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15話

遅くなってごめんなさい。ちょっと矛盾しているところもあるかもしれませんがご了承下さい


……>゜))))彡パクパク

「ゴァッ?!」


まるで、バターのように簡単に拳が切断された。そこから一方的だった。どれだけゴーレムが攻撃しようと、その攻撃をした部位が切断され、地に落ちる。四肢を切断されたゴーレム、シリウスは最後に首を切断して、戦闘を終了させた。


シリウスは禍々しい大鎌を消してリンの

元へ向かう。突如、シリウスはなんとも言えない顔になった。


「あのー先輩?」

「なんだい?」

「前、隠した方が……」


シリウスが指を指した方向にリンは視線を向かわせる。数瞬、リンの顔が真っ赤なった。


「きゃぁっ!?」


胸元が露になっていたのだ。そこには本来あるはずのない、二つの山があった。リンは慌てて胸を隠そうとするが時既に遅し。シリウスはバッチリと見てしまった。その美しい双胸を。


「み、見た?」

「………」


シリウスは頬を赤らめ、顔をそらした。


「見て……ません、よ?」

「何で疑問形なのよ!」


リンが怒濤の勢いで詰め寄ってくる。リンの今の格好は胸の先端を腕で隠しているだけ、今にも零れ落ちてしまいそうだ。幸い、シリウスは枯れている。が、やはり恥ずかしいものは恥ずかしいのである。


「先輩、あの、当たって……」


詰め寄ると言うことは密着が増えること。リンの腕越でもその柔らかさは感じられる。感触が天国なのだ。


リンは顔を真っ赤にしてシリウスを睨み付けている。視線が痛い。このままでは眼に毒。そう思ったシリウスは自分のローブを脱いでリンに渡す。


「これは?」

「着てください。そうでないと、眼に……毒ですから」


顔をそらしながらそう言った。自分でも何故かわからないほど動揺している。


―――俺、おかしくなったか?


「フフ、そうだね。ありがとう」


リンは悪戯が成功した小悪魔のような笑みを浮かべてローブを受け取った。からかわれているとわかっているのに、シリウスはその笑顔から眼が離せなかった。








「これからどうするんだい?」

「これからですか……」


先程から変わらぬ立ち位置。リンは座りながらシリウスに訪ねる。シリウスは顎に手をあて、何か真剣に考えている。気配がするのだ。中々に強力な気配。先程のゴーレムとは段違いの、強者の気配。


「覗きとは悪趣味だな。出てこいよ」


自分と話すときとは違う口調で、明らかに威嚇する声。その声をシリウスが出したことに驚くリン。驚愕のあまり、シリウスの顔を見つめる。


「そんなイチャイチャしているところに、(わたくし)が入るなど滅相もございません」


突如、虚空から現れたのは黒いボロボロのローブを着た骸骨だった。その骨の指には大きな宝石のついた指輪が何個も身に付けられていた。


「リッチか」


リッチとは、スケルトンの最上位。生前、魔力の多い魔法使いがなると言われている。前世の記憶も引き継いでおり、魔法の腕は一級品。言葉も通じることから、狂暴ではない。だが、一度怒らせるとその危険度はSランクを越えるとまで言われている。


「お久し振りです、我がご主人(マイ・ロード)


リッチが恭しく一礼する。それは、洗礼された動きだった。貴族の執事は護衛も兼ねているため、魔法が使えるのが必須条件。こいつも例に漏れないやつなのだろう。


「で、お前は誰だ?」

「ヨヨヨ、まさか私の事を忘れたと言うのですか?」


リッチはその場に座り込み泣いたふりをする。リッチの嘘泣きとか誰得だよ。


「本当に私を忘れてしまったのですか?」

「ああ、リッチに恭しく一礼されたことなんて………ん?」


執事?恭しく一礼?我がご主人(マイ・ロード)?そう言えば、俺が研究で手が離せないから、駒使い用の魔導人形(パペット)を作ったような。けっしてリッチではないが、仕草、口調、肩書き。全て合わせるとあいつしか心当たりがない。


