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MAP機能で世渡りを  作者: 偽りの仮面士
1区画目 幼少期
11/301

遭遇

また説明の回です

「それで、そのMAP機能とは具体的にはどんなものなのか聞いてもいいですか?」


 てっくてっくと先を行くラタンさんは振り返りながら尋ねてくる。


「ボクの知っているスキルとすり合わせてみますのです。アナウンスの内容を覚えていますか?」


 そう言われ、なんと説明をするかを考える。これを得た時にアナウンスはなんといっていただろうか。


「確か……あたりの地形が大まかにわかる、周囲の生物の位置がわかる、目視の範囲内の暗視が可能になると言われました。ラタンさんと遭遇した後、透明化無効も追加されたみたいですが」


「ふむふむ、まずわかるものからいきますか。暗視可能は私も持っているスキルですね。暗いところでもものがよく見えるスキルです。これは全く光の入らない場所か夜に活動をする人ならば、努力次第で半月程度で取れるスキルなのですよ」


 そう言われ、キルヴィは暗いから移動しにくいと考えた瞬間に得ることができたのは幸運だったのだと感じた。くるくると指を回しながらラタンさんはスキルの説明を続ける。


「ちなみに透明化無効も持っています。精霊とか妖精みたいな存在は透明化は必須スキルなので、仲間に会うためにも自然と手に入りますね。一般的にも精霊と関わりのある人なら持っているかもしれません」


 手に入れることができた経緯は納得する。実際ラタンさんに声をかけられたり体当たりでぶつかったことで少なからず関わりがあの時点で発生したからだ。


「はっきりとわかるのはこの2つですかね。後のはなんとなくでしかイメージがつかないです。地形が大まかにわかるっていうのはどんな感じなのですか?」


「えっと、さっき見せてもらった地図がイメージに合ってると思います。あれは天からこのあたりの地形を見下ろした時にだいたいこうなっているだろうって図ですよね?このスキルの場合はその視点に加えて立体的な地形をものに遮られることなく理解できるようになります」


 その言葉にラタンさんは再び地図を取り出し、こちらに見せながら聞いてくる。


「それはこの地図でいうとどれくらいの範囲ならわかるのです?把握できる範囲を知っておいた方がいいと思います」


 そう言われ、地図とMAPを見比べてみる。川を目印にだいたいこのぐらいであると指で円を描く。


「なるほど、5キロ位は把握できるのですか。ちなみになのですが、把握できる範囲から外れた地形はどんな感じなのですか」


「うーん、地形のデータは残ってるけど……今把握できている範囲が明るい色になっているのに比べて暗い色になっている感じかな。今ちゃんとわかるとこに比べるとちょっと曖昧に感じるよ」


「つまりは自分が一度把握したところについてはほとんど忘れないってことですか……それはなかなかすごいですね。旅人なら是非とも手に入れたい能力ですよ!」


 少し興奮した感じでラタンさんはいうが、あの情報量が一度に入ってくる感覚を味わってでも欲しい能力なのかは僕には分からなかった。


「残るは周囲の生物の位置がわかる、でしたか。これはなんとなーくそこにいるのがわかる程度のものですか?それだったら気配察知というスキルがあるのです」


「ううん、違うと思う。さっきの地形のに合わせて生物のいるであろうところに点が見えるものだよ」


「んー?よく分からないですね。どんな感じにわかるんでしょう」


 そういわれ少しMAPに集中する。ちょうど近くに良さそうな点の群れがあった。


「そっちの方角に小型の反応が11、固まっているので見に行ってみましょうよ」


 試しに行ってみるとこの森ではよく見かけるアナグゥマという小型の魔物が11体、群れでのんびりとくつろいでいた。


「ふーむ、つまり把握できる地形内なら具体的な数とそのサイズまでわかるってことなのですか……それはとんでもないスキルなのです」


「ちなみにこれがあったからラタンさんが近づいてきたこともわかったんだ。周りに比べて薄かったから一体何がこっちに向かっているかすごく警戒したよ」


「その能力、キルヴィ君に死角はないんじゃないかって思いますよ……これはなかなかすごいスキル持ちの子を拾ってしまいました」


 ラタンさんが汗を拭うふりをする。自分のことを言われているのに昨日までの自分の価値のことを思うと、何か別の人のことを言われているように思ってしまった。


 その時、MAPに反応。少し離れたところにいた中型の点が一つ、こちらに向かって勢いよく近づいてくるのを感じた。


「ラタンさん、何かがこっちに向かってくる。それも結構早いよ!」


 すぐにラタンさんに伝える。ラタンさんがランタンを構えるのを横目で見つつ、足元を見て手頃な大きさの石を見つけるといくつか拾ってその点の方向へ投げつける。ろくな装備がない僕にとって投石は狩の基本だった。手応えあり。


「グギィ!!」


「これは、なかなか厄介な相手ですね……」


 出てきたのは所々流血している、興奮状態のランスボアと言われる大猪の姿をした魔物だった。

次回ようやく戦闘回です!

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