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竜に育てられた魔術師  作者: 八ツ橋七緒
プロローグ
1/18

1話

設定は同じですかまったく違うお話です。はい。すいません、何でもしますから。

「アイツはどこ行った!」


人や植物、動物などありとあらゆる生き物が寝静まる時間帯。昼間の太陽が支配する時間帯と変わらぬような明るさだった。


そんな月が支配する時間帯に白銀の鎧を身に付け、腰には片手直剣を携えた初老の男が怒鳴り散らす。その初老の回りにはまだ20代に差し掛かっていないであろう青年達が迷惑そうな顔をしている。


「見逃しました!」

「何をしておる!あの坊主を捕まえなければ我らは・・・とにかく親方様の御命令だ!必ず見つけ出せ!」


白銀の鎧を身に付けた者達は自分達の主人の命令でこんな夜中に叩き起こされある子供を捕まえるために奔走していた。


そしてこの子供を捕まえるのがまた難しい。その子供は自分達の主人の子供で、一度か二度お目にかかったことがある。両親や兄弟は茶髪だというのに、その子供だけ白髪だった。


主人に使えている侍女から聞いた話だと、元々家族関係は冷えきっていたらしい。そして昨日、弟殿がその白髪の子供に魔法で火傷を負わされ今に至るらしい。


だが疑問が浮かんだ。本来白髪とは魔力を多く有するものがなる現象らしい。なら普通は優遇されるはずなのにこの家は違ったようだ。


魔力を持つものは極めて少ない。何故なら魔力を持つ人間と魔力を持つ人間との間でしか魔力を持つ者は現れないのだ。だが、この家は魔力を持つ者は一人もいない。親方様も魔力を持っていないし、奥方も弟殿と執事や侍女、誰一人として魔力を持っていなかったようだ。そんな魔力が無い家庭に一人、膨大な魔力を持って産まれた子供。悪魔の子と家では言われていたそうだ。


「いつまでもそこで突っ立っているな!行くぞ!」

「りょ、了解しました!」


まあ、どんな境遇だろうと俺達は親方様の剣。今は親方様の命令に従わなければ。青年は足早に歩いていった初老の男に急いでついていく。


男達が立ち去った直後、つい先程男達がいた場所の目と鼻の先にある大きめな草むらがガサガサと揺れた。今日は風はなかった。こんな夜中に獣が起きて人里に降りてくるわけがない。残るは――――


「ひっ!」


残るは白髪の子供だった。白髪の子供は明らかに焦燥していた。何故自分が追われなければいけないのか。何故自分が殺されなければいけないのか。僅か5歳の子供が考えることはおかしかった。


「ボクは何も悪くなかったはずだ。元はと言えばあいつがボクの本を破ろうとするから」


ボクが追われいる理由は昨日の事が原因だろう?あの日もボクは一人で本を読んでいた。物心ついたときからボクは一人だった。何をするにも一人。ボクは産まれてから今まで独りぼっちだった。


そんなある日、珍しく弟がボクの部屋に入ってきた。何しに来たんだろう?と思いながら見ていると、弟がボクが読んでいた本を取り上げた。ボクはそりゃ抵抗した。それでも弟は返さなかった。終いには本を破ろうとした。


流石にカッとなった。今思えばあれを我慢していればこんなことにはならなかったはずだ。弟を止めるために右手を伸ばした直後、右手から炎が出現した。その結果、本は炎で焼かれ弟は大きな火傷をおった。


弟がボク部屋を出るまで終始言っていた。「絶対お前を殺す」と。そして弟の言葉が現実になったのが今日だった。


今すぐ家に帰りたい。自分の部屋で本を読んでいたい。だが家に帰れば殺される。ボクは帰るところがなくなった。それよりも今は生きることが最優先。そろそろ移動しないと危ないと思い、草むらから頭を少し出して辺りを伺う。


最悪の事態が起きた。男と目があってしまった。ボクはその場を急いで後にした。目があった男はボクが逃げるなり慌てて追いかけてきた。


ボクの家の後ろには大きな森がある。その森は竜の森と言われている。名前の由来はその森に竜が住んでいるからということだ。そしてその森には竜を恐れてか大人は近づかない。


ボクは生きる可能性に賭け、森に入った。


無我夢中で走った。後ろで男の声が聞こえたがそんなことはどうでもよかった。ただ生きるために走った。生きたい、生きたい、生きたい!そんな思いだけが頭の中を支配していた。


ボクは子供の利点である小柄な体を駆使して逃げた。大人が通れないような木と木の間や、草むらの中を必死で走った。最初の方は後ろからガチャガチャと鎧の揺れる音が聞こえていたが今は聞こえていない。


だけどまだ走ることにした。折角生きる可能性に掛けたのだ。こんなところで捕まって殺されたら意味がない。だからボクは生きるために森の奥へ走り出した。


どのくらい走ったのだろうか。ボクの息は途切れ途切れで今にも座り込みたい。しかも走った時にかいた汗で服がぴったり引っ付く。更に泥や草がこびりついていて不快だ。ボクは水場を探すことにした。


さっきの場所から少し歩いたところに小川があった。ボクは嬉しさのあまりに回りを見ずに小川に向かった。先客がいるとも知らずに。


ボクは驚愕した。先客がいたのだ。それも特大で最強の先客。


「りゅ、竜!?」


漆黒の鱗に守られた蜥蜴のような体に、蝙蝠の羽を何倍したらその大きさになるんだ?と思うほど巨大でギザギザな翼。掠れば致命傷は免れないと思わせる鋭い牙と爪。


ボクの目の前にいたのは世界で最も数が少なく。それでいても生態系のトップに君臨している孤高の生き物、竜だ。


今思えば、それがボクと師匠のファーストコンタクトだった。

大幅改稿のつもりが・・・話が大幅に変わってしまいました。テヘッ☆ご免なさい。これから投稿再開?するのでよろしくお願いいたします。誤字脱字があれば教えてください。次回『親愛という名の教育』

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