「お前、駒使い一号か?」

「そうですけど……違います!私はそんな名前ではありません!」


駒使い一号が息を荒げながら詰め寄ってくる。いや、骸骨怖いんだけど。襟元をとてつもない力で捕まれる。


「すまない、すまない。ヒツジだろ」

「違います!ヒ↑ツ↓ジです!」

「わかった、ヒツジだな」

「違いますぅぅぅぅ。ヨヨヨ」


リッチがその場に崩れ落ちる。その一部始終を見ていたリンが、恐る恐るといった感じで手を上げる。


「言いにくいのであれば、何か他の名前にしたらどうだろうか?」

「先輩、流石です」


褒めたのに、リンは何故かムッとして不機嫌そうだ。なぜ不機嫌になるのかがよくわからない。その真相を聞こうと声をかけようとしたとき、リッチが蘇った死者のように立ち上がった。


「貴女様は、私の救世主ですぅぅぅぅぅぅ!」


今にもリンに飛びかかろうとするリッチを寸前のところで止める。シリウスはリッチの頭をつかみ、力を込める。


「いだだだだぁぁ!お許しください我がご主人(マイ・ロード)お許しぉぉぉぉ」


あまりにも喧しいので掴むのをやめた。離したリッチは腰砕けになり、その場にまた崩れ落ちる。リッチは息を荒げ「我がご主人(マイ・ロード)激しすぎます」と、誤解されるようなことを抜かしていたので少しおいたしてやった。


「ジ、その見た目で飛び掛かるとか、一種の嫌がらせだぞ。せめて、元の姿に戻ってからにしろよ」

「わかりまし……って、ジ、ってなんなんですか!!ヒツジのジですか?ネーミングセンス無さすぎですよ!そっちの方が嫌がらせですよ!あと、元に戻るのは気が引けるのですよ!皆、私の本当の姿をみると、愛らしい者を見たような目で頭を撫でたり、何かくれるんですよ!威厳がないじゃないですか!我がご主人(マイ・ロード)に使えている者が威厳がないなど我がご主人(マイ・ロード)が笑われてしまいます!我がご主人(マイ・ロード)が良くとも私が許せないのですよ!!はぁはぁはぁ。わかってもらいましたか?」

「すまない、わからない。いいから元の姿に戻れ」

「ウググゥゥ。|了解いたしました我がご主人イエス・マイ・ロード


獣のようなうなり声をあげたリッチは諦め、了承した。リッチは地面に魔方陣を展開させる。その魔方陣から放出される淡い青の光がリッチの全身を包み込む。神秘的な光景。まるでリッチが浄化されているよう。その光はより強くなり、リッチを隠すかのように包み込んだ。


「何が起きるんだい?」


困惑しているリンにシリウスは「大丈夫ですよ」と、問いの答えにならない言葉を溢した。リンは少しムッと不機嫌そうにしたが、笑みを浮かべ「そうか」と返した。


直後、部屋がピカッとフラッシュ。光の塊から声が発せられた。


「二人とも私の目の前でイチャイチャしないでくれませんか?」


目の前には黒いメイド服に羊のパーカーを身に付けた、可愛らしい少女がいた。


「相変わらず愛らしい姿だな」

「誰のせいでこんな姿になったと思っているんですか!我がご主人(マイ・ロード)が手を抜かなければ私は今頃ナイスバディの美女だったんですよ!わかっていますか!?」


詰め寄ってくる元に戻ったリッチのスカートがひらりと舞う。そのスカートの下から覗くのはイチゴのパンツだった。


「はいはい、可愛らしいのはそのイチゴのパンツだけか」

「………ッ!」


元の姿に戻ったリッチは顔を一瞬で真っ赤に染める。そして、シリウスの胸をポカポカと音を立てながら叩く。リンからは突き刺さるような、針なような鋭い視線が降り注ぐ。


「イキナリなんてやめてください我がご主人(マイ・ロード)。そういうことをしたいのであれば、予め仰ってもらわないと心の準備が」

「シリウス君。君を見損なったよ。そういうことをする男であったなんて……君は誠実な男と思っていたのに……」









「君の名前はメイでどうだい?」

「メイですか…メイ、メイ、メイ、メイ。はい!気に入りました。ありがとうございますリン様!」

「どういたしまして。可愛いねメイちゃんは」

「エヘヘ、ありがとうございます」


楽しそうに話している二人を尻目に、シリウスは部屋の端っこで一人寂しく体育座りをしていた。


「せんぱ――」

「声を掛けないでもらえるかい。不誠実な男とは関わりたくないもので」


声をかけようとしたら、いつもこれだ。本気でリンを怒らせてしまったようだ。不用意に人に嫌われるのはよくない。謝るタイミングを探すが、声をかけるといつもあの答え。シリウスはリンと楽しそうに話しているメイに助けてもらうことにした。が、二人は今別の話で盛り上がっていた。


