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おまけの未来の兄弟の会話
27歳の引っ越し ―――おまけの未来の兄弟の会話―――
「藤堂」
「はい」
結衣ちゃんが乗った助手席のドアを閉めた後、お兄さんに呼び止められた。
「結衣を頼む」
「任せてください」
頷けば、お兄さんは結衣ちゃんに似た意志の強そうな瞳をきらりと光らせてひとり頷いた。
「・・・やっぱりお前だったな」
「へ?」
俺より10センチちょっと背の低い兄さんは俺の顔を見上げて不敵に笑う。この勝気な笑顔もとても結衣ちゃんに似ている。
「結衣が何人の男と付き合ってきたか知らねぇけど、家に連れてきたのはお前だけだ。だから、俺は最後にあいつを迎えに来るのはお前だと思ってた」
「それって・・・」
「おまえの呼び方変えるかな」
「そうですね。後々紛らわしいですから」
「じゃあな」
「気を付けて。今日はありがとうございました」
「おう、そっちもな」
勝気な笑顔でひらりと手を振って愛車に乗り込む。
すぐにでも、勝気な貴方の弟になりたい。