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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
2区画目 少年時代
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作戦準備

「さて、行動にあたってグループ分けをしようと思うけど……キルヴィ君、君は極力単独行動を願いたい」


「それは許可できません!」


作戦会議に移ったのだが、リリーさんからの提案が早速ラタン姉から拒否された。いや、ラタン姉だけでなく他の皆からも駄目だという反応で返された。まあ、うん。やらかしたのは記憶に新しいし、ね。


「……戦力としては1人で中隊以上の行動ができるだろうから分けたいんだけど、駄目かな?」


「この子は無茶やった挙句隙だらけになるような能力の使い方をするので、1人は近くで見張る役が必要なのです」


ずっと身近にいた保護者からの言葉は耳がいたい。


「ほほう、それだと力の制御ができないってことになるんだけど。なかなか使い所が難しいんだねキルヴィ君は。うーん、そうなると誰がつく?あくまで、1人だけね」


サッと手を挙げるラタン姉とスズちゃん。1人だけとなれば、どちらかが譲らねばならない状態だ。


「スズ、ここはボクに任せるのです。キルヴィにアクシデントがあっても必ず守り通しますので。経験からいざとなったら逃げる術の1つや2つ、ボクにはあるのです」


「いやいや、ラタン姉は戦力としてキルヴィ様と別行動の方がいいと思うなぁ?適材適所として、戦力がそこそこの私がついた方がいいよね」


それらしい建前の裏にある「いいから自分に譲れ」という心の声が、その場の全員に聴こえた気がした。オスロの心聞とはこんな感じなのだろうか。


「はいはいご馳走さま。くっ、この子があいつの生まれ変わりって聞いてからこのやり取りを見ると、なんとも言えない気分になるな」


僕が生まれ変わり?それは初耳なのだが。


「えっ。リリーさんからでるあいつって事は、クリーブさん?キルヴィが?」


「んじゃ、スズちゃん。あなたがキルヴィ君と行動してね」


と、前世らしい人を知っているのか混乱し始めたラタン姉を余所に、リリーさんは何事もなかったのように僕につけるのをスズちゃんに決めたようだった。


「はい!よろしくお願いしますね、キルヴィ様」


「あー!いつの間にか決まってるのです!?うう……スズ!ちゃんと見張るのですよ、クロムと同じで見過ごしたりとか、悪乗りしようとか、しないでくださいよ!」


普段どんな行動をしてるのか、とこちらを呆れ半分といった感じで見るリリーさん。何やったんですか、と聞こえたのでそちらを見ると、クロムもモーリーさんから目を逸らしているようだった。このチームにおいて男性の立場は弱い。


作戦としてはリリーさん、僕とスズちゃん、その他の3チームに分かれ行動をし、三方向から逃げ場がないように責める包囲作戦で行く事になった。


「とはいえこちらは少人数で、相手は未知数だ。もう少し戦力が欲しいので、ここに来る前に既に華撃隊の一部には、スフェンで待つように声はかけてある……あまり規模を大きくすると、目をつけられる可能性が高くなるからそう多くもできないがな」


特に侵攻しあってから間がない時期だ、国境付近などピリピリしているに決まっている。短期で、少人数でこなさないといけない。


「移動手段をどうするかだが……キルヴィ君、できるだろうか?」


「アムストル近くに登録地点を設ければすぐにでもいけます。が、華撃隊の方々は何人くらいになりますか?上限がどれくらいなのか自分でもわからないところがあるので」


選択式で今のところ対象数が溢れた事はないが、多分対象無限というわけではないのだろう。だいたい20人位だと言われたので、その辺のものを選択してみる。行く人数を含めてもとりあえずは大丈夫そうだった。ルベスト国内のアムストルの近くに登録地点を設けるのも問題なくできた。


「転移と言ったかな?似たようなものを個人運用する敵は今までいなかったこともないが、範囲式のは初めて聞いた。これができるとなると、行軍なんてものが馬鹿らしくなってしまう」


リリーさんが唸る。転移に似た魔法はあるようで、戦争時には暗殺防止のために重要拠点となる所に空間固定の術式が施されるらしい。そこへ向けて無理に移動スキルを使用するとスキルも魔法も封じられる檻に閉じ込められるそうだ。そもそも、空間系の魔法は調節が難しい物だそうで、それを扱えるものは少なく、それ以外には適性がないものが多いそうだ。故に軍においては間諜役として重宝される存在だという。


「どうかな、華撃隊に入る気はない?実力者だし歓迎するよ」


リリーさんからの勧誘の言葉。しかし僕は首を横にふる。


「お誘いはありがたいですが、春から傭兵団を結成しますので。それに、リリーさんに言うと睨まれるかもしれませんが、1つの国に縛られたくないのですよ」


「そうか。傭兵団か……君は、相変わらず君なのだね。それも国の垣根を越えて、か」


断ったことよりも、怒るよりも。よくわからないがリリーさんは僕の言葉に何かを感じ入ったようだった。


「願わくば、敵対しないことを願うがね」


僕だって、知人ということを除いても自分の技が通用しないリリーさんとわざわざ敵対したくない。

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