「リン様はなぜ、女性なのに男性の格好をしているのですか?」

「我が家のおまじないなんだ。男性は矢を、女性は男性の格好身に付けると、無病息災になると言われているんだ。だから、こんな格好をしてるんだよ」

「そうなんですか。すごいですね。あのーリン様?そろそろ我がご主人(マイ・ロード)を許してやってもらえませんか?」


メイは部屋の端っこでいじけているシリウスを指差す。そのしぐさはいつもの立ち振舞いからは想像もつかない、子供らしい仕草だった。


「もしかして、リン様は我がご主人(マイ・ロード)を嫌っておられるのですか?」

「いや、嫌っていないとは思う。命の恩人だからね、嫌うなんて失礼だ。けど、失望はしたけどね」

「そうなんですか。良かったです。リン様が我がご主人(マイ・ロード)を嫌っていなくて」


メイはパアッと弾けるように笑った。それは人々を無条件に笑顔にする笑顔。それを一身に受けて笑顔にならないわけがない。リンもつられて笑顔になる。


「前の我がご主人(マイ・ロード)の方が酷かったのです。作るだけ作っておいて私を無視。研究に没頭して私が作った御飯を食べない」

「最低な人だったんだね」

「はい、最低でした。けど――」


メイは言葉を濁し、シリウスを見た。その瞳からは嬉しさと悲しさ、懐かしさが見てとれる。シリウスは無言で頷いた。メイは相貌を崩した。メイはうつ向き、ポツポツと話す。


「けど、お別れするときにこう言われたんです「今までありがとうな。お前がいてくれたから今までやってこれた。また、来世で会うことがあれば、よろしく頼む」と。その時だけ、泣かないはずの魔導人形(パペット)である私が泣いたんです。で、後からお別れするときに私は魔導人形(パペット)から人造人間(ホムンクルス)になったと言われました」


メイはバッと顔を上げた。その赤の瞳には大粒の涙が溜まっていて、今にも零れ落ちそうだった。


「だから私は、我がご主人(マイ・ロード)の為ならば何でもすると、我がご主人(マイ・ロード)の為になるのならば自分だけでも好きでいてあげようと。そう思ったのです」


遠くから話を聞いていたシリウスは気恥ずかしくなった。気恥ずかしさを紛らわせるために大声をあげた。


「二人とも、そろそろここから出るぞ」


メイは笑顔で、リンはバツの悪そうな顔で頷いた。メイは勢いよく立ち上がり、シリウスの元へ寄る。リンはまだ立てていない。シリウスはリンの元へ。


「すまない。あのときの恐怖でまだ腰が抜けているようだ。時間はかなり経ったと言うのにな。恥ずかしい限りだ」


リンの顔は羞恥で真っ赤。武人が臆し、腰が抜けるのが許せないのであろう。

シリウスは小さな声で「すまない」と言って、膝下と脇下から手を回し、持ち上げる。


「き、君!な、何を!?」


リンはかなり困惑しているようだ。それも仕方ない。男にいきなりお姫様抱っこをされているのだから。


「じっとしてくれ。落とすかもしれないから」


シリウスはリンの端麗な顔に自分の顔を近づけ、耳元でそう囁く。リンは効果音が出るぐらいの勢いで顔を真っ赤に染めた。シリウスはそんな初心なリンの反応に微笑み、出口へと歩き出す。リンが羽織っているローブのポケットには人形に変化したメイの姿も。


「じゃあ、帰ろうか」


そう言って、魔方陣を起動する。魔方陣はぐるぐると回り、三人を淡い光で包み込み、ダンジョンから消した。

約二週間ぶりの投稿。すみませんでした。忙しかったんです。某引っ張りハンティングとか4Gとか白猫とかパズルのドラコンとか色々で、とにかく忙しかったんです(遊んでいました。すみませんでした。)話が変わりますが、7月29日が楽しみです。何があるかって?それは言えないなー。ただ、あるゲームの発売日とだけ。いつもの通り、誤字脱字があれば報告お願いします。では、また。

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