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13話

き、君は一体何者なんだい?俺か?俺はな(U^ω^)わんわんお!だよ!!

突如として地面が崩れた。その結果、シリウスとリンの二人は中に投げ出され、すごいスピードで落下している。


このままの速度で落下すれば死。シリウスは突発的に手に持っていた大鎌を壁に突き刺す。


ガリガリガリッ


あまりよい音とは言えない音を立てながら、下へ落下する。先程よりも速度はゆっくりになったがやはり重力には逆らえない。

大鎌を離さないように強く握り、事が終わるのを待つ。


「やっとか」


ようやく底が見えた。かなり落ちてきたのかそこまで高さがあるわけではなかった。パット見たところ四、五メートル前後だろう。


シリウスは大鎌を壁から抜いて壁を蹴る。当然、重力のいう通りにそのまま落下する。あと三メートル、二メートル、一メートル、十センチ。近づいてくる地面に冷静に対処する。


着地と同時に受け身をとる。この時、頭を打たないように慎重に、全身で着地の衝撃を殺す。そして、全身で殺しきれなかった衝撃を、前転で更に殺す。結果、シリウスは無傷で着地することができた。


すると、後ろからパチパチと拍手の音が聞こえた。ここにいるのは二人しかいない。シリウスは後ろに振り向く。


「いやー、君は本当にすごい」


リンが大袈裟なポーズをとりながら称賛する。リンの頬がほんのりと赤くなっている。それほど興奮したのだろうか。リンのマシンガントークは続く。


「あの冷静な判断。あのしなやかな身のこなし。君は何者だい?」

「人間ですけど」

「いやいや、そういうことを聞いてるのではない。ついさっきわかったんだ。君には歴戦の戦士の雰囲気が漂っている。それも、父、祖父、冒険者達よりも強く、厳つく、威厳ある雰囲気が」


リンが中途半端なところで会話をやめたかと思えば、大きく深呼吸して、先程より真剣な顔で問う。


「君は一体何者だい?その年でその雰囲気は普通じゃない。君を…何がそうさせたんだい」


生きるためと復讐するため。この二言を口に出すのは簡単だ。だが、向こうが理解するとは限らない。今の世界はそれほどまでに平和なのだから。


なら、嘘をついて強くなるため、と答えればいい。が、恐らくイチミヤ先輩には見破られる。何せ、この人は洞察力が人一倍かそれよりも鋭い。下手に嘘をつけば、そこからどんどん真実を追求してくるはずだ。だから、曖昧に答えを出す。


「さぁ、自分でもよくわからないですね」


嘘だ、絶対にわかってるという顔をしているリンを見つめる。何かタイミングをうかがっているようだ。自然と二人の会話はやみ、ダンジョンに暫しの静寂が訪れた。

その沈黙を破ったのはリンだった。


「君は―――」

「近づいてきてる」


リンが何か言おうとしていたのを遮る。リンは会話を遮られたせいで、男のくせに頬をぷくっと膨らませて拗ねている。


「方角は南西」

「ちょっ、待って」


制止を聞かずにシリウスは突然走り出した。南西に向かって。真っ暗闇で視界が制限されるなか、まるで全てが見えているかのような自信を持った走り。リンは慌てて追いかけるが追い付くことができない。


一方のシリウスは、敵へ間近に迫っていた。その敵は大きな幅がある通路ではなく、遠くからわかるほど明るい部屋のなかに存在している。

シリウスは大鎌を片手に携え、勢いよく部屋に侵入した。


部屋の中にいたのは、全身に赤い鱗の防具を纏い、更にその上から粗末な鉄のチェストプレートを装着している。その腕には単純な作りの両手剣を片手で軽々と持っていて、顔はさながら恐竜。二足歩行で人間に似た戦いかたをする魔物の名はリザードマン。


冒険者ギルドが決めたランクではDランクだが、群れればCランク。だが、この魔物はただのリザードマンではない。キングリザードマン、リザードマンの上位種でそのランクはBランク。並みの冒険者では歯が立たない。


