻度が高かったとされている。


 ベルスト歴580年 ルベスト人民共和国の西にあったイベリ王国は、領土拡大を図りルベスト人民共和国を侵攻し始めた。


 一年に渡り当時の国境沿いで戦争が行われていたが581年10月ごろ、均衡が崩れる。ルベスト人民共和国側の戦線が一度壊滅してしまったのだ。すぐに立て直されたものの、当時より将軍位であったマドールという人物が3000ばかりの兵を率いて浸入。わずか1週間でいくつかの町を素早く落とし、比較的首都からも近い、スフェンという町まで攻め入った。これこそ、世に言うマドール電撃戦であり、そしてスフェンの戦いだ。


 ではなぜ、マドールは3000という、およそ一軍だけといった、戦争をするには比較的少ない兵を伴いここまで攻めることができたのか?


 当時、イベリ王国は魔法よりも技術を重んじる国として、化学寄りの錬金術を用いていた。そのためかは定かではないが各国と比べて道具を作る技術が頭一つ分抜けていた。そして、槍でも、弓矢でもない新しい武器……銃を開発したのであった。マドールは主にこの最新兵器を用いることによって素早い制圧を可能としたのだった。


 開発された当初の銃は鉄製の長い筒に木製のグリップがついただけのものであった。ここに火薬を入れ弾を込めるものといったものである。火薬を起爆させるには火縄式や火打ち式といったものがあるが、この戦いで使われたとされている現代まで残っている現物にはそれがない。これは当時なら知っていれば誰でも使えたとされている生活魔法の点火を用いて使用されていたと考えられる、最も生産数の多いものであった。


 遠距離から攻撃ができること、攻撃の際に大きな音が出ること、銃の先に短剣をつけることで槍として扱えることに加えて1番の強みは、それまでの武器と比べると鍛錬に費やす時間が圧倒的に短く済むことだ。これにより戦争のあり方は大きく変わったと言えるだろう。


 最も、当時の銃は精密な射撃を行うことができず、また、射程も弓や投石を得意とするものの方が遠距離から攻撃することができたために使い所は難しかっただろう。それでも武器のあり方を変えたことに変わりはなく、使い勝手を良くするために色々と改良されていき現代でも主流の武器として残るほどの存在であるため、後に起こるベルスト大戦の要因の1つと考えられている。


 話をスフェンの戦いに進めよう。

 スフェンの戦いは3日間行われた戦闘である。当時この町で兵長を務めていたラドンと、マドールとの戦いとなった。この町にいたとされる正規兵の数は、戦争を行なっていて前線に兵を送っていることもあり、200という非常に少ない数が伝わっている。残りは町の有志を集ったとしている。数字だけを追えば他の町同様マドールに攻め落とされておかしくない戦いであったが、ラドンはこれを退けたのであった。


 この辺り、実はどう切り抜けたかまでは諸説あるため、どれが正しいかわからない。突然敵側に対し吹雪が襲ってきた雪の奇跡が起きたというものから、ルベスト人民共和国の女傑、リリー中将が駆けつけ敵兵をバッタバッタとなぎ倒したなど様々である。わかっていることはマドールはこの町を他の町同様攻めようとし、返り討ちにあったということのみだ。


 また、キルヴィという名が登場するもので一番古い戦いとも言えるが、本人が告げたとされる生年を考えるに当時はまだ年端もいかない子供ということになり、恐らくは後世の人間が彼の出身地域や、彼が行なってきた魔法と吹雪が関連しているのではないか、と時代背景に対して無理を承知で付け加えたのではないかとされる説が現在の主流となっている。


 ともあれ、このスフェンの戦いを境としてベルストの時代が変わりつつあった。


(ベルスト世界史 31ページより抜粋)

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