表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
1区画目 幼少期
22/301

ボードゲーム

いつも読んでいただきありがとうございます!評価とても嬉しいです。

「おいおいキルヴィ君これはすごいぞ!あんなに素早く描かれたのに、実際にその場に行って描いてきたんじゃないかってくらいには正確だった!その能力が羨ましい!」


 ツムジさんが到着して開口一番でそう言う。どうも倒木などで道が塞がれたものについても反映されていたようで、いつものルート上にも迂回しなければならない場所があったらしいが楽にできたと言う。旅をする上で道以外の知らない地形がわかるのは大きなアドバンテージなのだと言う。


「お役に立てたのなら嬉しいです」


「ああ役に立ったよ。おっといけない、アンジュ様、ラタン姉、御機嫌よう。荷物が揃ったのでお持ちしました。それと候補生も見つかりましたと報告させていただきます」


「いつもありがとうツムジ。その候補生はどんな人なんだい?」


「父は戦死、母も今年病で死んだよくいる戦争孤児ですね、男で歳は10。彼には4歳の妹がいて、その子と暮らせるならどんな仕事もこなしますと意気込んでます。生意気盛りですがやる気はあるので春には使い物になると思いますよ」


「ああ、若いのに大変ですね……妹もろとも、引き受けができることを期待します」


 病気のところで顔に陰りが見えたがすぐにいつもの表情に戻るアンジュ。ツムジも空気を変えようとするかのように荷降ろしへと取り掛かる。


「そうだ、キルヴィ君こんなものを持ってきたんだ。後で時間を見つけて遊んでみないかい?」


 そう言って模様が描かれた板状のものと木製の小物入れを取り出し、渡してくる。


「名族様御用達のボードゲームをいくつか持ってきてね、これはチェスという駒とりゲームさ。他にオセロ、五目並べがある。2人にも遊び方を教えるから時間のある時に遊ぶといい」


「ありがとうございます!」


 はじめてのおもちゃ、とても楽しみである。早く遊べるように荷降ろしを手伝うことにした。


 つつがなく荷降ろしが終了し、早速みんなで集まって教えてもらうことにする。


「この駒はこう動いて……えっ、そうは動かせない?むー、チェスはボクには向いてないのです」


「ラタン姉諦めるの早いね!?ほら、駒ごとに特徴があるんだから頑張って覚えよう?」


「駒と同じように人にも得手不得手と言うものがありましてー」


「こうなったポンコツ姉は屁理屈並べてテコでも覆らないから無理だキルヴィ君。ほら、五目並べならいくらなんでもできるだろう?」


「むー!ツムジが可愛くないのです!あのおねしょをどうにかして隠そうとしていた可愛い子はどこにむガッ!?」


「オーケーわかったポンコツ姉、あっちで少しオ・ハ・ナ・シしようか、な?な?」


 突然の暴露話に腹を立てたのか、顔は笑顔だが目の笑っていないツムジさんに顔を鷲掴みにされたラタン姉はむーむーいいながら小刻みに震えている。そのまま部屋から退出し、鈍い音の後、ツムジさんだけが戻ってくる。


「ラタン姉は疲れて昼寝をしたくなったらしい。話の途中で寝ちゃったよはっはっは」


 明らかに違うだろうが有無を言わさぬツムジさんであった。


 ◇


「それでは、春先までしばしのお別れですアンジュ様、キルヴィ君」


「ひどいのです、ワザと呼ばないのです。いい歳のおっさんがか弱い少女をいじめて楽しんでるのです」


「オハナシがたりなかったならそう言ってよラタン姉?延長戦する?」


「ごめんなさいです勘弁してください」


 あっという間に時間が過ぎ陽が傾き始める頃、ツムジさんは帰っていった。今回のお土産はとても嬉しいものばかりで、大事にしようと思った、その時だった。


<キルヴィ・アースクワルドの知識量が一定数を超えました。条件を満たしたためMAP機能がレベルアップし、レベル2が解放となります>


<効果:地形の把握できる範囲が広がる、目標地点までどのくらいかかるか計算される、範囲内の対象を鑑定し情報を得る、敵、味方の区別を色で認識できる、自分の行動の成功判定確率がわかる>


 唐突なアナウンス。どうやらMAP機能がレベルアップしたらしい。またも情報量が多く流れ込んでくる感覚に陥る。


 今回のレベルアップで認識できる範囲は目標地点までのかかる時間的に7キロまで広がったようだ。さらに、色々なものの名称が表されるようになった。


 今まで生物を表していた白い点が近くに緑のものが二つ、少し遠くに一つ映っている。調べるとラタン姉やアンジュさん、ツムジさんを示す点だったことから敵味方の区別とはこんな感じで表されると言うのがわかった。白の点は、おそらくだが敵対も仲間化もしてない中立な立場なのだと思う。


 成功判定確率がわかるというのだけはしっくりこなかったので、今後確かめておかねばならないだろう。


 ともあれ、ボードゲームに始まり素敵なプレゼントを手に入れることができたので喜ぶキルヴィであった。


 ふと外を見ると気が早い雪がちらついていた。これから冬が始まることを告げていた。

このレベルアップでようやくメイン能力を手に入れたといってもおかしくありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] キルヴィ君のMAPスキル……異世界転移したら、ほしいぃいいい。゜(゜´ω`゜)゜。 この世界観的に、正確な地図だけでなく、立体地形と人物まで把握できれば、軍事面での無双じゃないですかぁあ…
[良い点] マップスキルとは珍しい設定だと思います。使い方も面白くてゲームのようなファンタジーを楽しめました。そしてなにより第一話のプロローグが効いています。あれがあることで物語にひきが生まれています…
2021/03/19 20:10 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