見えないもの
「……目を閉じてても点の情報は来るんだ。若干点の位置の更新が遅いかもしれないけど、気にならない範囲だね」
眠ろうと目を閉じるがそれでも点は動き続けていた。先ほどの鳥を示す点があちらこちらに動き回っているのを感じ、少し申し訳ない気持ちになっていると、違和感。
「周りの点より薄い色の点が、こっちにくる……?」
目を閉じているのに目を凝らすというのはおかしい気がするが、よく見ると見えるような点がこの丘を目指しているかのように動いていた。点の大きさ的には先ほどの鳥を示していたものよりも大きい。
いったい何がこちらに来ているのだろう。キルヴィは目を開きその点が来る方角を見つめてみる。が、一向に何が来ているのかがわからなかった。そうしているうちに点との距離が近くなっていき、ついには目の前にいる状態にもかかわらずその姿を捉えることができなかったためキルヴィは緊張状態から汗がたらりと垂れるのを感じた。
キルヴィは焦っていた。
もしこれが害意あるものならば一方的に不利な相手だからだ。必死に目を凝らし正面にいるであろう何かを見ようとする。
しかしそのかいもむなしく、薄い点は正体がわからない。そうこうしているうちにキルヴィの周りを不規則に回りだした。動いては止まり、止まっては動きをしている。キルヴィは点のある方向を見続けるしかできなかった。
点の動きが止まり、ついにキルヴィに近づこうと動いたように感じた。キルヴィは覚悟を決めた。
「ねぇ君、もしかしてボクのこと――――「うわあああああああああああ!?」きゃぁぁああああああ!?」
ただではやられまいと点の位置に向かって体当たりを仕掛けると、驚くことに話しかけられた。が勢いは止まらない。そのまま突進し何かにぶつかって倒れこむ。そして聞こえるアナウンス。
〈MAPレベル1の暗視効果から透明化無効の機能が派生されました。〉