そのキングリザードマンが部屋に数十体。絶望的な状況だが、シリウスは笑っていた。


「ダンジョンはこうでなくっちゃっ!」


脚に力を込めて地面を蹴る。蹴られた地面は粉々になり穴があいた。一瞬でキングリザードマンに肉薄したシリウスは大鎌を振るう。


大鎌は鱗の鎧に当たることなく、会心である喉に吸い込まれていく。


「一体目」


最早神業。斬られたキングリザードマンは断末魔をあげる余裕すらなく地に伏した。


「ギャギャギッ!」


同胞を殺されたキングリザードマン達は激昂する。そして、一斉にシリウスへ襲いかかる。


四方八方から凶器が殺到する。絶体絶命のピンチ、普通の人ならば恐怖で腰を抜かすところだが、シリウスの顔からは恐怖ではなく笑っていた。


『深淵の骸に口づけを』


力ある言霊を紡ぐ。だが、何も起こらない。キングリザードマン達はせせら笑う。それは失敗したのではない。この言霊は序章に過ぎない。


『深淵よ贄を喰らえ』


その瞬間、魔力が逆流した。その恐ろしいほど激しい魔力の逆流は、迫っていた凶器を吹き飛ばすほど強力だった。だが、それがこの魔術の効果ではない。これは魔術が発動するときの合図に過ぎない。シリウスは最期の言霊を紡いだ。


『悪食』


瞬間、魔力が爆発して龍が現れた。何も見いだせない、何も映さない。闇をより暗く、死と絶望を与える深淵。その深淵の龍は次々とキングリザードマンを喰らう。

喰らわれたキングリザードマン達は、そのまま永遠に動くことのない骸とかした。


「お前らかかってこいよ」


後ろを振り向くとまだ生き残りがいた。生き残りがいるのは偶然ではなくわざとだ。わざと何体か残した。理由はもっと戦いたいからだ。


シリウスは笑いながらキングリザードマン達に近づく。理性が無いとされる魔物が怖れている。一歩近づけば一歩下がる。この繰り返しだ。


「おっといかん、遊びはこれぐらいにしないと」


そう言って頭をブンブンと振った。そして――姿が消えた。


「グギャァ」


また一体。


「グギャァ」


また一体。


「グギャァ」


また一体と仲間が殺されていく。最期の一体になったとき…死神が姿を現した。

パンパン手で服についた汚れを落とし終わり、声を発した。


「これで――」


キングリザードマンの首から上が段々移動している。


「終わりっと」


ドサッ


美しい断面図を晒し地に伏した。奇しくも、落ち行く頭が最期に見た光景は、今も昔も変わらない大鎌を携えた死神だった。



後に残った部屋は血溜まり一つできていない。あるのは骸とかしたリザードマンだけ。それも既にダンジョンの吸収のせいで数を減らしている。


ダンジョンは魔物の母。ダンジョン内の魔物の殆どがダンジョンから産まれたといわれている。


ダンジョンで産まれた魔物は侵入者を殺す。逆に侵入者に殺される。この行為でダンジョンから魔物が産まれる。謂わば、魔物の死、侵入者の死はダンジョンに利益をもたらし、生き物に流れる血液はエッセンスとなり魔物の体を駆け巡り、残った骸は一から形成する。


ダンジョン内でゴブリン、オーク、リザードマン等の人型の魔物が多いのは侵入者の形を色濃く受け継いだからという訳だ。


「さぁて、ちゃっちゃっとここを出るか」


何か忘れているような気がするが気にしない。歩いていれば思い出すだろうなんて、安易に考え、シリウスは大鎌片手に意気揚々と行だした。途中にやっとリンの存在を思いだし、こっぴどく叱られたのは仕方ないと思う。だって明らかこっちが悪いから。

(*´・д・)?(U^ω^)わんわんお?意味がわからないな。



いあとこいぐきめつがっくたみてねいごつあおて

つりうんもりでんぎんてかのにい。ごじじれしね

もが。かながごねはばからししてさにだがばえ♥


さあ、君たちこの暗号を解読するのだぁぁぁぁ!(入門編)

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